メリットは訪問介護、在宅支援がしやすくなること?

 昨日2月1日の新聞に市広報と合わせて「市議会だより」が折り込まれていて、表紙には、「市民病院整備・野洲駅南口周辺整備の方向決まる!」と大書されていた。やはり、先日書いたように議会としては、病院と駅前問題は決着済みであると認識していることが確認された。

 表紙に続くページでは、昨年11月の病院と駅前の特別委員会の概要が特集されている。これについては、それぞれその時に紹介したので省くが、なかにひとつ気になったことが。それは次のやり取り。 

  整備費用が駅前と比較して約9億円上がるが、この場所に整備するメリットは。

 答 野洲の中央に位置すること、平面駐車場の確保、訪問介護、在宅支援がしやすくなること等である。

 

唯一のメリットは成立しない 病院で訪問介護はしない 老健施設転用想定か?

 この答の意味は分かりにくい。質問した議員は納得して質問を終えたのだったか?「市議会だより」の編集者は、この答の意味が理解できたのか?

 文字どおり読めば、野洲の中央に位置するこ自体がメリット(利点)であると答えていることになる。ところが、言うまでもなく、常識的に考えて、病院がまちの真ん中にあることだけでは利点になりえない。となると、この文全体で理解して、中央に位置するので、訪問介護や在宅支援で市内に出向くのに便利であることが利点だと答えていることになる。

 しかし、そうなると、この答は間違い。なぜなら、病院では介護保険適用の介護事業(サービス)は行なわないし、行なえない。また、在宅支援も医師会の会員である開業医との連携での実施となる。実際、患者の居宅に出向くのは開業医やそのスタッフ。前川管理者も直接に病院の医師等が患者の居宅に出向くのは困難だと議会答弁した。このように見てくると、体育館病院の唯一の利点は成立しない、言いかえれば嘘だということになる。

 それとも、建物が建ってから、あるいは開院前に病院としての運営が困難になることを見越して、老健施設(介護老人保健施設)に転用する意向であることが、図らずも答弁として表れたのか?

 

ここまでの随契の繰り返しは公共発注では異例で異常

 ここまで書いてきて、市のホームページを開いたところ、「トピックス」の最初に、「野洲市民病院整備事業設計・施工事業者の決定方法等に関する大綱」を制定したとの記事が出ていた。

 読みにくい資料ではあるが、要するに新病院整備を基本設計段階から設計施工一括発注することを内部で定め、そのスケジュールを示したもの。

 まず、この資料を見て気になったことは、設計施工一括発注にあたっての入札の基本資料となる要求水準の策定が、基本計画案を策定した株式会社プラスPM等に昨年12月26日付で随契されていること。そして、その後も竣工まで、コンストラクト・マネジメント専門業者である株式会社プラスPMへの業務委託随契が実質的に想定されているようであること。

 この事業者は当初、単に、駅前Bブロック病院の基本計画案策定業務のプロポーザルに応募した唯一の者であった。このような始まりで、ここまでの随契の繰り返しは公共発注では異例で異常。

2月議会は実質的に栢木市長2期目立候補表明の場 議会はその信任の場

 なお、同じくホームページに1月30日の部長会議録が掲載されていて、この大綱が議題になっている。そこでは、この設計施工一括発注する病院整備事業の予算を令和5年度当初予算で提案することが示されている。2月28日開会の定例会に提出される。

 ただし、先日書いたように、2025年3月にならないと具体的な整備事業費が判明しないため、「基本計画で算出した概算事業費に物価上昇を加味した形で」積算するとの説明。

 基本計画の精度が相当高ければ別だが、昨年11月14日の評価委員会での形式的審議と県立大の陶器教授による地盤安全確認の検証しかない基本計画。これを基にした予算の積算では実際額との大きな開きが見込まれ、危険。しかし、市議会は市民病院整備の方向が決まったと認識していて、関心は文化ホールに移っているようなので、予算案が可決される見込みは高い。

 ここまでくれば、栢木市長と事業の実質的責任者である前川管理者は、少なくとも2026(令和8)年度末の開院までは責任を持って臨んでいるはず。いや、開院だけではダメで、その後の健全運営までの見込みが立つまでは、何らかの責任はある。

 ということは、見方を変えれば、この2月議会は、実質的に栢木市長の2期目に向けての立候補表明の場になる。そして、議会としては、図らずも、そのことを信任する場となる。