支援者・保護者のための 障害児・者性教育セミナーinふくい 報告 | 障がい児・者の「性」を学ぶ会 《ゆいの会》

障がい児・者の「性」を学ぶ会 《ゆいの会》

障がいのある人たちの豊かな生活を支援していくために、「性」について学びましょう

 障がい児・者の性を学ぶ会《ゆいの会》は、2021年11月7日(日)に2回目となる支援者セミナーをオンラインで開催しました。67名の参加者のうち約3分の2が県内からの参加であったことは、これまでの地道な活動の成果ではないかと考えています。

 

 講演は「性教育実践、はじめの一歩~一緒に学び、語り合い、知ることからはじめよう~」で、講師は永野佑子氏(障害児・者サークル前代表)です。永野さんのお話は1週間前の選挙の話題から始まり、政治によって福祉や教育の制度は変わりますが、政権を変える力を持っているのが投票です。「日本の社会では政治と性に関する会話が遅れている」とのご指摘は、とりわけ刺さりました。

 永野さんが半生をかけて実践してこられた性教育の根幹にある揺るぎない信念が、親しみやすい語り口から伝わってきました。生き辛さを抱える障害のある子どもたちにとって、性教育は人間の尊厳に気づかせ、自己肯定感を育て、人間の平等・同等を学ぶ人間回復の教育です。それには大人(支援者)にこそ性の学びが必要であり、禁止や抑制ではない本当の性教育を子どもと一緒に学ぶこと、まずは教材や絵本を読むことから始めては、ということで、たくさんの本を紹介し、大切なポイントも説明してくださいました。

 

◎年代別交流会

 就学前~小学生グループでは性器タッチや距離感について、中学生・高校生グループではカップルの支援について、成人グループは2グループあり、矯正施設(刑務所)や地域生活定着支援センター(犯罪を犯した方の就労支援)での性教育の必要性、福祉施設での利用者への支援についての話題などが出ていました。少人数で気楽に意見や感想を交流することができ、助言者からの具体的なアドバイスがあったことも好評でした。どのグループにも共通して、「ふれあいの文化」を育むことが、障がいのある人たちの豊かな「生」への支援であることが確認できたように思います。

 

◎参加者の感想より

・最初に性教育が価値観を変えて、ひいては自信を持つことにつながるという話が、なぜそうつながっていくのだろうと感じました。しかし陰部を触ることでの快感や落ち着き、欲求を自分で満たす性的自立、そしてふれあいの文化を保証することで関わり方を学ぶ機会になったり、性的欲求が間違った方向にいかない関りになりえると納得できました。 そして、性加害者の支援にあたりながら、性に関しての話をしてこなかったことを、恥ずかしく思いました。ご紹介いただいた本を参考に、性教育について学び直すきっかけにし、性で困っていることがないかにも、丁寧に耳を傾けていきたいと思います。

・永野先生の講義を聞いて、今日からが性を学ぶ機会の始まりになりました。

・性について当たり前の教育が日本は遅れている。恥ずかしい、いけないこととの価値観を払拭して大事な体について学び合うことが必要だと思った。

・自分の施設内事業所全体において「ふれあいの文化」をつくり、育てていくことで、職員自身の学びにもなると思います。

・問題となる行動を消失させようという意識でいましたが、どのように付き合っていくかという認識がまず必要で、その為には、支援者自身のセクシャリティへの理解を深めること、そして対象の方の性の向き合い方を知ることが大切だと感じました。