「読み聞かせをするのに適した年齢」というのがあるらしい。

それがズバリ、0才〜8才まで。

 

理由は、

「脳の言語機能が揃うのが大体8歳だから」


その機能がちゃんと揃うまでは、親が読み聞かせてサポートしてあげましょう、ということだ。

 

 

脳の言語機能が仕上がるのは8歳の終わり頃だそうで、最後の最後にやっと整うのが、「文字から臨場感を得る」能力なのだと。

 

たとえば、「ドドド」と書いてあったら、何か大きなものが迫ってきたと分かる、とか。

ドアが「コンコン」と叩かれるより、「ドンドン」と叩かれた方が、なにか嫌なものがやって来た気がする、とか。

 

それが「文字から臨場感を得る」ということだ。

 

 

「ドドド」や「ドンドン」という文字だけで、自分で場面の空気を頭の中に描くというのは、言語機能が未熟な8才までは難しいらしい。

 

そこへ大人の声で、「ドドドー!」とか、「ドンドン!」とか迫力をつけて音を鳴らしてやることで、子の頭の中でも、文字と場面状況とがリアルにリンクするようになる。

8才まではこんなふうに、文字の持つ「臨場感」を読み聞かせにより伝えることで、文字と場面状況とを結び付ける力が伸びるのだという。

 

 

 

 

 

 

9才になるといよいよ、「子ども脳全体の仕上げ期」に突入する。

この頃には、本人が文字を見ただけで、臨場感をもって、自分だけで場面を想起できるようになる。


脳の中に自分の声がしっかりと響くようになるから、 お母さんの声が邪魔になってくる。


そのうちに読んで欲しいとも言わなくなって、自分で本を読み始める……


もちろん個人差はあるが、とにかくこの8才近辺というのは、読書においてひとつの区切りとなりやすい年齢なのだそうだ。


以上、ぜーんぶ、NHKラジオパーソナリティで人工知能研究者の、黒川伊保子さんのお話から抜粋した。

 

私の息子は現在9才。

8才と9才では、彼の本の読み方がガラリと変わったのは私も目の当たりにしていたから、全体的にとっても共感する話だった。

 

 

 

 

なお繰り返すが、子が読み聞かせを何歳まで求めるかは、個人差がある。


5歳で早くも自分の声が脳内で響きまくる(=お母さんの読み聞かせいらない)というようなタイプの子もいれば、9歳を超えてもなかなか響かない(=お母さんに読んでほしい)、という子もいる。

 

体の成長に個人差があるように、脳の成長にも個人差があるので、子が求めるうちは年齢に関わらず、親もどんどん読んであげるのが良い。

 

 

また、0〜8歳というのはあくまで、脳の、言語機能面での話である。

 

大人の朗読会というものが存在するように、情緒的な面では何歳になっても読み聞かせは有効だ。

 

自分の声は脳にすっかり響くけど、お母さんの声を聞くと安らぐから、という情緒的理由で読み聞かせを求める子もいると思う。

 

そこは家庭によって違うから、もちろん親が自由に判断するといい。

 

 

 

 

 

 

 

ラジオでは、9才以降の読書についてもお話があった。

 

9才〜11才は、「共感性」が伸びる子ども脳の最終仕上げ期だから、主人公に共感・共鳴しやすい冒検モノ、歴史モノ、ファンタジーなどがおすすめ。

 

12才〜15才は、大人脳と子ども脳とか混在する時期で、それまでの「共感性」に対して、「客観性」、分別、忍耐みたいなものを脳が獲得する。

この頃は、人間の闇を描く、戦争や犯罪など重いテーマを扱う本がとても響くようになるらしい。

 

もちろん人により個人差はあるが、子の脳の成長とは大体こんな流れだ。

 

 

 

そういえば私も、15、6才頃だったかに、急にダニエル・キイスにはまったことを思い出した。 

 

「24人のビリー・ミリガン」のように、多重人格者や精神障害者による犯罪をテーマにしたものを夢中で読んだ。

「アルジャーノンに花束を」も、初めて読んだ時には強い衝撃を受けた。

 

あれらはまさに、15才前後の、大人脳への切り換わりの時期に起きたことだったと記憶している。

自分の読書遍歴を振り返っても、年齢で変わる「脳と読書」の話には本当に納得だった。

 

 

 

 

 

 

さて、9才息子は、本を読んであげようか?と私が誘ってもすっかり断るようになった。

 

彼の読書の仕方がここ一年ですっかり変わったことは先にちらっと書いたが、その息子が最近突然興味をもったのが、私の「読書ノート」である。

 

昨年ほぼ日手帳を買ったものの、使いこなせる気がせず、読書記録用にしようと早々に用途替えしたものだ。(→

 

とても小さな、きったない字で、読んだ日付やタイトルを書き、チマチマと行を埋めていっている。

 

 

 

 

たったそれだけのことだが、息子にはとても面白そうに見えたらしい。

 

彼が言ったのだ。

「オレも読書ノート書きたい」、と。

 

それで、百均のノートを買い、息子は今自分が読んだ本をすべてそれに記録していっている。

 

 

感想は文章で書かずに、◎や△など記号で示すだけ。これも私と同じやり方だ。

漫画でも物語でも図鑑でもコロコロコミックでも、読んだものはなんでも全部記録している様子。

 

 

読書記録なんてことをいきなり息子がしたがるというのは、9才になった彼にはきっと、「ドドド」がなにかちゃんと分かるし、「コンコン」と「ドンドン」の違いもハッキリと、頭の中に見えるようになったんだと思う。

 

自分の声で、自分の頭の中に、物語を響かせているのだと思う。

 

 

親子でマイノートに読んだタイトルを書きながら、本っておもしろいよねーって、その気持ちを我が子と共有している。

これは、脳の発達とかそんなものとは全く無関係に、私にとってこの上ない人生の喜びだ。

 

私がかつて経験した、読書ってこんなに楽しいんだ!という気持ちを、今息子も感じてくれているなら、本当に嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

※黒川伊保子さんのラジオ、めっちゃくちゃ面白いんですよ。

子育てや夫婦関係や友人関係のいざこざの解決策を、「脳の動き、発達」の観点から理性的に探してくんですけど、それがめっちゃくちゃ面白いんです。毎週必ず聴いてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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