フーテンの横チン -338ページ目

背中で…

 2010・4・30~大阪・某所~

 やっと、屋久島で撮った写真の整理が終わった。ああ、しんど…。ホッと一息ついていたら、3月に潜った和歌山・須江の写真がほったらかしであったことに気付いた。あちゃ~。見返していると、ウミウシ中心の写真だったのだが、けっこう面白いカットがあった。ここで取り上げる2枚は、ともに背中で何かを語っているようだった。



フーテンの横チン


 シコを踏んでいるように見えませんか??アニメのピカチュウのモデルになったと言われるウデフリツノザヤウミウシ。いた場所が悪く、最初は後ろからしか見えなかった。ファインダー越しに見ていたら、左足を高々と上げているじゃないですか。まるで、元横綱貴乃花ばりのきれいなシコ。正面から見ると、かわいい顔をしているのだが、背中から見ると力強いし、迫力十分だ。



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 ずっと見ていたら、なんだか哀愁を感じます。海藻の上にポツンと座り、どこか遠くを見つめているツノザヤウミウシくん。一生懸命、頂上にはいあがった後、休憩に入ったところだった。この大海原の中では、ちっぽけな存在だが、目の前に広がる夢に向かって大志を抱いていたのかもしれない。普段は正面や斜め前、横からしか撮らないのだが、こうやって後ろから撮ってみても、絵になるんですね。

やっぱり、すごかった。

 2010・4・27~鹿児島・屋久島~

 実際に足を踏み入れて感じたこと。「世界自然遺産って、奥が深い」。あっという間に、時間が過ぎていった。たった中6日の旅だったが、ガイドブックや写真を見ただけでは分からない屋久島のすばらしさ、雄大さを肌で感じ取ることができた。海を潜り、山を歩いた。おいしい空気を吸い、海の幸をいただいた。もちろん、島内の100分の1も見ていない。こんな短い時間で、理解できるわけがない。でも、自分の目で見ることが大切なのだ。まずは海から振り返ってみよう。ここでは、いままでの日記では紹介できなかった、印象に残った生きものを紹介。カラフルな写真をいっぱい撮れた。

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 海の中で花開く黄色いイバラカンザシの前でハサミを振り回すカンザシヤドカリ。かつて生きていたイバラカンザシの空き家となった穴に棲んでいるのだ。う~ん、絵になりますね。


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 ひと際目立つオレンジ色のジョーフィッシュだ。親指ほどの大きさなのだが、大きな目でダイバーを興味深そうにジッと見つめていた。


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 通称「枝豆くん」らしい。ムチカラマツに絡みついていたノコギリハギの幼魚。人見知りなのか、レンズを向けると、ムチカラマツの陰に隠れてしまう。そんな姿がかわいかった。


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 真っ黒な体だったから、最初は分からなかった。マジマクロイシモチのオスがガンガゼの中に隠れて口内保育していた。あふれるほどの卵を大事そうに守っていた。メスはどこ???


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 こんな大きな群れを見たのはマレーシア・シパダン以来。ツバメウオの群れだ。ガイドさんが反対後方から追い込んでくれたから、固まった写真を撮れた。

 日本で一番、生きものの種類が多いといわれる屋久島。当然ながら、すべてを撮ることはできなかったが、満足はできた。屋久島ダイビングライフhttp://yakushima-diving-life.com/ のガイド・いたるくんは拙者と同じカメラ派ダイバーだけにやりやすかった。いい意味で放置プレーをしてくれたしね。ありがとさん。今度来る時は、稀種を見せてね~。しっかり開拓しといてね~。

 山もすばらしかった。さすがに縄文杉鑑賞まではできなかったが、名所「白谷雲水峡」は歩いた。生い茂る屋久杉にコケを眺めながら歩き、清流の音を聞く。都会の喧騒を忘れさせてくれる。心が洗われる気がした。


フーテンの横チン

 太鼓岩からの眺めは言葉にできないほどのすばらしさだった。終盤にさしかかったところで急こう配の山道を登らなくてはならず、日ごろの運動不足の脚はガクガク…。ヒザも痛い…。あまりのキツさに引き返そうと思ったが、遠く宮之浦岳を望める絶景を見た時「登ってよかった…」と思った。


フーテンの横チン

 数ある屋久杉の中で気に入ったのが、この三本足杉だ。その名の通り、3本の太い根が根付き、天まで伸びる幹をしっかりと支えている。長い年月をかけて育ってきたことを如実に示す太い幹。言葉にできない。


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 道中では、鹿を見ることができた。親子だろうか、カップルだろうか。横目で警戒しながら、ムシャムシャと草を食べていた。まさか、こんなところで見られるとは思わなかった…。


フーテンの横チン

 疲れた体を癒すには、温泉が一番!!レンタカーを走らせて、島南部の湯泊温泉に向かった。海を眺めながら湯船に浸かる。なんてぜいたくだ。ただ、ぬる~い湯だっただけに、熱風呂好きの拙者にはものたりなかった…。ほかにも、平内海中温泉などもある。時間がなかったため行けなかったが、次は行きたいな。

 屋久島は広い!!今度はじっくりと時間をかけて回りたい。また来たい。そう思わせる何かが、パワーが、この屋久島にはある。


魚にだって、表情はある。


フーテンの横チン

 2010・4・26~鹿児島・屋久島~

 何かのテレビ番組で「魚に表情なんかあるんですか?」というコメントをしていた記者がいた。この人は鮮魚店やスーパーなどでしか魚を見たことがないんだろうな。生きている魚を間近で見ているダイバーなら「何バカなことを言ってんだ!!」と思うだろう。クダゴンベは普段、カッコいい顔をしている。背びれを広げ、長いくちばしをこちらに向けて鋭い目でダイバーをにらんでくる。まるで歌舞伎役者のようで、男の拙者でもウットリするほどの二枚目なのだ。しかし、気が緩むこともあるんだろう。時々、目をキョロキョロさせてトボけた表情を見せてくれる。何か考え事をしているんだろうか?それとも、物思いにふけているのだろうか??三枚目になる瞬間を見た時、思わず吹き出してしまう。地上で暮らす人間とは別世界の大海原にいても、魚たちは同じ生きものであることを再認識させてくれる。何度もダイブしていても、このようなさまざまな表情を見せてくれると、もっと海の世界を知りたいという欲求は膨らんでくる。だから、ダイビングはやめられない。