『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。
1話目，『歴史の闇に葬られた女神』
2話目，『新たなる伝説の始まり』
3話目，『瀬織津姫が封印された時』
4話目，『瀬織津姫が愛した神』
5話目，『ニギハヤヒとは何者か？』
6話目，『瀬織津姫…が…現れた…？』
7話目，『瀬織津姫信仰の始まり』
8話目，『イワナガ姫の登場と新たなる謎』
9話目，『神話の裏側を見るということ』
10話目，『再開の音色が響く時』
11話目，『なぜ瀬織津姫を巡るのか？』
12話目，『バカなりに頑張るの巻』
13話目，『封印されし強すぎた神、再び』
14話目，『吉野の地に吹く風』
15話目, 『史上最悪の女帝』
16話目, 『天照という名のニギハヤヒ』
17話目, 『女神アマテラスと男神アマテル』
18話目, 『アメノウズメさん？が登場！』
19話目, 『感じる力を養う』
20話目, 『この世の始まりを告げる神』
21話目, 『君の名は』と瀬織津姫
22話目, 『辿り着けたニギハヤヒの正体』
23話目, 『オオクニヌシとニギハヤヒ』
24話目, 『ニギハヤヒ、現る』
25話目, 『旅の終わりに向かって』
26話目, 『約束を守り続ける鬼の夫婦』
※イラスト from 瑠璃の星☆ミさん
あ「ま、また…登山（登拝）…？」
前鬼、後鬼を怒らせてしまったことにより、
修験道の修験者たちが修行する聖地、
大峯山に登る羽目になった荒川祐二。
その大峯山は険しく、
しかも季節は今、冬…。
標高1719ｍの頂上を目指す。
き、きつい、きつすぎるっす…」
雪によって当然道が見えるはずもなく、
頼りになるのは誰かがいつか登ったのであろう、
足跡だけだった。
こんなに不動明王がいるの…？
麓の龍泉寺にも、
やたら不動明王いたし…」
お前、頭は悪いのに、
こういう勘だけはホンマに鋭いのぉ…」
あ「…え？」
スサノオさんの言葉もそこそこに、
山頂に向かって登れば登るほどに、
あちこちで姿を見せる不動明王の像を横目に、
標高が上がるにつれ、
呼吸する肺も痛くなってくる中、
登ること3時間…。
頂上の前に、
『日本三大荒行』という、
あるスポットに辿り着いた。
ス「…『西の覗き』ってやつやな…。
命綱を体に縛り、
顔面から吊るされるという荒行が行われる場所…」
聞いたことある！！あれでしょ！！
あの命綱を持ってる修験者の人が、
『正直でいるかー！？素直でいるかー！？』みたいなことを聞いてきて、
『はい！』と答えるまで吊るされ続けるってやつ…！！」
ス「…お前…やってみる？
命綱無しで…」
あ「絶対イヤ」
スーパー高所恐怖症の僕が、
そんなことを言っていると…？
？「グゲゲゲゲ…」
？「ゴゲゲゲゲ…」
例の奇妙な声とともに、
役行者の式神、
前鬼と後鬼が現れた。
よ、よく、ここまで来たな…」
後鬼「ゴゲゲゲゲ…。
根性あるじゃないか…」
あ「ここまで必死で続けてきた旅…。
こんな所で諦められるかぃ！！」
前鬼「グゲゲゲゲ…。
な、中々、見上げた奴だ…」
後鬼「ゴゲゲゲゲ…。
し、しかし、本当に根性があるのなら…」
あ「？」
前鬼＆後鬼「この崖下を覗いてみるがいい！！」
あ「いや！ちょっ！それは無理！！
絶対無理！！」
前鬼＆後鬼「なら役行者さまのもとには通せん！！」
…そうして少し崖に近付いただけでも…？
あ「ぎえぇぇぇぇぇぇえ！！！！」
前鬼＆後鬼「グゲゴゲゲゲゲ！！
良い気味、良い気味…！！」
あ「ぎえぇぇぇぇぇぇえ！！！！」
その時…？
？「やめんか！！！！」
空を切り裂くほどの、
大きな声が響き、
同時に一瞬にして、
前鬼と後鬼がすくみ上がる。
？「その者は、儂（ワシ）の大切な客人。
失礼なことをするでなぃ！！」
前鬼＆後鬼「し、失礼しましたぁぁぁぁぁ！！！！」
…そう言うと、
前鬼と後鬼は恐れたように姿を消していった。
あ「…こ、これは認めて頂いた、
ということでよろしいのでしょうか…？」
ス「…まぁ、恐らくな…。
とにもかくにももうすぐ山頂や。
行こか…」
…そうして、
『西の覗き』から約15分。
ようやく見えてきた山頂に位置する、
大峯山寺。
…と、同時に…？
ズルッ！ズデーンッ！！！！
氷結した地面によって転倒し、
本日5回目の全身強打。
あ「痛いぃぃぃ、痛いよぉぉぉぉお…」
？「フォッフォッフォッフォフォッ…」
突如として聴こえてきた声に、
反応すると、
大峯山の頂上の雪原に…？
…。
……。
………。
…………。
飛鳥時代を生きた、
『伝説の呪術師』役行者が、
その姿を現した。
役行者「左様…。
うちの前鬼と後鬼が大変な失礼をした。
申し訳ない…。
おい、謝らんか！！」
前鬼「グ、グゲゲゲゲ…（ペコリ）」
後鬼「ゴゲゲゲゲ…（ペコリ）」
役行者「すまんが、
これで許してやってはくれんか…。
悪い奴らではないのだが、不器用な奴らでな…」
あ「い、いえ！とんでもない！！
もう大丈夫です…」
役行者「して…、ニギハヤヒから話は聞いておるぞ…。
何やら瀬織津姫について、
求めている者がいると…」
あ「は、はい…。
それで役行者さんのもとに行くと、
何かしらの手掛かりが頂けると聞いたもので…」
役行者「ふむ…。
その前に…アメノシタハル…。
お前も久しぶりじゃのぅ…」
シタハル「役行者様…、お久しぶりでございます」
あ「………。
あ、あの…シタハルさんって神さまですよね…？
神さまが元人間に敬語…？」
ス「…まぁ人にも関わらず、
それだけの恩が、役行者にあるということやろうな…。
それも瀬織津姫に関して、のな…」
役行者「それにスサノオ様…。
大変ご無沙汰しております…」
あ「そして、スサノオさんには敬語…」
ス「俺、俺、俺を誰やと思ってんねん。
俺は俺、俺、俺やぞ」
お主は瀬織津姫を求めているそうだが…。
その理由を聞かせてはくれぬか…」
あ「は、はい…。
ぼ、僕はひょんなきっかけで瀬織津姫さんと、
ニギハヤヒさんという封印されたと言われている、
神さまたちの存在を知り、
この旅を始めることになりました…。
その中で感じたこと、
それは…」
役行者「ふむ…」
あ「『あるべきものを、あるべき形で伝えたい』ということでした…。
今この現代でも、
様々な形で瀬織津姫さんやニギハヤヒさんについては、
伝えられているのですが、
その多くがどうしても、
高波動や次元上昇といったような難しい話ばかりで、
『瀬織津姫』という神さまがどういう神さまで、
『なぜこれだけ時代を越えて、多くの人に愛されているのか？』を、
語る人に出会ったことがありません。
そこを、僕は知りたい。
なぜ無限にいる八百万の神々の中で、
『瀬織津姫』という神さまが、
ここまで時代を越えて愛されているのか？
その理由を、これまでの人と神の歴史を、
あるべき形で知り、
あるべき形で伝えたい。
それが僕の、
この瀬織津姫を巡る旅の見据える未来です」
役行者「…そうか…。
それを望むのであれば、
…お主は少し…、
ワシらの生きた時代のことを知らねばならない…」
あ「役行者さんたちの生きた時代を…知る…？」
役行者「スサノオ様…。
少しこの者をお借り致しますが…」
ス「煮て食うなり、焼いて食うなり、好きにしろ。
まぁ食っても全然上手くもないハゲ頭やけ……」
スサノオさんがその言葉を言い終わるか、
終わらないかのうちに…。
僕の視界がグルングルンと音を立てるように回り始め、
同時に辺り一帯が真っ赤に燃え上がり始めた…。
大丈夫じゃ…怖いものではない…」
…『役行者の生きた時代を生きる』…。
一体何が始まるのか…？
瀬織津姫を巡る旅は、
その最大の手掛かりを握っているという、
役行者の生きた世界へと、
歩みを進めていく。
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(担当:山本時嗣)