テニプリ 逆ハー連載 Vol.21 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

連載ですので続き物となっております。

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から先にお読みください。



七転び八起き  -Vol.21-



精市くんをはじめ、テニス部レギュラー全員に囲まれるように置かれた椅子に、

背中を丸くして縮こまりながら座っている私・・・。


なんだこれは・・・?

なんの取調べですか?


私を見る目はそれぞれで・・・。


心配そうに私を見るザッカル君。

この場の空気を読めてないキング。

真意を掴みきれないのか顔をしかめる丸井君。

不貞腐れたように拗ねた表情の赤也君。

眼鏡が反射して表情の読めない柳生君。

好奇の目で薄笑いを浮かべる仁王君。

満悦そうに周りの様子を見る柳君。

そして・・・殺気を放つ精市君。


どうしてこんな事になってしまったのか・・・?


それは昨日の柳君と私の出来事が精市君にばれてしまった事が全ての始まりである。





何事もなかったように振舞っていたはずだった。

そう。普段と何も変わる事はなかった。

普通に取材をし、普通に写真を撮り、そのまま帰るはずだった。


しかし、柳君がみんなのいる前で、まず1つ目の爆弾を落とした。


「昨日は無事に帰れたか?俺が寝ている間に帰ってしまったようですまなかったな。」


私は危うくカメラを落としそうになってしまった。

あなたなんてこと言うんですか~!?

なにその意味深な言い方!!

そんな言い方したら悪魔が降臨するじゃん!!


私は必死になってその場を誤魔化そうと言葉を継ぐ。


「あ、うん大丈夫!!柳君も1日で風邪が治ってよかったよ!!

私が傘借りたせいで風邪引かせちゃってごめんね!!」


どうだ!?

これで私が一昨日の雨で柳君に傘を借りた事。それで柳君が風邪を引いた事。

そしてその為にお見舞いに言った事。すべてがわかるはず!!


チラッと精市君を見れば、背中を向けて表情は見えないが

間違いなく私達の会話を聞いていると思う。

こっちに寄って来ないという事は、今ので納得してくれたんだろうか・・・?


だけど、ここで柳君が2つの爆弾を落とした。


「しかし今日お前は休みだと思っていたのだがな。」

「な、なんで・・・?」

「俺の風邪がうつってもおかしくはなかっただろう?」


私に聞かないで~!!!!!

「おかしくはなかっただろう?」って何が!?

なんでおかしくないのよ!?


キスしちゃったから!?

キスして風邪がうつっちゃった♪とかってやつですか!?


落ち着け私!!どう切り返す!?

なんて言えば誤魔化せる!?


私は必死で頭をフル回転で言葉を捜した。

だけど・・・・。


「それって・・・どういう事かな?」


悪魔は降臨なされた・・・・。


しかも精市君だけじゃなく、勘のいい仁王君と柳生君も目が光っている!!


ああ・・・。もうだめだ・・・。

私は全てを諦めるように、遠い眼差しで空を仰いだ。




ここからはその辺のホラー映画を見るよりも怖かった。

これを見た後なら夜の学校の廊下も一人で歩けそうだ。・・・・・無理だけど。


「どう言う事?そんな事俺に聞くまでもないだろう?」

「それって俺が思っている通りだと?」

「さあな。」

「蓮ニ。俺を怒らせないでくれるかい?」

「何をそんなにイラつく必要がある?自分より先に手を出された事がそんなに悔しいか?」

「なんだって・・・・?」

「大事にし過ぎて手が出せずにいるお前を尻目に、

次々と他の奴等に手を出さられ焦っているのだろう?違うか?」


柳君の言葉に精市君の手がピクリと動いた。

なんの話かわかっていなかったキングや丸井君達も

この状況が普通じゃないことに気付いたのか、息を潜める様に立っている。


私はどうしていいのかわからなかったが、とりあえずこの場を収めようと口を開きかけた時、

仁王君に「黙って見ときんしゃい」と、手で口を塞がれてしまった。


「1つ訂正させてもらうけど、手を『出せない』んじゃなくて『出さない』んだよ。」

「ふ。そうか・・・。俺にはそうは見えなかったがな。」

「・・・・。まぁいいよ。それなら俺ももうやめた。」


投げやりな言葉で柳君との話を打ち切り、私の方へ視線を向ける精市君。


「俺が寛大な心で見守っているうちに、悠奈は柳生に指は舐められるし、

仁王とは屋上で密会してるみたいだし、

丸井とはケーキバイキングを口実にデートの約束してるし、

真田には押し倒されるし、赤也とはキスするし・・・。」


えぇぇぇ~!?

何で知ってんのぉ~!?

ってか全部バレてんじゃん!!


「そして蓮ニとは・・・・・その様子からすると最後まではヤッてなさそうだけど・・・。」

「!!」


ヤ、ヤ、ヤッてなさそうって・・・・・。

なんてこと言うんですかぁ!?この人はぁぁぁぁぁぁ!!!


「ちょ、ヤッちゃったんスかぁ?柳先輩!?」

「切原君女性の前で発言を慎みたまえ!」

「蓮ニ。ヤルとはなにをヤルんだ?」

「真田。それはのぅ・・・。」

「それより、赤也!お前原とキスって・・・マジかよ!?」

「え?あ・・・はい。へへっ。ついでに片乳揉みました。」

「片乳ぃ~!?」


ちょっとぉぉぉぉぉ!!

誰かこの人達黙らせてくださいっ!!


「精市君~!!」

「もうこの際はっきりしようか?」

「はぃ~!?」

「このまま掻き乱されていくのも悪くないけど・・・・・。」

「悪くないけど・・・・?」

「俺もそろそろ我慢の限界だしね。」


なにがぁ!?何が我慢の限界ぃ~!?

怖いよ!!目が・・・目がヤバイことなってますから!!


「じゃぁ、そこの椅子座って。」

「へ?」

「早くしろよ。」

「はひぃ!!」


なんなんだよもう・・・。泣いちゃおうかな・・・。


ビクビクしながら指差された部室の中心に置かれたパイプ椅子に腰掛け

みんなからの視線に居心地の悪さを覚えながらも、逃げる術もなく大人しくしていると

精市君が「回りくどいのはもうやめたからはっきり聞くけど。」と、話しを切り出した。


「結局、悠奈はこの中の誰が好きなんだい?」

「えっ・・・・・?」


はっきり聞くって言ったけどさ、はっきり聞きすぎだよ!!

って言うか・・・この中の!?

もうこのテニス部レギュラー限定ですか!?


「誰・・・・・って・・・・・そう聞かれましても・・・。」

「わからないの?それとも誰でもいいわけ?」

「そんなんじゃないよ!!だけどいきなり誰が好き?って言われてもわかんないよ。」

「なら今すぐ選べよ。ほら。」


ほら。って・・・・。

「じゃぁ・・・・コレ!!」

って、そんな簡単に選ぶようなもんじゃないでしょうが!?


なんて返事を返していいかわからず俯くと、

鬱憤を晴らすかのように精市君から言葉の刃が飛んできた。


「悠奈は好きでもないヤツにキスされても平気なんだ。」

「そういう訳じゃ・・・。」

「違うとでも?拒みもせず受け入れるっていうのはそういう事だろう?

それとも、そんな何にも知りませんみたいな純情そうな顔して

実は俺達テニス部全員を手玉に取ろうとか思ってたわけ?」

「そんな・・・。」

「怖いな・・・女は。俺の気持ちを知った上でそこまでできるなんて・・・。

見た目に騙されたら痛い目を見るっていい勉強になったよ。」


確かに好きかどうかもわからないのに受け入れてしまったかもしれない。

だけど手玉に取ろうとかそんなつもりじゃない・・・。


だが精市君の言う事はもっともだ。

精市君の気持ちは知っていた。

それなのに部の仲間である柳君や赤也君のキスを拒みもせず受け入れた。

それは精市君の気持ちを踏みにじる行為だ。


唇をかみ締め膝の上の手をきつく握り締める。

だけど、じわじわと込み上げてきた涙は目尻から頬へと伝い落ちていく・・・。

「泣けば許されるとでも?」

「・・・・・・。」

「幸村もういいだろ!?原がそんなヤツじゃない事くらいわかってるはずだ!」


今まで黙って見ているだけだったザッカル君が私を庇うように前に立った。

足が震えてるように見えるのは気のせいじゃないはず・・・。

だけどそれでも精市君から見えないように私を隠してくれた背中がとても大きく見える。


するとザッカル君に続くように、仁王君が私の横に膝をつきながら

「ジャッカルの言う通りじゃよ幸村。それにこれ以上いじめたら可哀相ぜよ。」

そう言って私の涙を親指で拭ってくれた。


「俺はいじめてるつもりはないけど?」

「八つ当たりしとるようにしか見えんよ。」


そっと握られた手が温かくて、震えていた心が少しづつ落ち着きをつり戻す。


「俺は戸惑いながらも前に進もうとしとるコイツを可愛いと思っとるよ。」

「可愛い?」

「なら幸村はもう、コイツを好きやないんか?」

「そんな事一言も言ってないだろう?」

「ククッ。まぁええ。ならここで俺からの提案ナリ。」


俺に任せろとでも言うように笑みを見せ、立ち上がった仁王君。

いったいどんな提案をするつもりなのだろう・・・?


「今ここで原に誰かを選ばせるのは酷ってもんじゃろ?

まだ自分の想いをちゃんと告げとらんヤツの方が多いしのぅ。」

「ならどうしろと?」

「ちょうど約1ヵ月後はクリスマス。それまでに土日を合わせて8日ある。

そして俺達もちょうど8人・・・・。」

「なるほど・・・。順番に悠奈とデートし、そしてクリスマスに誰がいいかを選ばせる・・・・・。」

「そういう事じゃな。」


大きく頷きあってますけど・・・どういう事?

週末1人づつデートして・・・・?

クリスマスに誰がいいかを・・・・・・・・・・・・選ぶ!?


「あ、あの・・・。」

「順番は何で決める?」

「す、すみませんが・・・・。」

「クジでええじゃろ?」

「ちょっと聞いてる!?」


なんですか?私の存在無視ですか!?


「今ここで割って入ってくるなんていい度胸だね。」

「え?いや・・・ホントすみません。」


何で私が謝んなきゃならないんだ?

だけどさっきの恐怖が身に染みて逆らえそうにない・・・。


「それで?何か言いたい事でもあるわけ?」

「あ、あのね。その・・・誰も選べなかったら・・・?」

「選ぶんだよ。」

「そ、そうですか・・・・。あ、でもさ、私が選んだところでみんなの気持ちもあるし・・・。ね?」


助けを求めるように柳生君やキングの方を見る。

あれ・・・・・?なんで何も言ってくれないの?

みんなこんな提案受け入れちゃっていいの!?


「悠奈。いい加減そこまで鈍いと怒りが湧いてくるね。」

「え!?なんで!?なにが!?」

「ここにいるみんな悠奈が好きなんだよ。」

「えぇ~初耳ですけどぉ~!?」


好きってこれは友達として・・・じゃなくて!?

じゃあ、丸井君や赤也君が言ってくれた好きってそういう事だったの!~?

っていうか、キングも!?

そして柳生君や仁王君や柳君も!?


「おい!!幸村!!俺は別に!!」

「ジャッカル。違うとは言わせないよ。」

「うっ・・・・。だ、だけどよ・・・。」


えぇぇぇぇぇぇ!?ザッカル君も~!?


「そういう事だから!みんなと1日づつデートして誰がいいかを選ぶ。わかったね?」

「拒否権は・・・・?」

「ない。」





なんだかよくわかりませんが、1ヵ月後のクリスマス。

私は好きな人を選ばねばならないらしいです!!


いったいもう・・・どうなるのぉ~!?


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あはは。なんかよくわからんくなってきた。(壊)


久々のブラックユッキー降臨!!

彼を書くのが最近楽しい♪


次回から1人づつデートしていきます。

まず誰からがいいですか?ww