【目から日月】母イシスからホルスに譲渡されたラーの力 | 筑前由紀のプチトリップ

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2024年現在、主に福岡県内をカメラ片手にうろうろ。
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お寺や神社に行ったりしています。

 

イラスト『いらすとや

 

息子ホルスに絶対的な権力を得させようとしたイシスは、ラーを相手に計略を練りる。
既に年老いていたラーは、口を開ければ涎を垂らすようになっていた。
イシスは、地上に溢れたラーの涎と土を捏ねて毒蛇を作り、ラーがいつも通る道に仕込み襲わせた。
毒蛇に噛まれたラーは苦しんでいるところにイシスがやって来て、「真名を教えてくれたら私が解毒しましょう」と言う。

真名を知られてしまうとその力を支配されてしまうのでラーも最初は拒むが、苦しみに耐えかねて教えてしまう。
イシスはラーの太陽神としての力を奪い、ホルスへ渡す。

 


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イシスすご。

オシリスが亡くなった際も大活躍だったし、イシス自身が王になれる力あったのでは?

 

そうね。

ラーの力を奪ったのもホルスの為でなく自分の為で、このことでイシスが神々のなかの最高位についた、とする話もあるわ。

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あ~でもやっぱり、夫の為、息子の為に頑張るイシスって方が好きだな。

 

でしょうね。基本的にイシスは良妻賢母の典型とされ、古代エジプトだけではなく、古代ギリシャやローマにおいても偉大なる女神として信仰されていたそうよ。

ホルスに乳を与えるイシス像は、聖母マリアの原型になった、とも言われるわ。

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え、赤ちゃんを抱いた母なんて、世界中どこにでもいるんだから、イシスが原型とは限らないのでは?

 


それはそうなんだけど。

ただ、「イシスは処女のままホルスを身ごもった」という話もあるから、どっちが先かは分からないけど、影響している可能性はあるんじゃないかしら。

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ホルスって、オシリスとイシスの間に出来た子じゃなかったの???

 

イシスがオシリスのバラバラになった遺体を集めた際に、どうしても見つからなかった部分っていうのが、実は生殖器なの。

で、その状態でイシスとの間に子供をもうけた。

だから、ホルスはオシリスの子供なんだけどイシスは処女のままだという。

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そんなむちゃくちゃな…。

 

ね。キリスト教の「処女懐妊」が関係してそうじゃない?

イシスが処女ってのは、キリスト教から逆輸入された設定なのかもしれない。

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フラ・アンジェリコ「受胎告知


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あれ、もしかして、オシホミミ達がアマテラスとスサノオの間に生まれた子とされながらもスサノオと交わって生まれたんじゃなくて、誓約によって生まれた。
アマテラスは処女だ。ってなっているのも、キリスト教の処女懐妊が影響してる⁉

 

アマテラスは懐妊してないから違うかな…。

「世界神話事典」の中で松村一男氏は、「伝統社会では男が権力を握っていたから、神話は男の観点から語られていると思ったほうがよい。」「男が支配する社会で女性性を理想化すると、期せずして「処女にして母」になるのは興味深い。結局、男の理想はその程度なのかもしれない。」と語っていたので、ま、そんなところなのかもね。

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「処女にして母」は男性の理想。




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ところで。
前回の「ラーの右目」の話と、今回の「ラーの力がホルスへ渡る」を足して「ホルスの右目はラーの右目」って事ね👀