白内障手術の際に使用される眼内レンズ。
眼内レンズの種類により、術後の見え方を選択することができます。
その中でも、老眼も同時に治療ができる"多焦点レンズ"は年々進化を重ねています。
今回の記事では、最先端の多焦点眼内レンズ"Intensity(インテンシティ)"について紹介していきます。
5焦点眼内レンズ"Intensity"とは
Intensity(インテンシティ)はイスラエルのHanita社が開発した5焦点眼内レンズで、最新型の多焦点眼内レンズです。
独自の光学技術"DLUテクノロジー(Dynamic light utilization technology)"で、従来の2焦点、3焦点レンズでは使用出来なかった部分を活かし、無限遠~40cmまでの全距離でスムーズな見え方が特徴です。
焦点が5個あると何がいい?
5つの焦点は、遠方、133cm、80cm、60cm、40cmとありますが、正直なところ距離を聞かされてもピンとこない方が多いと思います。
単純に「それぞれの距離にピントが合うから良い」ということではなく、「視力の落ち込みが少ない」というのがポイントです。
視力の落ち込みとはどういうことでしょう。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの基本的な違いから思い返すとわかりやすいです。
単焦点眼内レンズを遠くに合わせた場合、遠くにはピントが合いますが、近くに来れば来るほどボヤけます。
近く(30~40cm)にピントを合わせた場合はその逆で、合わせた距離より遠くなればなるほどボヤけます。(近視の人のイメージ)
2焦点眼内レンズは遠くと手元(30~40cm)にはピントが合いますが、その中間はボヤけます。その中間こそが視力の落ち込みです。
3焦点眼内レンズは中間(60~80cm)にもう1箇所ピントの合いやすいところを作ることで、中間の視力の落ち込みを少なくしました。
今回紹介している5焦点はその間をさらに刻むことで、最も視力の落ち込みを少なくし、全距離でのスムーズな見え方を実現しています。
光効率の最大化!使える光がポイント
インテンシティの最大の特徴は"光を効率よく使うこと"にあります。
その一つとして"光学ロス"という言葉があります。
目に入ってくる光が、レンズ表面や回折部分(多焦点に割り振る部分)に反射してしまうことによってロスしてしまうことです。
当然ロスするエネルギーは少ない方がよいのですが、従来の多焦点レンズでは10~20%ぐらいの光学ロスが発生していました。
インテンシティは構造上6.5%まで抑え、ピント合わせに割り振れる光のエネルギーが多いのが特徴です。
明るさと見え方の関係性を最適化
人間の瞳は明るいところだと瞳孔が縮小し、暗いとこだと広がる性質を利用し、明るさに応じて最適な見え方になるように設計されています。
レンズの中心から端までをZone1~3に分け、明所視はZone1~2を使用し、薄明視・暗所視にはZone2~3を使用します。
それにより、暗いところでも中間+手元の比率は明るいところとそれほど変わらない構造になっています。
瞳孔が大きくなる(暗いところ)になると手元の見え方が落ちるのは、老眼ではない若い方でも暗いところでは文字が読みづらいですし、
文字は明るいところで見ることが前提ということです。
そのため、どちらかというと遠くの比率を増やした方が、光を効率よく活用できるということですね。
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