暑かった夏が終わり、ようやく秋の気配を感じる気候となりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
2024年9月8日(日)13:30~16:30、福井県生活学習館ユー・アイふくいにて、第5回「支援者・保護者のための障害児・者性教育セミナーin福井」を開催しました。参加者43名の皆さんと共に学び合いました。
障がい児・者の「性」を学ぶ会《ゆいの会》では、2017年秋から青年のセミナー「まなぼう!はなそう!」を開催しており、コロナ禍による休止を挟んで、今年10月から5期目をスタートします。立ち上げ時にお手本にさせていただいたのは、千住真理子さんが堺市で取り組んでおられた青年の性のセミナー「せいかつをゆたかに」でした。2020年に支援者セミナーを企画したもののコロナ禍で断念し、翌年からオンラインで開催してきましたが、今回初めての対面開催となりました。幻の第1回にお呼びする予定だった千住真理子さん(せいかつをゆたかに実行委員会代表・自立訓練(生活訓練)事業所ぽぽろスクエア)に、「こころとからだの主人公に~青年の性のセミナーから見えてくるもの」と題して、講演をしていただきました。
千住さんは特別支援学校勤務の時に性教育を始めたのち、青年の性のセミナーや高等部卒業後の学びの場「ぽぽろスクエア」での「こころとからだの学習」へと取り組みを広げてこられました。そのねらいを「幸せに生きるために学ぶ」と表現されているように、生涯を通じて自分らしく生きるための学びとして、学齢期以降のフォローにも取り組まれてきました。幼い時からの「快」の体験の積み重ねにより、「不快」がわかり「イヤ」と言う時がわかるようになること、自分のからだと異性のからだを知ることを通して、からだの素晴らしさに気付くことなど、ウンウンと頷きながら聞き惚れてしまいました。
学習の様子をたくさんの写真で紹介していただきましたが、生徒さんや青年たちの具体的なエピソードがわかりやすく魅力的でした。私が特に印象深かったのは、「自分で決める力は障がいの重さとは関係がなく、経験の差が出る。自分で決められる人のほうが暮らしやすい。」というお話でした。家庭でも学校でも自分で決める機会をたくさん作り、「自分のこころとからだの主人公」に育てることの大切さを強調されていました。言葉で「YES/NO」が表出できない人でも、支援者がちょっとした仕草を見逃さずサインを決めて使っていくうちに意思表示のツールになることがあり、本人の自己決定の尊重は支援者の務めであると明言されていました。人権の視点、権利擁護の考え方を大切にされていることが伝わりました。
講演後の質疑応答では「サイコロゲーム/おねがいゲーム」の進め方や、保護者への伝え方などの質問が次々と上がり、皆さんの性教育への熱意を感じました。参加者の感想にも、「否定的な声かけではなく、正しい方法、正しい行動の仕方を伝えていくことが大事だと学べました。」、「快がわかることで不快がわかるというお話が印象的で、やはり性教育は大事だなと思いました。」などの声が寄せられています。
交流会では、家族、事業所職員、教員など、それぞれの悩みや意見を率直に語ってもらうことができました。学齢期グループでは、周囲との距離感の身につけ方などが話題になりましたが、保護者からの質問に答える時間が足りなかったという報告があり、同性の子の親同士で意見交換できる場がほしいという声もありました。青年・成人期Aグループでは、保護者からお子さんの性的な行動や恋愛についての不安な気持ちが、また事業所職員からは利用者の性行動に苦慮している様子が語られ、千住さんや参加者がお互いに助言や提案をしていました。青年・成人期Bグループでは、ふれあい(スキンシップ)を求める人へのかかわりについて、また過去に性的虐待を受けた人への支援について話し合いました。性教育に取り組んでいる参加者が保護者の疑問や悩みに答える場面があり、数年間セミナーを続けてきたことの成果が感じられました。
最後に伊藤修毅さんから「何度も繰り返し学ぶことで、思い込みや刷り込みを修正していくことができる。一緒に学んでいきましょう。」とご挨拶をいただいて閉会しました。
(文責:ふくいサークル 菅井純子)
【講演をしていただいた千住真理子さん】