フーテンの横チン -283ページ目

暗闇の中の観覧車~その1~


2014・1・13~愛媛・松山市~
 いつも、会社からの帰りに見かける観覧車を上から眺めたくて、松山城に登った。すでに終了しているロープウェイを横目に、約15分かけて天守閣近くまで。南方向、伊予鉄高島屋の上で回る観覧車は青、赤、白…とカラフルな色を放っていた。3連休中のためか、あるいは節電のためか、二十四万石の街は思ったより明るくなかった。だから、観覧車が余計に輝いて見えた。
 小さなころ、梅津寺パークに遊びに行った。高所恐怖症でありながら、なぜか観覧車にだけは乗りたがった。ガタガタと壊れそうなジェットコースターには怖くて乗れなかったのに、観覧車は好きだった。昔もいまも高所恐怖症のくせに、瀬戸内海を望むことに夢中だった。観覧車とメリーゴーラウンドがあれば、ほかには何も要らなかった。
 梅津寺パークはすでに閉園し、観覧車はもうない。目の前の観覧車と心の中の観覧車はまったく違うが、いつか乗ってみたいと思った。あの空間で、カップルが愛を語らっているのかな?夜風に吹かれながら、そんなことを考えたりした。そして、ちょっぴりさみしくなった…。

日曜日はカレー曜日~その5・ホールトマトカレー~


2014・1・12~愛媛・松山市~
 新感覚の味だった。突然、トマトを食べたい衝動に襲われた。そうだ、トマトカレーにしよう。スーパーマーケットに行き、野菜コーナーで探したら、完熟で1個158円。高っ!!別のコーナーに陳列してあったものは、まだ熟れていないのに2個158円。高いのか、安いのか?よく分からん…。最近、主婦の金銭感覚になっている39歳の独身男は結局、ホールトマト缶を手に取った。初めて買ったのだが、これが正解だった。
 じゃがいも、玉ねぎ、鶏肉を炒めた後、缶1本まるまる投入。ふ~ん、けっこう入っているのね。完熟トマトが6個ぐらい入っていて、トマトジュース漬けされていた。フライパンの中でつぶしながら絡めていくと、すぐに真っ赤になった。水を足す必要もなかった。カレールーを入れて、じっくり煮込んで完成だ。
 いつも、水は計量器などで計ることなく、自分の感覚で入れている。だから時々、薄くなったりして失敗するのだが、この日のトマトカレーは余計な水分がないので、けっこう濃厚にできた。酸っぱいのかと思いきや、まったくそんなことなし。どちらかと言えば、ルーの辛さとトマトの甘みがうまくかみ合って、ちょうどいい食感だった。たまには、こんなカレーもいいね。また試してみよう。

伯爵気分を味わえる館


2014・1・11~愛媛・松山市~
 ちょっぴり高貴な気分になった。松山地方裁判所の裏手に、ひっそりとたたずむような雰囲気を醸し出す晩翠荘がある。文字通り「緑豊かな森の中の館」。大正11年、旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨(さだこと)の別邸として造られたフランス風洋館だ。ネオルネッサンスと呼ばれる格調高い様式で、左右非対称で構築されている。愛媛で最も古い鉄筋コンクリート造りの建物だ。
 恥ずかしながら、4年間の学生時代にも、故郷に戻ってきてからも、当地を訪れたことがなかった。だって、一番町の通りからは、まったく見えないんだもん。灯台もと暗しとはよく言ったもの。愛媛をもっと知るため、門をくぐった。

 入り口を抜けると、赤じゅうたんが敷かれた階段が現れた。階段は南洋のチーク材でつくられているという。1本、1本に彫刻が施されている。この感じ、好きだなあ。いかにも手づくりって分かるものからは重みがヒシヒシと伝わってくる。

 階段の踊り場壁面には、ステンドグラスが飾られている。大海原を走り抜ける帆船。ハワイから特別注文で取り寄せたものらしい。位置的に北側に飾られているのだが、この光の入り具合がちょうどいいのかもしれない。

 ゲストルームには、豪華なシャンデリア。水晶でつくられているそうだ。目を閉じると、貴族たちがきれいな女性とともにダンスを踊る姿が目に浮かぶ。優雅だったんだろうな。まあ、当方には縁遠い話ですが…。

 太陽が姿を消し、暗闇が空を支配しはじめたころ、晩翠荘はその姿を一変させた。森の中に囲まれるような場所にあることもあり、静けさが加わる。周辺の外とうにも灯りがつくと、なんとも言えない姿を現した!!

 その間、わずか60分。もちろん、昼間に見ても美しい外観だが、夜はさらに重厚で華やかさが際立つ。こんな光景をいままで一度も観たことがなかったなんて、なんだか悔しくてしかたなかった。学生時代に眺めていたら、きっと人生観が違っていたんだろうな…。愛媛、松山の街並みのポテンシャルの高さを身に染みて感じた。