海の番人
2010・4・22~鹿児島・屋久島~
いつも見て思う。「海の番人」だな。北部のポイント「ゼロ戦」。文字通り、戦中に沈没した戦闘機の残骸が真っ白な砂地の上にポツンとあった。目の前を覆い尽くすクロホシイシモチの間をのぞくと、3匹のアザハタがどっしりと腰をおろして休んでいた。アザハタの棲家は、いつも岩礁から離れた深場の砂地の根にある。だから、大海原の奥に住む番人のようだ。場所によっては「よく、おいでなさった」と明るく出迎えてくれることもあるのだが、ここのアザハタさんは「ワシの森を荒らすのではないぞ!!」とダイバーに注意しているようにも感じた。そう思い込むと、森を取り囲む“家来”のクロホシイシモチやケラマハナダイなどを温かく見守っているようにも見えた。アザハタを撮るのは本当に難しい。いつものように反省していると「もっと勉強しなされ!!」と“屋久島の番人”から叱咤激励された気がした。
海の中でトレッキング??
2010・4・21~鹿児島・屋久島~
世界自然遺産で潜るのって、どんな気分なんだろう??ずっと、そんなことを思いながら、いつも上空をスルーして沖縄に行っていた。ついにやってきた。日本で一番、生きものの種類が多いといわれる屋久島に初上陸だ。言わずと知れた縄文杉鑑賞をはじめ、トレッキングで多くの観光客が来る場所だが、ダイビングが拙者の最大の目的。「ダイビングだけで来るゲストは珍しいですよ」と、いろんな人に言われたが、そんなことは気にしない。山に登らずとも、潜って自然遺産を味わうこともできるんだ!!そんなことを考えながら潜っていると、ウミウシカクレエビがトレッキング?していた。ナマコのおなか側を探して見つけるのだが、この約1センチの極小エビはピョンピョンはねて、背中側に移動。まるで、連なるオレンジ色の小高い山をせっせと歩いている登山者のようにも見えてくる。そんな健気な姿を見て思う。「やっぱり、トレッキングして帰ろうかなあ…」。
遅咲きさくら
2010・4・17~京都・京都市~
スカッと晴れた京都にやってきた。遅咲きさくらで有名な御室仁和寺だ。関西各地の名勝でも散り始めている中で、御室さくらは満開だった。前日は雨。花びらが落ちていないかと不安だったが、よかった~。よ~く見れば、つぼみもあるほど。見上げることが多いさくらだが、ここのさくらは樹高が低いため、目線でじっくりと鑑賞することができる。子ども目線のものまであり、時にはかがまないと通れない場所も。360度を囲まれ、まるでさくら畑だ。強烈な花のにおいが鼻の奥までストレートに入ってくるため、頭がクラクラしてきた…。多くの家族連れやカップルでにぎわっていたが、遠くから「わあ~、さくらのトンネルだ。こんなの初めて~」という声。うん、確かにそうだ。僕も初めての経験だった。なんとも言えないぜいたく。関東地方では吹雪が見られ、本当に春だろうか??って思ってしまうほど。年を追うごとに、季節の移り変わりの傾向が分からなくなってきた。「御室さくらが散れば、春が終わる」という言い伝えがあるが、本当に春は終わるんだろうか??


