多焦点眼内レンズ"LENTIS MplusX"の実力 | 武蔵野タワーズゆかり眼科

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患者様からよく頂く質問や、眼に関する豆知識・最新情報などを記事にしていきます。

白内障手術や老眼治療の観点で高い評価を受けている"多焦点眼内レンズ"

 

多焦点眼内レンズには、国内外や先進医療特約の対象・非対象を含めて沢山の種類が使用されています。

その中でも今回注目するレンズが、ドイツのOculentis(オキュレンティス)社が開発したレンズ"LENTIS MplusX"です。

多焦点眼内レンズのレンティス

当院でも使う機会が多く、術後の患者様の満足度も高いです。

とても良いレンズなのですが、まだ当院のホームページに掲載していないことに気づきました。

そこで、他院ではどんな風に紹介されているんだろうと思い検索したところ…

「世界最高の性能を持つ眼内レンズ」

「究極の多焦点眼内レンズ、レンティス」

「今までの眼内レンズの50倍の精度」

 

という謳い文句が…!!

ある意味ウソではないのですが、あまり大げさな表現は医療広告ガイドライン違反になってしまいますのでお気を付けくださいガーン

 

では実際にどんな特徴のレンズで、何がそんなに良いのかを解説していきます。

 

"LENTIS MplusX"とは

①ドイツのOculentis(オキュレンティス)社が開発した"新しいタイプの屈折型"多焦点レンズ

②もしかしたら世界で1枚だけ?あなたの眼に合わせた完全オーダーメイド

③ハロー・グレアやコントラストなど、多焦点のデメリットを軽減

④デメリットはないの??

 

①ドイツのOculentis(オキュレンティス)社が開発した"新しいタイプの屈折型"多焦点レンズ 

多焦点眼内レンズには、遠くと近くを切り替えるための構造として大きく2種類が存在します。

一つが回折型、もう一つが屈折型です。

 

回折型の構造屈折型の構造レンティスの構造

レンティスは構造としては"屈折型"に当てはまりますが、従来の屈折型とは違う構造です。

図を見て頂くと全然形が違うことが一目瞭然ですね。

 

では、これが良いのか悪いのか。

まずは一般的な屈折型と回折型のメリット・デメリットから見ていきましょう。

 

屈折型

メリット

・屈折型は単焦点眼内レンズと同等に遠方の見え方がスッキリ得られ、コントラスト感度も比較的良好

デメリット

・近方の見え方は瞳孔の大きさによるので、十分な瞳孔の大きさがない方には向かない

・瞳孔の大きさがあっても回折型と比較すると手元の見え方弱い

・夜間のグレア・ハロー(光の眩しさ・にじみ)は回折型より強く自覚する傾向がある

 

回折型

メリット

・瞳孔の大きさに関係なく近方視が得られ、遠方、近方がほぼ同等の見え方

デメリット

・以前の回折型よりコントラスト感度の低下の問題は改善されたものの、屈折型に比べるとやや劣る

 

現在の多く使わている多焦点眼内レンズは、圧倒的に回折型の方が多いです。

理由としては、コントラスト感度以外の点では屈折型より優秀で、特に手元がしっかり見えることが挙げられます。

 

では、レンティスの屈折型の特徴は?

レンティスはカーブの異なる2つの球面を組み合わせて作っています。

両方の球面の中心は同じところにあり、遠方部分と近方部分の境目がないので、遠方視から近方視がスムーズに繋がる構造がポイントです。

 

これにより、光学的損失(近方にも遠方にも焦点を結ばない光の量)はわずか5%。瞳孔に入る光の95%に焦点があうことから、今までの多焦点眼内レンズより明るく鮮明な像が見えます。(回折型の光学的損失は平均で約20%)

レンティスの光学的特徴

この境目がない構造が、屈折型のデメリットであるグレア・ハローを回折型より少なくしていると言われています。

 

②もしかしたら世界で1枚だけ?あなたの眼に合わせた完全オーダーメイド

完全オーダーメイドのレンティスMプラスX

「今までの眼内レンズの50倍の精度」という謳い文句をいくつかのサイトで見かけました。

これは、通常の眼内レンズの球面度数が"0.50D"という度数の刻みに対し、完全オーダーメイドで"0.01D"刻みで作れることをアピールしているのですが、このシリーズには"LENTIS MplusX Toric"(乱視矯正用)もあります。

 

乱視用とで値段を分けているクリニックだと別物なのかもしれませんが、実際は全く乱視の度数が0の人は経験上少ないです。

せっかく50倍の精度で球面度数合わせるのに、乱視は補正しないって不思議ですよね。

 

眼内レンズの乱視度数は国内でよく使われる物として3段階(-1.50D/-2.25D/-3.00D)あります。

但しレンティスは乱視度数も0.01D刻みで作れます。

通常の眼内レンズは一つの球面度数に対し、乱視なしの場合と3段階の乱視度数で4通りですが、

レンティスは球面50通り、乱視300通りで15,000通りのレンズがあります。

そういう意味では、厳密には「今までの眼内レンズの3,750倍の精度」となります。

作れる度数の範囲が非常に広いため、完全オーダーメイドすると世界に1枚のレンズになるかもしれません。

 

③ハロー・グレアやコントラストなど、多焦点のデメリットを軽減

レンティスの度数の切り替わり方

①で解説した構造上、遠方から近方を見るための度数がスムーズに繋がっていることから、通常の屈折型のような切り替えの線がないため、光の眩しさや滲む感じの見え方が大きく改善されています。

元々、屈折型は一般的に多い回折型の多焦点眼内レンズよりコントラストは良いのが特徴なため、良いとこ取りの構造と言えます。

 

④デメリットはないの??

これだけ優れた点ばかりあがると、本当に究極の多焦点眼内レンズじゃないかと思うかもしれませんが、何もかも完璧ではないです。

①の屈折型のデメリットに書いてある通り、屈折型のレンズなので、回折型と比較すると手元の見え方は少し弱いです。

また、デメリットではないですが、この構造は遠方から近方にスムーズに繋がる途中の"中間帯"はあるけど少ないことから、あくまで2焦点です。

 

自由診療のため、価格は当院の場合だと片眼60万円です。

(乱視用も同額、術後3ヵ月間の診療代、薬代込みです)

 

以上、LENTISのポイントについてまとめました。

白内障の手術を検討されている方や、老眼治療でお悩みの方は、是非当院にお気軽にお問い合わせください。

 

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