テニプリ 逆ハー連載 Vol.17 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

連載ですので続き物となっております。

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七転び八起き  -Vol.17-



「ちょ、切原君。もうちょっと詰められない?」

「む、無理ッス・・・。」

「きついよ・・・・。」

「そうッスね・・・・。」


ただいま階段下の小さな収納庫にてかくれんぼの途中です。

何でかくれんぼしてるのか?

いい質問ですね。

答えは・・・・・・。


追われてるから!!


今日はテニス部メンバーの写真撮影をする予定だった。


「こんなポーズで」「制服姿も欲しい」「私服も見たい」なんて投稿が数多くあり、

今回は制服姿のみんなを撮影させてもらっていた。

それがどうしてかくれんぼになるのか・・・・?


それは、今日最後の撮影となった切原君と美術室に来たのが事の始まりだった・・・。




「デッサンする姿って知的に見えません?」


「どこが?」と思うのは私だけではないと思うが、切原君のよくわからない提案により、

美術室を借りてデッサンをするマネをしている切原君を撮影。


そこまではよかった。

知的に見えるかどうかは別として、筆を構える姿は可愛かったし変な絵は見れたし。


が!!


その後、悪戯心が芽生えた切原君が、真っ白なヴィーナス像に落書きを始めた。

もちろん止めたが聞いてくれるはずもなく、黒の油性ペンで顔のパーツをなぞり

美しきビーナスがあっという間に天才バカ○ンみたいな顔に・・・。

そこで私が笑ってしまい、調子に乗った切原君が「写真撮ってくださいよ!」

と言い出し、私も「いいよ!」なんて言っちゃたもんだから、

変な顔のヴィーナス像を抱きながら色んなポーズをキメる切原君の撮影大会が開始・・・。

私は爆笑しながらもシャッターを切り、切原君はさらにポーズをキメる!!

私達は大盛り上がりでその時間を楽しんでいた。


と、その時・・・・・・・・・美術室の扉が開いた。


扉の前に立つのは美術の先生。

美術室の中ではビーナス像にキスをしている切原君とおなかを抱えて笑う私。


一瞬の沈黙後・・・・・・・美術室に先生の怒声と切原君と私の悲鳴が響いた。


「原先輩!逃げますよ!」

「え?逃げる?ちょ、待って!!」


変わり果てたビーナス像を見て青筋を立てて怒る先生の横を走り抜け

私の手を引き美術室を飛び出した切原君。


「何で逃げんのよ~!?」

「逃げなきゃ怒られるじゃないッスか!」

「逃げたらもっと怒られるよ~!?」

「大丈夫ッスよ!顔なんて覚えてねーから!」


顔覚えてないかもしれないけど、美術室の鍵借りたの私なんですけどぉ~!?


だけど切原君はそんな事お構いなしに逃げる逃げる・・・・。

後ろから先生が追いかけて来る声と足音を聞き、

「うわっ追いかけてきた。マジうける!!」

って笑えないから~!!


その後、先生を撒くのは簡単に撒けたけど、いつどこで遭遇するかわからないスリル!!

こんなスリル、滅多に味わえないよ・・・。

・・・・・ってこれも笑えないっつーの!!


「ねぇ。切原君・・・。」

「なんッスか?」

「外に出た方がよくない?」

「・・・・もっと早く言ってくださいよ!!」


自分だって考え付かなかったくせにー!!


「無駄な体力使ったし・・・」などと文句タラタラな切原君と一緒に1階へ移動。

そしてやっとの事で靴箱近くまで来たのだが・・・・・・。


「切原君!!」

「どうしたんスか?」

「あそこ!!」


靴箱前で恐ろしい顔をした先生が数名・・・。

ひぇぇぇぇぇぇ~!!

もしかして先生総出で犯人探してます~!?


「うわ・・・。どうしましょ?」

「どうしましょう?って・・・・・。」


私が聞きたいくらいだよ!!

こうなりゃ靴は諦めて中庭か校舎裏から逃げ帰るか!?


とりあえず校内に戻ろうという話しになり、回れ右をした時

曲がり角の向こうから、数名の先生の声が!!


絶体絶命!!


もうここは素直に謝って弁償するしかない!?


1歩・・・1歩・・・と近づく気配・・・。

あぁ・・・・・サヨナラ私の優等生生活。


グイッ!

「!!」


急に手を引っ張られ、次の瞬間視界が真っ暗になり口を手で塞がれた。


「んんん~!?」

「しっ!!先輩静かに!!」


暗闇の中で切原君の潜めた声が聞こえる。


微かな光が入り込んでいる隙間を見つけ目を凝らすと、

なんだかゴチャゴチャとした備品が見えた。


「切原君。ここどこ?」

「階段の下の倉庫みたいなトコ?」


そう言えばそんなトコあったかも・・・・・。


「とりあえず誰もいなくなるまでここで隠れてるしかないッスよ。」

「え~。狭いし暗いし空気悪いよ?」

「んじゃ出ていきます?」

「・・・・・それはヤダ。」


扉の向こうからは先生の篭った声が聞こえる。

何を言ってるかまではわからないけど、怒ってるのは確かだ。

こりゃ本当にみんな帰るまでここで隠れとくしかないかもな・・・・。



・・・・・・で、冒頭に戻るわけである。



小さな空間に二人並んで体育座りは正直狭い。

まだ切原君だからいいものの、これがキングだったら確実にはみ出てるね。

まぁ、キングがこんな馬鹿な事するわけないだろうけどさ・・・。


「腹減った・・・。」

「あ、バイチューならあるよ。」

「まじっすか?」

「グレープだけどいい?」


ポケットに入れておいたソフトキャンディを取り出し切原君に手渡す。

体温で少し柔らかくなってしまっていたけどいいよね?


包みをあげて口に入れると甘さが口に広がり、グレープの香りが漂う。


「先輩グレープ好きなんスか?」

「ん~特にそういうんじゃないよ。ストロベリーとか好きかも。」

「ふーん。ストロベリーって言えば初めてのキスはイチゴの味とか言いません?」

「切原君も少女漫画とか読むの?」

「ち、違うッスよ!姉貴がよく読んでっから・・・。」

「へぇ~。で?切原君は?」

「へ?」

「実体験はどうだったの?」

「はぁ!?」

「え?だってこないだの「初めてを教えて特集」で、キスした事あるって言ってなかった?」


あれ?なんか目が泳いでない?

もしかして・・・・・?


「嘘ついたの?」

「だってカッコ悪いじゃないっすか!!」

「そう?見栄張る必要ないじゃん!!」


顔真っ赤だ・・・。

そんなに恥ずかしい事かな?


「そう言う先輩は?原先輩は・・・あるんッスか?」

「え・・・・?」


あるのか・・・・?

あれはファーストキスに入るのだろうか・・・・?


「うーん・・・・あるような・・・・?ないような・・・・?」

「え?なんスかそれ!?」

「事故みたいな感じだったし・・・。」

「って事はあるって事ッスよね!?」

「そう・・・なるのかな?」


なぜかすごいガックリとうな垂れる切原君。

私に先越された事がショックとか!?

むむむ~。そっれって失礼じゃない!?


「どんな味だったんすか・・・?」

「へ?えっと・・・・・・・・グリーンアップル?」

「ええ~!?それって丸井先輩がファーストキスの相手って事っすか!?」

「違うよ!!丸井君じゃないから!!」

「んじゃ誰なんすか!?」

「な、内緒だよ!!」


ガムは丸井君のだったけど、相手は仁王君だし・・・。

って言うか・・・・あの直後切原君部室に入ってきたんだけどな・・・。

覚えてるわけないか・・・・。


「じゃあ2回目は?」

「2回目?」

「2回目は何の味だったんすか?」

「・・・・・2回目は・・・・まだしてない・・・。」

「え?」

「まだ1回しかしたことないの!」


キスに興味のあるお年頃なの!?

1回あるからって2回あるとは限らないのよ!!

されそうになった事は・・・・・あるけど・・・・・。


私がそんな事を考えていると、急に肩をグイッと押され

並んでいた体を切原君の方に向かされた。


「なら2回目はグレープ味ってのはどうっスか?」

「え・・・・?んっ!?」


2回目?グレープ味?などと考える暇もなく唇に何かがぶつかった。

目の前にはもじゃもじゃした髪が揺れている・・・。

え・・・?これってキスされてる!?

キスって言うか・・・・ガチンって鳴ったし!!痛いよ!!


「っな、なにしてんの!?」


突然の衝撃で痛いわ、甘いわ、驚くわで、わけがわかんない!!

だけど切原君は真剣な顔で掴んだ肩を放す事無くもう1度引き寄せてきた。


「切・・・」

「3回目も・・・・。」

「やっ・・・・ん・・・・。」

「4回目も・・・。」

「ダメ・・・きりは・・ぅん・・・・・・。」


離れては触れて・・・・触れては離れて・・・・。

繰り返される口付けは数を重ねるごとに甘く・・・優しく・・・・。

私から吐き出された吐息なのか・・・・?それとも切原君から吐き出された吐息なのか・・・?

グレープの香りと喉の奥から漏れる声に頭が痺れる・・・・。


「はぁ・・・・はぁ・・・・・。」

「もう・・・味しなくなった・・・。」

「な、何言って!?」

「でも・・・・先輩の味がする。」

「!!」

「グレープなんかより・・・・甘い・・・。」


舌なめずりをしながらニッと笑う切原君は、笑顔は可愛いのに、目には欲情が浮かぶ。


「きりは・・・」

「赤也って呼んでよ。」

「そんな・・・」

「呼ばなきゃ止めてやんない・・・。」

「んっ・・・・やぁ・・・・」


止む事無く降らされるキスの嵐と、その合間に囁き落とされる熱い声・・・。

口で抵抗はしてみても、力の入らない体はしがみ付く様に切原君のシャツを掴んでいる。


「それとも・・・・・止めて欲しくない・・・?」

「違っ・・・んん・・・・」

「マジで可愛い・・・・。」

「切原くん・・・・。」

「悠奈・・・。」


名前を呼ばれた瞬間全身に電気が走り、頭がくらくらしてもう何も考えられない・・・。


熱を帯びた瞳が私を誘うように揺らめき、濡れた唇が私の名前を呼ぶ・・・。


「悠奈・・・。」


その声と唇に引き寄せられるように、私はゆっくりと自分の顔を切原君に近づけていく・・・。


「赤也君・・・・。」


喉から心臓が出てきそうなほどドキドキしている・・・。

吐息が合わさり微かなグレープの香りの残る唇に自分の唇を重ねた・・・・。


「んふ・・・っ・・・・。」

「やっぱ・・・・止めてやんない・・・・。」


名前を呼べば止めるはずなのに・・・

止まる事のなく繰り返される口付け・・・。


シャツを掴んでいた私の手は・・・いつしか赤也君の首の後ろに回させていた・・・。


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ぐへへへへ~!!(壊)


キャベツ事件。皆さんお優しいコメをくださりありがとうございます!!

皆さんのおかげでなんとか立ち直りました!

のちほどコメ返ししますね!!


キングと赤也とどっちにしようかと思ったんですが、2度目のキッスは赤也で!!

もう2度目どころじゃなくなってますけどね・・・。

昨日ザッカル頑張ったのにゴメンよ・・・。ww