連載ですので続き物となっております。
Vol.1 から先にお読みください。
七転び八起き -Vol.2-
レンガ造りの「部室と呼ぶには豪華すぎない?」と、
言いたくなるような建物の前に立つ。
放課後の部室棟は部活前の部員で溢れていた。
幸村君にここへ来るようにと言われたけれど、
外で待っとくべきか・・・?中へ入るべきか・・・?
扉の前で一人うんうんと唸る私。
少し早かったかもしれない・・・。
待ってたら誰か出てるかな・・・?
でもさっきから色んな視線が突き刺さる・・・・。
そりゃそうだよね・・・。
あのテニス部の部室前に女子が立ってたら目立つよね・・・。
好奇の視線と嫉妬の視線に耐え切れず
私は扉をノックしてノブを回した。
「失礼しまーす・・・・・。」
騒がしい外とは違って中からは何の音も聞こえない。
覗き込むように1歩踏み出した時
「誰だ!!」と凄む声が聞こえ後ろに飛び上がってしまった。
「す、すみません!!」
「む?貴様何者だ!?」
仁王立ちで私の前へ立ち威嚇するように睨みを利かす人物を
恐る恐る見上げると、ジャージ姿で帽子を被ったオッサン・・・。
「あ・・・・フケ顔キング!?」
「なにっ!?」
「しまった!!嘘です!!それは報道部だけで通じる通称です!!」
「報道部だと?」
「うぅ・・・・か、顔近い!!怖い!怖いから~!!」
押し迫るフケ顔に思わず身を引く。
だって怖すぎるんだもん!!
だけどそんな事お構いなしに
「報道部が何用だ!?」と、どんどん私との間を詰める。
うぎゃ~助けて~!!
そんな声にならない叫びを上げた時、
背中の扉が開き天の助けが現れた。
「真田なにや・・・って、原!?」
「おお~ザッカルく~ん!!」
半泣き状態でザッカル君の腕へとしがみ付く。
助かった~。
相変わらず鋭い視線は感じるが盾が出来た今もう怖くないもんね!
「ジャッカル。こいつを知っているのか?」
「え?あぁ・・・原はクラスメイトだ。」
「そうです。ザッカル君とはクラスメイトです。」
味方を得たことで少し強めに出てみる。
クラスメイトと聞き、不審な視線は消える事はないが
さっきより私を見る目が穏やかになった気がする。
フケ顔特集でダントツトップだった真田君。
報道部部長としては一応お顔拝見には行ったけれど、
あの日は遠目に見ただけだったし・・・・。
まさかここまでとは・・・・。
「ザッカル君助かったよ。あのままじゃ殺られるとこだった・・・。」
「やられるって・・・。しかも俺はジャッカルだけどな・・・。」
「・・・・・・・え?・・・・ザッカル?」
「ジャッカルだ!!」
なんと!?
人様の名前を間違えるとは~!!
「ご、ごめんね!!」
「いや、いいけどよ・・・。」
「ホント?じゃぁ、もうザッカルでいい?」
「・・・・・好きにしてくれ・・・。」
なんとなく疲れたように見えるのは気のせいかな?
でも思ってた通りザッカル君はいい人みたい。
「それでなんで原が部室にいてるんだ?」
「あ、そうそう。それはね・・・・」
「俺が呼んだんだよ。」
「幸村!?」
「幸村君!?」
いつの間にやってきていたのか・・・・?
まったく気配を感じさせることなく背後に立っていたのは幸村君。
昨日と同じキラキラスマイルを浮かべ
「よく来たね。」と頭を撫でてくれた。
きゅーん!!!
頭ナデナデしてもらっちゃった~!!
しかも極上スマイル付き~!!
私生きててよかった!!
さっきの恐怖なんてどこへやら・・・。
もう幸村君の笑顔に釘ずけになってしまった。
「ところでジャッカル・・・。いつまで悠奈といイチャついてる気だい?」
「え?うわぁ~!ちがっ、これは・・・」
ボーッと幸村君に見惚れていたせいで
わたしはまだザッカル君の腕にしがみ付いたままだったようだ。
ん?今・・・・悠奈って呼んだ・・・・?
幸村君の言葉に一瞬動きが止まる。
だけどその瞬間、焦ったザッカル君が勢いよく腕を振り払った。
「きゃっ!!」
突き飛ばされるように体がよろめき傾いていく・・・。
倒れる!
そう思って目を閉じ、次にくるだろう衝撃に身を硬くした。
・・・・・・あれ?
「っ・・・大丈夫かい?」
床とゴッツンコ!!となるはずだった体は優しい温もりに包まれていた。
見た目より逞しい胸と腕に
抱きしめられるような形で受け止められた体。
ゆっくりと顔を上げると幸村君が心配そうに見下ろしていた。
「よかった。怪我はない?」
「うん・・・。ありがとう。」
「ジャッカル・・・・女の子を突き飛ばすなんて
男の風上にも置けないな・・・。」
「す、すまねぇ・・・。悪かったな・・原・・。」
「いいよ。大丈夫。」
申し訳なさそうに謝るザッカル君に笑顔を向けると
安心したかのようにホッしたような顔になる。
「ところで幸村君・・・・?」
「なんだい?」
「そろそろ離してくれない・・・かな?」
いまだ体に巻きついた腕・・・。
体同士が密着しすぎて幸村君の鼓動が伝わってくるほどだ。
「ん~。イヤって言ったら?」
「えぇ~!?な、ななな何の為の拒否!?」
「だって・・・もっと恥ずかしがると思ったのにな・・・。」
「はい・・・?」
幸村君の言っている意味が理解できず首をかしげる。
恥ずかしがるって・・・この今の状況の事?
確かに抱きしめられてるし・・・恥ずかしくないわけじゃないけど・・・・。
「あ、あの・・・」
「こうしたらどうかな・・・?」
「え・・・・・・ひゃっ!!」
背中に回っていた手が私の髪をかきあげたかと思うと
なぜか幸村君の顔が近づいてきて耳を舐めた!!
ななななななななんか音したし~!!!
ペロ・・・ピチャ・・・って聞こえたぁぁぁ!!
ぞわぞわぞわ~っとした感覚が体を走る。
「ゆ、幸村君!?」
「幸村!!なにをしている!?」
「お、俺は何も見てねぇ・・・。」
顔は赤いのか青いのかわからないけど
きっとすごい形相だと思う。
だけどそんな私の顔を満足げに見下ろしながら
「ふふ。その顔・・・たまらないよ。」
と、微笑んだ。
私の知ってる幸村君は・・・・いずこへ・・・・?
この人は・・・・誰ですか・・・・?
NEXT
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中途半端で終わっちゃった・・・。
しかも真田とジャッカルしか出てないし・・・・。
愛しのダーリンはいつになったら出てくるのかな?ww