白内障手術の新時代!「選定療養」ってなに? | 武蔵野タワーズゆかり眼科

武蔵野タワーズゆかり眼科

医療法人社団Luce三鷹 武蔵野タワーズゆかり眼科のブログです。
患者様からよく頂く質問や、眼に関する豆知識・最新情報などを記事にしていきます。

テーマ:

「選定療養」ってなに?

2020年4月より、保険診療の白内障手術に、

追加費用を支払うことで「多焦点眼内レンズ」を選択できるようになった制度です。

3月までは、自費か先進医療特約(任意加入)を使用しての手術だったため、これにより金額面のハードルは少し下がったように思います。

本と眼鏡の写真

 

眼内レンズってなに?

選定療養になったメリットは?

自分に合うレンズの選び方

選定療養では選べない「プレミアム多焦点眼内レンズ」

 

眼内レンズってなに?

 

白内障の解説図

白内障は、眼の中にある「水晶体」という組織が白く濁ってきてしまうことで、見えづらさや眩しさが発生します。

この症状は薬で治せるものではないため、根本的に治すには「水晶体再建術(白内障手術)」により治療します。

 

その際に、濁った水晶体を人工のレンズ(眼内レンズ)に交換するため、レンズの種類や度数により術後の見え方を選択することができます。

眼内レンズ

眼内レンズ

 

保険適用の手術に用いられるレンズは「単焦点レンズ」というタイプで、最もピントが合う距離は1ヶ所のレンズです。

ex)遠くを見やすくするなら、手元は老眼鏡で見る。

    近くを見やすくするなら、遠くは近視を補正する眼鏡で見る。

というような感じで、白内障、遠視、近視、乱視は治すことができても「老眼」は残るレンズでした。

 

今回、選定療養の対象になったレンズは「多焦点眼内レンズ」という種類です。

焦点が多数あることから、遠く・中間・近くというようにピントの合う距離を複数選択できるレンズです。

単焦点レンズと比較するとコントラスが下がる等のデメリットもありますが、

老眼も治療できることが最大のメリットです。

 

 

▲ページ上部に戻る

 

 

選定療養になったメリットは?

メリット

最初にも少し触れましたが、ズバリ金額が安くなったことです。

もちろん、手術の内容は4月以前と全く変わりませんが、3月までの手術代+レンズ代は全額自費の扱いでした。

選定療養になったことで、手術代の部分が保険診療となり、レンズ代(正確には多焦点レンズ代と単焦点レンズ代の差額)を徴収するシステムになったことで安くなりました。

選定療養の仕組み

実際にどのぐらい安くなったか、当院の例を挙げると、

3月までは、片眼の金額で2焦点レンズ45万円、3焦点レンズ60万円でした。

下の表の金額は、選定療養になった4月からの追加に係るレンズの料金です。

ただしこれには保険診療の手術代を含んでいませんのでご注意下さい。

保険診療の手術代(片眼)は、目安として3割負担で4万5千円、2割負担で1万8千円、1割負担で1万5千円ぐらいとなります。

 

3割負担の方でも3焦点レンズ(乱視なし)が税込みでも37万円ぐらいになったので、だいぶ安くなった印象です。

施設により金額は違いますが、高くなったところはないと思います。

 

▲ページ上部に戻る

 

 

自分に合うレンズの選び方

眼内レンズは国内外で様々な種類があります。

今回選定療養になったレンズは国内承認品のみです。

保険診療の単焦点眼内レンズ、選定療養の多焦点眼内レンズも含め、

その中から自分に合うレンズを選ぶ上で大切なのは

「ライフスタイル」に合ったものを選ぶことです。

 

「遠くがなるべくハッキリ見たい」「なるべく眼鏡を使いたくない」等の希望も大事ですが、それ以外にもレンズ選択に重要なことがあります。

 

例えば、

・ゴルフやテニスが好き、PC作業が多い、運転をよくする、読書が好き、楽譜を見る、人前で話すことが多い、料理が好き、TVが好き...等々の

「普段の生活」

・子供の頃から近視が強い、若い頃は眼がよかった等の

「元々の眼の特徴」

・また、近くを見る時だけ眼鏡はずす、普段から眼鏡は殆どかけないで生活している等の

「眼鏡・コンタクトとの付き合い方」

等の様々な特徴により、その人の癖や、術後の見え方の感じ方が違ったりもします。

 

眼科のスタッフやドクターと相談して選ぶことで、術後快適なレンズを選択しましょう。

 

▲ページ上部に戻る

 

 

選定療養では選べない「プレミアム多焦点眼内レンズ」

選定療養で選べるレンズ以外にも世界には様々なレンズがあります。

金額は自費となるので、選定療養より金額は高くなりますが海外の人気のあるレンズをいくつか紹介してみます。

 

FINE VISION(ファインヴィジョン)

Fine Vision

三焦点眼内レンズの代表的なレンズです。
ヨーロッパの眼内レンズメーカー「Physiol」社から、従来の二焦点眼内レンズの問題点であったコントラストの低下を実用上解消するレンズとして開発されました。

 

実は国内承認の"焦点深度拡張型レンズ"の中には

「Fine Visionを作りたかったけど、権利の関係で3焦点に出来なかった。」

なんて裏話をメーカーの方に聞いたことあります。

2019年から国内承認品にも3焦点眼内レンズはありますが、違いをいくつか紹介すると、

 

・手元のピントの合い方(35cm)

国内承認品は40cmに設定されています。

一般的に読書をする時に姿勢のいい状態になると、読書距離は35~40cmと言われています。

現代人はスマホを見る機会が多くなっています。

スマホは読書よりも近い距離で見ることが多いため、35cmはお薦めできるポイントです。

 

・コントラストが高い

従来の多焦点眼内レンズよりも効率的に光を活用できる(光学ロスが少ない)ことからコントラストの高いことで人気がありました。

昨年からは、多焦点眼内レンズ特有の「色収差」を補正する技術を世界で初めて取り入れたことで、

更にコントラストの高いレンズ「Fine Vision Triumf」も選択可能になりました。

 

Lentis MplusX(レンティス エムプラスエックス)

Lentis MplusX

 

ドイツのオキュレンティス社で開発された、完全オーダーメイドの多焦点眼内レンズです。

構造的には2焦点レンズではありますが、他のレンズでは作れない強度の近視や乱視にも対応可能なことから、

「国内承認品では度数がないけど多焦点眼内レンズにしたい!」という要望を叶えられます。

また、他のレンズの50倍以上の細かい精度で度数を作製するため、世界最高クラスのプレミアムな多焦点眼内レンズとして高い評価を得ています。
以前の記事でレンティスの特集も書いてますので参考にしてみてください。


関連リンク:多焦点眼内レンズ"LENTIS MplusX"の実力

 

MINI WELLREADY(ミニウェルレディー)

MINIWELL READY

イタリアのSIFI社が開発した、新しい発想のオプティックデザインです。
多くの多焦点レンズが採用してきた構造とは違い、「球面収差」を利用して見える距離を連続的に延長(焦点深度拡張)する特許を取っていることから、

別名"オールフォーカス眼内レンズ"とも呼ばれています。

また、光の眩しさ・滲み(ハロー・グレア)は他の多焦点レンズと比較しても劇的に少なく、単焦点に匹敵するコントラストが強みです。

 

▲ページ上部に戻る

 

JR三鷹駅北口、徒歩2分の眼科
武蔵野タワーズゆかり眼科
https://yukari-ganka.jp/