連載ですので続き物となっております。
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七転び八起き -Vol.10-
「私に手を出したら写真売らないわよ!」発言をした後
掌を返すように優しくなった彼女達を引き連れ廊下を歩いているとフケ顔キングに遭遇した。
「そんな群れになって歩いていては邪魔になるだろう!?」
いきなりの怒声にビビる彼女達。
もっと言ってやってください!
私といれば写真も手に入れやすいし、テニス部メンバーと仲良くなれると思ったのだろう。
「私達親友だよね?」と、腕まで組まれちゃって歩きにくいったらありゃしない。
「フケ・・・じゃなくて真田君。」
「毎度言い直すくらいなら呼びやすい呼び名でかまわん。」
「えぇ!?いくら私でも本人前にフケ顔キングとか呼べないよ!」
「呼んでいるではないか!!」
「今のは流れで仕方なくでしょ!?」
廊下で言い合う私達に「噂は本当なんだ。」とか
「やっぱり付き合ってんの?」なんて声が聞こえてきた。
「コホン。じゃあキングって呼んでいい?」
「好きに呼ぶがいい。」
「ありがとう。ところでキングはもう噂聞いた?」
「噂?そんなくだらん物に惑わされるなどたるんどる証拠だ!」
「そっか、ならよかった。キングが私に告白した挙句フラれた。
なんて噂が流れちゃって申し訳ないな・・・・って思ってたんだよね。」
「なに!?こ、告白だと!?馬鹿を言うな!!誰だ!?そんな噂を流したやつは!?」
めちゃくちゃ動揺してますけど?
しっかり惑わされてんじゃん!!
怒っているせいなのか、照れているせいなのかわからないけど
顔を真っ赤にして怒るフケ顔キング。・・・・改めキング。
こんな顔でこんな話し方だし、昨日は怒鳴り声ばかり聞いてたし、
切原君をぶっ飛ぶほど殴ってたし、
正直恐いイメージだったけど意外と可愛いところがあるみたいだ。
もっとキングの事知りたいかも・・・・。
「ねぇ?昼休み空いてる?」
「予定はないが?」
「じゃあ、お昼食べながら取材させてもらっていい?」
「かまわんが取材とは何をすればいいのだ?」
「質問に答えてくれるだけでいいよ。」
「そうか・・・。ではどこに行けばいい?」
「私がキングの教室に行くから待ってて。」
「そ、それは余計に噂になるのではないか!?」
噂に惑わされるなんてたるんどる~!!とか言ってたの誰ですか!?
めちゃくちゃ気にしてるよ・・・。
「こういうのは変に隠れてコソコソする方が余計に怪しまれるんだよ。
堂々としてれば噂なんてすぐ消えるよ。」
「そ、そうか・・・。」
「なに~?もしかして噂されて困るくらい好きな子がいるとか?」
「なっ!?」
眉毛を吊り上げて「馬鹿者~!!」と波平さんもビックリな怒鳴り声を響かせるキングを前に、
私はお腹を抱えて笑い転げた。
昼休みの教室はどこもガヤガヤと賑やかなはずなのに
この教室は静まり返っている・・・。
まぁ、私達が原因なんだろうけどさ・・・。
静かな教室で向かい合って座る私とキングは、まるでお見合いでもしているようだ・・・。
「うむ・・やはり場所を変えた方が・・・?」
「いいよ。気にせずにいよう。」
キングが女子と二人でお弁当を食べている事と、
その相手が噂の中でキングを振った女とされる私である事が
周りの好奇心をさらに刺激しているのだろう。
だけどそんな事気にしてたら話しが進まない!
お弁当を広げ「いただきます」と手を合わせると、
私に続くようにキングもお弁当を広げだした。
「いつもお弁当なの?」
「体が資本だからな。栄養バランスを考えるならば弁当の方が取り易い。」
「ふーん。キングが自分で作ってんの?」
「男が台所に立つなど、そんなマネができるか!」
「えー。考えが古いよ・・・。」
色とりどりのおかずがびっしりと詰められたお弁当箱。
重箱とか持ってきてそうだと思ったんだけど普通のお弁当箱だった。
「好きなおかずは?」
「好き嫌いはない。だがあげるとするならばなめこの味噌汁が好きだ。」
「そんなもん弁当に入れられないじゃん。」
「弁当のおかずとは言わなかったであろう!?」
すぐムキになって言い返してくるキングを見て
どうして精市君がキングを弄るのか少しわかった気がする・・・。
「キングってさ、TV見たりするの?」
「ニュースや時代劇なんかは見ている。」
「あぁ~納得・・・。タイムトリップしても違和感なさそうだもんね。」
「どういう意味だ?」
「え?いや・・・特に意味はないです・・・。」
でも和服姿でちょんまげをつけてるキングが目に浮かんで笑ってしまいそうになる。
「キングっていつも家じゃ和服?」
「そんなわけなかろう!」
「じゃぁジーパンとか履くの?」
「ああ。」
「もしかしてシャツをジーパンの中に入れたりしてる!?」
「いかんのか?」
「マジですか!?それは・・・やめたほうがいいよ。」
「そうなのか?なら次からは気をつけよう・・・・。」
パンツINとかすごい想像に容易い・・・・。
私服姿見てみたいよ!!
「休みの日は何してんの?」
「家の道場で剣の道を極めている。」
「道場!?キングん家道場あるの!?」
「祖父が剣道を教えている。」
ふぇ~!!もしかしてキングがこうなのは家系なの!?
「お母さんは極妻みたいな感じ?」
「『ごくつま』とはなんだ?」
「時代劇は好きでも極道に興味はないんだ・・・。」
「なんの話だ?」
「ううん。こっちの話し。あ、今度極妻のDVD貸してあげる。」
こんな感じでけっこう話が弾んだ昼休み。
意外だったり、想像通りだったり、たくさんのキングを知った気がする。
最後に1つもらった玉子焼きがほんのり甘く、とても優しい味がした。
時計を見ると、もうすぐ予鈴がなる時間。
クラスが離れている為そろそろ教室に戻らないと・・・。
「今日はありがとう。」
「取材はよかったのか?」
「取材はもう終わったよ。」
「俺は取材などされた覚えはないぞ?」
「あはは。今さっきの会話がそうだよ。」
「そうだったのか?」
キングの場合きっと「取材」と言って質問すれば、構えちゃって取材にならなさそうだからね。
「あ、じゃあ最後に1個だけ聞いていい?」
「む。俺に答えられる物ならな。」
そう言ったキングは、敬礼する勢いで直立して私からの質問を待っている。
本当に期待を裏切らないと言うか・・・。
そんなキングを前に、答えてくれないだろう・・・と思いながらも、今回1番聞きたかった質問をした。
「キングの女の子の好みのタイプってどんなの?」
しばしの沈黙の後・・・・・・。
「そ・・・・・」
「そ?」
「そんな事を聞くとはたるんどる!!」
教室中に怒声が響いた。
「そんな怒んなくたっていいじゃん。」
「つまらん事を聞くからだ!!」
ふーんだ。
でもそれは照れ隠しだって気付いちゃったもんね!
だって耳が真っ赤だもん。
「だが・・・・」
「ん?」
「お前のような女は・・・・・・・・嫌いじゃない。」
「え・・・・?」
「予鈴が鳴ったぞ。戻らんと遅刻するぞ。」
「あ・・・うん・・・。じゃぁまた・・・放課後に。」
それぞれの教室へ向かいバタバタと慌しい廊下を歩きながら、さっきの言葉を思い出す。
『お前のような女は・・・・・・・・嫌いじゃない。』
それって・・・・どういう意味ですか・・・?
NEXT
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悠奈が初期設定からかなり黒くなってる気がするな・・・。
ヤバイ!!ww
今回のお相手はキングでした。
ただ単に、「フケ顔キング」って呼ぶの長いから「キング」と呼ばせたかっただけです(笑)
ほとんどが20.5巻と40.5巻のネタを使わせてもらってます。
あ、違う所もありますよ!!
母上様が極妻かどうかなんて知りませんから!!(絶対違う)