「公共工事のルールを逸脱し、会計法に抵触も」

 今日のネットニュースに「東北復興工事、入札経ず契約 既存事業に費用上乗せ5件」(日本経済新聞2024年2月19日 インフラコストの深層 NIKKEI Investigation」)の見出し記事があった。
 会員制の記事なので記事全体は読めないが、表示されている部分だけでも参考になる。記事は、次のとおり始まっている。
 「国発注の東北復興工事で、競争入札や随意契約を実施せずに施工された工事が5件あることが分かった。別の既存工事の受注業者と増額契約を結び、工事を依頼して費用を紛れ込ませていた。5件の総額は35億円超。入札で受注業者を決める公共工事のルールを逸脱しており」(日本経済新聞2024年2月19日)

 そして、【この記事のポイント】として、次の3点が掲げられている。

・完成を急ぐあまり入札手続きを怠った可能性

・公共工事のルールを逸脱し、会計法に抵触も

・透明性を確保するルールづくりが求められる

一般競争入札が原則 指名競争入札、随意契約は限定的に認められる

 これまで話題にしてきた野洲市の病院建設に関する入札・発注・契約手続きは、まさにこの記事の指摘に類する。

 市の内部情報まで把握できないため、いきなり断定するわけにはいかないので、違法性が濃厚などという表現にしている。しかし、市の公表情報からだけでも、法が定める公共発注の入札・契約制度からは大きく逸脱し、違法性が濃厚であることは確か。

 紹介した記事の場合は国の事業であるため、会計法だが、市の場合は地方自治法。その地方自治法の第234条第1項には、

 「売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」とある。

 

 

地方自治法と施行令では随契は「工事又は製造の請負」は250万円の範囲内

 しかし、第2項で「前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。」と厳しく限定している。

 そして、政令(地方自治法施行令)の第167条の2第で「地方自治法第234条第2項の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。」と規定し、続く第1項以下で具体的に定めている。煩雑になるので、例外規定を省いて基本部分だけを引用する。

 第1項は「売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(貸借の契約にあつては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。」

 ここに「別表第五」を掲げるが、随意契約できる「工事又は製造の請負」は250万円の範囲内と定まっている。何を根拠に数十億円の随意契約ができるのか?栢木市長と前川管理者は追加発注と言っているが、契約の内実は違法な随意契約に他ならない。

なぜこのような違法性濃厚なことが、議会も含めていつまでも通用しているのか?

 さらに、株式会社プラスPMとの数千万円の随意契約の繰り返しも同じく問題だ。

 先月末のニュースで国立病院機構の病院での贈収賄事件の報道があった。報道には、「『緊急性ある』と随意契約か事務用品の納入をめぐる贈収賄事件で逮捕された病院の元職員が『緊急性がある』として随意契約にしていた疑いがあることが捜査関係者への取材で分かりました。」(NHK 2024年1月29日)とあった。

 野洲市ではなぜこのような違法性濃厚なことが、議会も含めていつまでも通用しているのか?