【最速面白ライブレポ】うみのて, Khaki(カーキ)の2マンライブ@新宿Marble | とかげ日記

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👇のうみのてTシャツで行ったのだけど、メチャ寒かった。笹口さん、Tシャツ一枚でも寒くないMUTEKIのTシャツを作ってくれ🥺 まあ、上に着れば良いだけですが…💦


以下、出演順に感想を書きます。MCの内容はうろ覚えなので大体での意味と捉えてください。内容には正確を期していますが、間違った内容のものがあったら、コメント欄やツイッターアカウント(@yoyo0616)までお知らせくださいね。

●うみのて
マイワタナベさん(Gt.)は体調不良のため、本日のライブはお休みとのこと。ごゆっくり休まれて、お大事になさってくださいね! フロントマンの笹口騒音さんがMCで「ハンディキャップをなくしてKhakiのメンバー数の5人に合わせたのさ、へへへ」みたいなことを言って笑いを取っていてウケた。

さて、うみのてのライブ。一曲目は「今日のニュース」。「プーッチン」との掛け言葉だけど、日本のバンドで「プーチン」という言葉が歌詞になったのは初めてか、かなり早い方だと思う。そう、昨年発表されたこの歌は現在のリアルを最速で歌った、将来に残っていく普遍的なリアルタイムソングなのだ。

「今日のニュース」を聴きながら、冒頭や間奏に響くしんみりしたファルセットに酔いしれ、反戦歌としての歌詞の風刺の鋭さと説得力に何度もうなずく。

そして、二曲目「TALKING BABY BLUS(HEY BOY HEY GIRL)」からフルストロットル! 見たか、Khakiファン。これが うみのて のカオスな迫力だ!!

笹口騒音さんのボーカルやギターは混沌とした世界を貫く銃弾のようにホットな鋭さだし、円庭鈴子さんの鉄琴や鍵盤の音のアタックは凛とした涼やかな光のようだ。ダークな世界の中の希望としてそれら(銃弾と光)は夫婦のように寄り添いながら鳴り響いている。

代表曲の一つ「もはや平和ではない」を聴けて良かった〜。うみのてを知ったきっかけのは、もは平のシングルをタワレコで試聴したからだしね。それにしても、「もはや平和ではない」という言葉がこんなに痛切に刺さる時代が来るとは思ってもいなかった。



「砂漠です」のあきもとさんによるウニョウニョうねるベースが気持ちE! 楽曲のセクシーさが3割増しです。その後に演奏した「テトリキッス」もそうだけど、セクシーな曲でベースの果たす役割は大きいな。そして、キクイマホさんのドラムはしなやかな静脈のようにリズムの体幹に血液を流している。



スマパンTシャツを着たムルアイさんによる弓ギターの奔放な轟音によってロック成分増し増しの「SAYONARA BABY BLUE」もカッコ良かった!



ラストは「MUTEKIの歌」。照明で鮮やかに照らされた"うみのて"の5人の姿は、その美しい音楽に負けないくらい一つの絵画として成立していて尊い光景だった。


👆セットリスト(ムルアイさんのTwitterより)

●Khaki(カーキ)
「いい女」や「男前」といった形容と同じような感じで「いいライブ」であり「いい音楽」だった。真っ当で魅力的であり、セクシーさも感じる音楽。(だけど、曲の伝えるフィーリングがストレンジなところが新しい。)

「pao」で始まる。この曲は僕が「子宮」と並んで一番好きな曲。Khakiの音楽の旨味はミドルテンポの曲の中にあると思う方が多いだろうが、実は「pao」のようにアレグロで疾走する曲にこそあると僕は考える。



そして、その「子宮」も聴けて大満足だ。「子宮」のサイケデリックな音空間はまさに別次元。村上春樹「1Q84」のように二つ目の月を見つけてしまったかのような奇妙な違和感が持続する。見たか、うみのてファン。これがKhakiの狂気だ!!



ところで、僕の浅薄な考えでは、芸術というものは遺る(残る) ものということが本質の一つである。普通の作品の価値は時間のふるいにかけられて摩耗していくが、芸術性のある作品は摩耗しにくい。そう、瞬間消費の作品は次の時代まで遺っていかないのだ。そして、真に優れた論文や芸術は、時代を経ても遺っていく次世代への贈り物でもあるのだ。

事実、20世紀の文化作品で今も残っているものは芸術的な価値があるものだから残ったのだ。(インターネットの発展により、21世紀のものは22世紀以降も残るかもしれないが、その場合でも芸術的な意味がある場合に残って行きやすいだろう。)

さて、Khakiの音楽からは、安易に時流に乗らず、ニッチだけど普遍的な価値を追求している印象を受ける。それこそ、芸術的な志向のあり方だ。歌詞とサウンドの残す(遺す)違和感にリスナーは自分の世界観を揺さぶられ、恍惚を覚える。この音楽は、きっといつの時代にも鮮烈に響くだろう。

「この作品で世界を変えるという心意気で作品に臨んでいる(結局は世界は変わらないけど)」と宮崎駿監督は言っていたが、Khakiにそれを感じるという笹口さんのMCでの言葉。その言葉、うみのてにも感じます!

そう、うみのてもKhakiもロックの向こう側へ行くことを志している。そこではどんな新しい価値観があるのか、どんな新しい美しさがあるのか、彼らは模索している。

見方を変えるということは、世界を変えるということ。リスナーの一人一人がロックの向こう側に思い描く光景が世界を変えていくのだ。

うみのて もKhakiもキャパのより多いライブハウスに順調にステップアップしていってほしい。正直、150人や300人クラスのキャパで終わるようなバンドだとは僕は思わない。今度この2マンをやる時には、Zepp Shinjukuでやれたら最高ね。


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5/7(日)新宿Marble

Marble 19th ANNIVERSARY
「rocknomukougawa2023」

うみのて
Khaki

OPEN18:30/START19:00

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