フーテンの横チン -339ページ目

ずっと見たかった群れ


フーテンの横チン

 2010・4・25~鹿児島・屋久島~

 予告なしのプレゼントだった。コブシメの産卵撮影を狙いでダイブしたポイント「お宮前」。オス1匹と空振りに終わった3日前とは違い、多くのカップルが交接、産卵に励んでいた。産卵の瞬間を待つ途中、遠くを見ると、なんとツノダシの群れが通過するではないか!!いつもはロクセンフエダイやカゴカキダイが群れている場所に向かうと、150匹超の群れをなしてグルグル回っていた。これまでは2、3匹で群れているところを見たことがあるだけ。めったにないチャンスだけに、撮りに撮りまくった。集団行動しているから怖くないと思っているのだろうか。グッと寄っても逃げないし、逆にダイバーのほうに向かってくる。ガイドさんいわく「1年で1回、見られたらいいぐらい」。ずっと見たかったツノダシの群れを屋久島で見られるとは…。世界自然遺産のバイタリティー、恐るべしだ。

フーテンの横チン

 もちろん、コブシメの産卵もしっかりと見た。産卵場所のサンゴの上にカップルでやってくると、メスが細長い足をサンゴの奥に突っ込んで白い卵を植え付けていた。せっせと産卵に励むメスを見守るように、オスが背後でダイバーをしっかりと“監視”していた。大丈夫ですよ~、邪魔なんてしませんよ~。そんなほほえましい姿を見て、海の世界の神秘性を感じた。本当、ダイビングっていいですねえ。



もののけ


フーテンの横チン

 2010・4・24~鹿児島・屋久島~

 耳をすませば、アシタカやサンの声が聞こえてきそうだった。ダイビングをお休みし、白谷雲水峡へ向かった。トレッキング好きなら、誰もが訪れたい場所だろう。数え切れないほどの屋久杉と照葉樹が生い茂り、コケで緑に覆われた原生林を眺めながら歩く。川のせせらぎ、鳥の鳴き声が心に響いてくる。アップダウンの激しい山道が足と腰に疲労を蓄積させる。日ごろの運動不足を痛感し「引き返そうかな…」と何度もくじけそうになったが、マイナスイオンたっぷりの空気が心を癒し、背中を押してくれる。そんなこんなで歩いていくと、ある原生林に到着。ジブリファンなら、誰もが知っているアニメ映画「もののけ姫」の舞台のモデルになった場所だ。拙者も大のジブリファン。屋久島に来たら、一度は見てみたいと思っていた景色だった。目を閉じて心を無に。すると、都会での生活に疲れた体の奥底に、無限大のパワーが注入されていくような気がする。ああ、来てよかった。こんな幽玄な世界って、屋久島のほかにあるのだろうか??

超々マクロ


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 2010・4・23~鹿児島・屋久島~
 難易度Eの被写体だった。白波が立つ悪条件の中「タンク下」でダイブ。マクロ生物の宝庫のポイントで、なかなか見られない超々マクロがいた。海藻の隙間に、体長約5センチのツユベラの幼魚を発見したのだが、その横にさらに小さな幼魚が泳いでいた。2センチもない。生まれたてかな?初めて見る極小サイズだけに、マクロ好きの血が騒ぎ始めた。だが、これがなかなか写真に収めさせてくれない。ただでさえ小さな魚がチョロチョロ動くし、うねりがあって拙者の体を揺らしまくる。さらに、海藻や石ころなどの障害物もかぶりまくって邪魔をする。いままで経験したこともない悪条件!ク~ッ、ムカつく~!!負けてたまるか~!!!こうなったら、意地でも撮ってやる!!!!カメラ派ダイバーにありがちな視野の狭さが久々に出てしまった。岩をつかんで、片手でカメラを持ったり、カメラを石ころの上に置いたり…。悪戦苦闘し、マンツーで付き添ってくれているガイドさんの存在さえも、しばらく忘れてしまった。たった
1匹の被写体を撮るのに費やした時間は37分!!!!「こんなの、初めて」と友近もびっくりだ。ガイドさんいわく「こりゃ、声を掛けない方がいいな、思ったくらいでした」。ダイブタイムも自己2番目の99分。ドライスーツで潜っていたガイドさんが急いで脱いで、トイレに行く姿を見て「ごめん…」とつぶやくのだった。