荒川祐二&Teamスサノオで~す☆










『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。

※これまで掲載済みの話はこちら☆

1話目,『歴史の闇に葬られた女神』

2話目,『新たなる伝説の始まり』

3話目,『瀬織津姫が封印された時』

4話目,『瀬織津姫が愛した神』

5話目,『ニギハヤヒとは何者か?』

6話目,『瀬織津姫…が…現れた…?』

7話目,『瀬織津姫信仰の始まり』

8話目,『イワナガ姫の登場と新たなる謎』

9話目,『神話の裏側を見るということ』

10話目,『再開の音色が響く時』

11話目,『なぜ瀬織津姫を巡るのか?』

12話目,『バカなりに頑張るの巻』

13話目,『封印されし強すぎた神、再び』

14話目,『吉野の地に吹く風』

15話目,   『史上最悪の女帝』

16話目,   『天照という名のニギハヤヒ』

17話目,   『女神アマテラスと男神アマテル』

18話目,   『アメノウズメさん?が登場!』

19話目,   『感じる力を養う』

20話目,   『この世の始まりを告げる神』

21話目,   『君の名は』と瀬織津姫

22話目,    『辿り着けたニギハヤヒの正体』 

23話目,    『オオクニヌシとニギハヤヒ』

※イラスト from 瑠璃の星☆ミさん







いよいよ、


この時がやって来た。







瀬織津姫の夫神であり、


『この世の始まりを告げる伝説の神』、ニギハヤヒ。

その真実の姿へと向かう、


道のりを一歩ずつ、一歩ずつ踏みしめる中、

僕の脳裏に、様々な思いがよぎる。

この旅も以前の夏の旅のように、


まるで、導かれるように進んできた。



もし神さまがこの旅に、


『何か』を求めてくれているのだとしたら、


僕はその役割を、しっかりと全うしたい。

この『瀬織津姫を巡る旅』は、まだ道半ばでありながら、



これほどの気持ちになるなんて、


僕は想像もしていなかった。



引き締まる思いと共に、


目的地が近づき、






いよいよ、


『この世の始まりを告げる伝説の神』、


ニギハヤヒと向かい合う時がやってきた。






ス「ここまで自分で頑張ってきてんから、


今日はお前一人で話を進めろよ」



あ「…はい」

?「…久しぶりだな…」







その言葉と共に…、


大神神社のご神体である、


三輪山に鎮まる神、オオモノヌシが現れた。

オオモノヌシ「何の用だ…?


…っと言っても、用件は分かっているがな…」





あ「…はい…」









オオモノヌシ「率直に聞こう。


なぜ私が、ニギハヤヒだと思った?









あ「…世に言う『封印』というものは、


特別な結界を張ったり、儀式を行うものではありません。



瀬織津姫が大祓詞の中で『祓いの神』として、新しい形の神となったように。



ニギハヤヒさんも同様に、


違う形でその存在を、古事記の中に表記されたと思ったんです







オオモノヌシ「すでに古事記には、


ニギハヤヒに関する、直接の表記があるにも関わらず、か…?」







あ「…それほどまでに時の権力側にとって都合の悪い神の証だったのではないでしょうか。


二重三重のレッテルを貼らなければいけないほどの…」






オオモノヌシ「…それでは聞こう…。

 

その理由を…」






あ「…ニギハヤヒさんは、天を照らしながら降臨する、『隕石の神』です…。


そしてその神名は、天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊。



この『天照(アマテル)』というものに着目して考えた時…」





オオモノヌシ「………」





あ「古事記の中でオオモノヌシさんは、

 

オオクニヌシさんの国作りを助けるために現れた時、



『海を照らしながら現れた、光輝く神』として描かれています。



海は古来、『あま』とも読めます。


これを『海(あま)を照らす=天照(アマテル)』



そして光輝きながら現れる存在として、


『隕石』として考えることは出来ないでしょうか」





オオモノヌシ「………」





あ「そして古事記はその直後に、こう続けて記載しています。

 

 

『その大年神(※古事記に於けるオオモノヌシの別称)、


(中略)


天知迦流美豆比売(あまちかるみづひめ)を娶(めと)して生める子は…』。



この『天知迦流美豆比売』とは、


その名の通り、『天の水の姫=瀬織津姫』ではないかと言われています





オオモノヌシ「………」





あ「…それに古事記を始めとした神話の中には、


オオモノヌシさんが引き起こした祟りを、


その魂を祀らせることで鎮めるという、


エピソードがあります。



これは天武天皇、持統天皇の時代に、


ニギハヤヒさんと瀬織津姫さんを


封印したことによって引き起こされた、



隕石の落下を始めとした祟りを、


鎮めるための暗喩ではないかと思ったのです」





オオモノヌシ「………」



 


あ「…何よりその名称。

 

オオモノヌシさんの神名の一つに、


『倭大物主櫛甕玉命(ヤマトオオモノヌシクシミカタマノミコト)』があります。



この『櫛甕玉』という部分と、


『天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊』の、


『櫛玉』の部分的な一致…





オオモノヌシ「………」





あ「それにニギハヤヒさんという神は、


一説には古代の有力な氏族 物部氏が、


祀っていた神だとも言われています。



そこに照らし合わせて、


『大物主』という名の起源を、


古代と今の言葉は違えど、


偉『大』なる『物』部の『主』だったのではないかと、考えるのはいけないでしょうか?





オオモノヌシ「………」





あ「そしてこれが最後になりますが、


日本書紀には『国譲り』のあとに、



オオモノヌシさんも天上界の神々に帰順を強いられ、



その中で、


『お前がもし国つ神を妻とするなら、私はお前が心を許していないと考える。

 

それで、今我が娘の三穂津姫をお前の妻とさせたい』という場面があります」





オオモノヌシ「………」





あ「勝手ながら僕はこれが、


ニギハヤヒさんと瀬織津姫さんが、


引き裂かれたシーンだと思ったのです。



…こういった複雑怪奇な伝承の数々が…、



僕はこれこそが、


ニギハヤヒさんが『封印というものに絡め取られている姿』だと思い、



オオモノヌシさんこそが、


ニギハヤヒさんの、


人の歴史に於ける、


もう一つの別の姿だと確信するに至りました





オオモノヌシ「………」







あ「…これが…僕の…答えです」







…途中言葉が震えながらも、


何とか最後まで言い切ることが出来た。





それでも…?







オオモノヌシ「………」







…オオモノヌシさんは何も答えることをせず、



こちらをまっすぐ見据えたまま…、


長すぎるぐらいの沈黙の時間だけが過ぎ…。







…張り詰めていた空気が、


極限にまで至ろうとしたその時だった。







あ「え…?」

溢れんばかりの光が、

オオモノヌシさんの全身から放たれ、







…。

……。

………。

…………。







『この世の始まりを告げる神』、

ニギハヤヒが、


辺り一帯をその強い光で照らしながら、


姿を現した。









ニギハヤヒ「よくぞここまで…辿り着いたな…」







あ「ありがとうございます…。


お姿を現して頂き、光栄です…」







ニギハヤヒ「こうして真実の姿を現せるのも、


お主のおかげだ。礼を言う」







あ「と、とんでもないです…」





改めて姿を現して下さったニギハヤヒさんを前にして、



丁寧に接してくれているとはいえ、


その突き刺すようなご神威と余りの輝きに、


正直身体がすくむばかりで、


ロクに言葉が出てこない自分がいた…。

アマテラスさんの柔らかく包み込むような光とはまた違った、


肌に熱さすらも感じさせるぐらいの


まばゆい光が僕らを囲む中、



声だけが聴こえるように、


会話が繰り広げられる。







あ「しょ、正直な気持ちなのですが…、



今この場に立って、ニギハヤヒさんと何を話せばいいか、分からない自分がいます…」







ニギハヤヒ「…無理に話すこともあるまい…。



お主と私はこれまでの道のりで、


すでに、魂と魂が繋がり合っている…。



今日までの日々、非常に嬉しいものであったぞ…」







あ「ぼ、僕は…ニギハヤヒさんに…、


何をすることが、出来るのでしょうか…?」







ニギハヤヒ「お主の望むままに進むがいい。


求める道があるのであろう。



その道にこのニギハヤヒ…、


支援を惜しまん…」







あ「僕は…ニギハヤヒさんと瀬織津姫さんの、


歴史の裏側を知りたいです…」







ニギハヤヒ「…その先に何を求める…?」







あ「あるべきものを、あるべき形に…。



それが僕が、目指している未来です。


ニギハヤヒさんと瀬織津姫さんのこともそう…。



歴史の裏側に何があったかを


出来る限り知り、


それをあるべき形で後世に伝えていく…」





ニギハヤヒ「………」





あ「…それが今の僕の、役割だと思っています…」







ニギハヤヒ「………。


…承知した…」







ニギハヤヒさんがそう言うと、

 

辺り一帯を囲む突き刺すような光が、


一瞬これ以上ないほどに強くなったかと思うと、

すぐ後に、一旦の落ち着きを見せた。



光溢れる世界から、


日常の光景にゆっくり目を慣らしていくと、



そこにニギハヤヒさんの姿はなく、


声だけが僕の心に直接届いてきた。

ニギハヤヒ「…愛する我が妻…、


瀬織津姫と私のことに関しては、


まだ解かれざる封印がある故、


私自身は直接の動きがかなわぬ…。



しかし様々な神々の支援が、


これからお主に訪れるよう、用意をしよう。



まずは役行者(えんのぎょうじゃ)に会いに行け。


そのために我が妻を今も護りし私の部下…、


アメノシタハルに会いに行け…。



さすれば我が愛する妻、


瀬織津姫へと繋がる道も拓かれるであろう…」





あ「え、役行者…さん…に、

 

ア、アメノシタハル…さん…」







ニギハヤヒ「…我は『破壊と創造の神 ニギハヤヒ』なり…。



いつの時代も、


新たなる秩序を作り出すものの神となる…。



我はお主であり、


お主は我なり…」







あ「………。


…そうか…。


…今その言葉を聞いて…、分かりました…。



ニギハヤヒさんはずっと僕を、


見守ってくれていたんですね…。



僕はこの旅で、


ニギハヤヒさんや瀬織津姫さんの、


これまでの定説とは違うことを、


多く伝え続けてきました…。



でもそれがある意味の、


『破壊と創造』だった…。



この旅も実は、


自分で進んでいたようで、


僕はニギハヤヒさんに導かれていた…







ニギハヤヒ「…フッ…。


その旅路の最後まで…期待しているぞ…」







…その言葉が聞こえてくると同時に、


僕が身に付けていた隕石のネックレスが、燃え上がるような熱を持ったように感じた。

『この世の始まりを告げる伝説の神』の、

その姿と言葉を胸に焼き付けると同時に、



自分の心に、


揺らぐことのない芯が備わったことを感じた。







『この世の始まりを告げる、伝説の隕石の神』は、僕の心に燃え上がるような力を与え、



同時にこれから進む未来を、


大きく照らし出してくれた。







伝説の神々の期待を力に変えて、



新たなる『創造』の旅に出る。






しかしそれは決して、


これまでの歴史や誰かを否定する旅ではなく、



それぞれの歩んできた道のりを、


その魂の素晴らしさを、



肯定していくための旅。







『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』は、


一つの大きな区切りを経て、




いよいよ『伝説の女神』瀬織津姫へと、


向かう旅へと、


歩みを進めていく。

【皆さんにお知らせ】

いつもスサノオシリーズを楽しんで頂き、ありがとうございます。


『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』は、ここで一旦取材と旅の時間を取るため、次回アップまで少しの期間を設けさせて頂きます。


次回、再開は【2月25日前後】を予定しています。

 

そこからは一気呵成に、物語のクライマックスまで進んでいく予定です。


その日を楽しみに、どうぞお待ちください☆



※今回のブログ写真は三輪山が撮影禁止のため、他の画像をイメージとして使用しています。

※ニギハヤヒイラスト by AYUMI