魚にだって、表情はある。
2010・4・26~鹿児島・屋久島~
何かのテレビ番組で「魚に表情なんかあるんですか?」というコメントをしていた記者がいた。この人は鮮魚店やスーパーなどでしか魚を見たことがないんだろうな。生きている魚を間近で見ているダイバーなら「何バカなことを言ってんだ!!」と思うだろう。クダゴンベは普段、カッコいい顔をしている。背びれを広げ、長いくちばしをこちらに向けて鋭い目でダイバーをにらんでくる。まるで歌舞伎役者のようで、男の拙者でもウットリするほどの二枚目なのだ。しかし、気が緩むこともあるんだろう。時々、目をキョロキョロさせてトボけた表情を見せてくれる。何か考え事をしているんだろうか?それとも、物思いにふけているのだろうか??三枚目になる瞬間を見た時、思わず吹き出してしまう。地上で暮らす人間とは別世界の大海原にいても、魚たちは同じ生きものであることを再認識させてくれる。何度もダイブしていても、このようなさまざまな表情を見せてくれると、もっと海の世界を知りたいという欲求は膨らんでくる。だから、ダイビングはやめられない。