フーテンの横チン -271ページ目

魅惑の九州ぶらり旅~⑩ハウステンボス・昼編~


2014・2・10~長崎・佐世保市~
 花のガーデンを抜けると、宮殿の世界に突入した。アムステルダム広場には、花の時計台があるスタッドハウスがそびえていた。夜には、3Dプロジェクションマッピングが映し出される建物。イルミネーションの中で、一番の目玉だそうだ。ふんふん、ここね。しっかり場所も確認した。

 同じアムステルダム広場で「仮面舞踏会」が開かれていた。ドレスを身にまとった女性たちが、仮面をつけて王子様とダンスを踊っている。すると、女性が観客を誘って舞台上へ。すると、初めは恥ずかしそうにしていた年配の男性が、まるで開き直ったかのように笑顔で踊り始めた。

 根っからの恥ずかしがり屋の39歳は、さすがに舞台には上がれなかったが、仮面をつけた男性2人といっしょにパシャリ。あとで気づいたのだが、仮面をつけて撮ってもらえればよかったなあ…。仮面をつけたら、お嬢様をダンスに誘えたかも。

 園内を歩けば、こんなレンタサイクルに乗って回っている家族連れをよく見かけた。お父さん、お母さんといっしょで、男の子も楽しそうだ。

 遠くのほうで、カッコいい歌声が聞こえてくる。なんだろう?ちょっぴり気になって「MUSE HALL」に入った。見てみると、宝塚歌劇団のような男女が優雅に踊っている。HTB歌劇団だ。今年1月から始まったばかりだそうだ。タカラヅカも映像でしか見たことがなかったので、興味津々。なるほど。男役はみんなカッコよくて、女性はきれいだ。

 一方で、こちらが赤面してしまうダンスも。スカート姿の女性たちが一列になってラインダンスを踊り始めた。高々と長い足を上げると、あらま、スカートの中が丸見え!見ているこちらが恥ずかしくなるじゃないですか。前列に座っていた男性は凝視していた。まあ、こちとらもしっかりと見たけどね。

 目を癒された?後、ふと思った。上から見ると、どんな景色なんだろう。ドムトールンの展望室から、園内を一望できるという。高さ80メートルからの眺めは抜群で最高だった。まるで、ジオラマのように建物が小さく見えた。

 ハーバータウンの向こうに、大村湾と岬が望める。見ているうちに、海の空気を吸いたくなった。ひと通り一望した後、急ぎ足で下まで降りて、ハーバースクエアに向かった。

 港には「デ リーフデ号」が停留していた。人気漫画「ワンピース」の海賊船のようだ。やっぱり、木の船にはあこがれる。どこから撮れば、絵になるのだろう。あっちこっちと歩いて、いいアングルを探していたら、無視するわけにはいかない海賊が歩いていた。

 黒い眼帯を着けた黄色いお顔。かわいいじゃないですか。名前を聞くと「海賊ちゅーりー」だって。チューリップから来ているのね。レンズを向けると、かわいいポーズを決めてくれた。ますます気に入った。せっかくだし、いっしょに写真を撮ってよ。「いいよ!」。まあ、そんな声は聞こえてこなかったが、ポーズを取って記念撮影。ここでしか得られない思い出だからね。ありがとう、ちゅーりー!

 再び、アムステルダム広場のほうへ歩いていると、仮面をつけた女性2人が歩いていた。あの~、写真いいですか?「ええ、いいわよ。どう撮るのかしら?」「ドムトールンといっしょに撮ってくださる?」「ポーズはこれでいいかしら?」。そんなリクエスト通り?にアングルを決めてパシャリ。やっぱり、絵になるなあ。それより、仮面の下の顔が気になるんですけど…。「あ~ら、それはお見せできないわ。舞踏会でいっしょに踊ってくださったら、お見せしてもよろしいわよ」「そうねえ、その時はわたくしを誘ってくださいね。では、ごきげんよう」。分かりました。では、さようなら。

 そうこうしているうちに、西陽が差してきた。ああ、あっという間だったなあ。ドムトールンの向こうに沈む太陽を眺めながら、少し橋の上に座って休憩した。デッカイ観覧車の中にいる人たちは、いい景色を見ているんだろうなあ。ちょっぴりセンチメンタルになっていた。いやいや、これからが本番だ。さあ、待ちに待ったイルミネーションで彩られた光の世界が、もうすぐやってくる。

魅惑の九州ぶらり旅~⑨ハウステンボス・朝編~

2014・2・10~長崎・佐世保市~
 ずっと抱いていた違和感が解消された。長崎での最大の目的地・ハウステンボスにやってきた。夜に開催されるイルミネーションを見たくて、数カ月前からホームページを見ては、旅のイメージを膨らませてきた。朝早く起きて、JR佐世保駅前から出発するバスに乗車。目的地へと向かう道中、窓越しに景色を眺めていた。「なんだか違う」。心の奥に引っかかる何かがモヤモヤを膨らませていた。あれ~、2回目のはずなのに、初めて見る景色ばかり。おかしいなあ…。頭の中で記憶をたどったが、すぐには分からなかった。

 佐世保駅から30分で到着。やっぱり、初めて見る景色だ。入口前には、大きなイカリのオブジェがあった。こんなのあったかな…。首をひねっていると、遠くからやってきた年配の夫婦が「前に来たオランダ村より大きそうだね」と話していたのだ。オランダ村?そうだよ!小学校か中学校の時、家族で遊びに行ったのはオランダ村だったのだ。開園したばかりの時に来たんだ。
 当時は「オランダの原風景を再現したテーマパークが長崎にできた」と、すごい話題になった。外国なんて行ったことなかったし、風車にも、チューリップにも、見るものすべてに感動したのを、いまでもはっきりと覚えている。ただ、オランダ村とハウステンボスがごっちゃになっていたのだ。オランダ村は2001年に閉園していたことも同時に思い出した。

 モヤモヤも解消して、心もスッキリ。花と光の国へ入国だ。最初に見える風車とカナルクルーザー。20年以上前に見た景色とタブる。懐かしいなあ。そりゃそうだ。ハウステンボスはオランダ村をモデルに再現しているんだから。天気は曇り空だったが、思う存分、楽しもう。

 最初に見えたのはナイアンローデ城。別名「テディベアキングダム」で、あのテディベアにたくさん合えるのだそうだ。正直、そんなに興味はなかったけど、せっかくだし見ていこうかな。そう思って入ろうとすると、後方から「すいませ~ん」と黄色い声が聞こえた。

 「すいません、写真を撮ってもらえませんか?」。学生らしき女の子が走ってきた。見てみると、テディベアの銅像の前で、集団がおしゃべりしていた。もちろん!いいですよ。みんな、笑顔がすてきだ。聞いてみると「名古屋から来たんです。卒業旅行なんです」。大学の仲良し同級生で、思い出づくりにやってきたんだそうだ。そうなんだ。思い切り楽しんでね。そう声をかけると「ありがとうございます!」と、8人全員に満面の笑みで返された。

 いやあ、めっちゃ気持いい。あんなに気持ちのいいお礼を言われたのは久しぶりだった。「いっしょに回りませんか?」。一瞬、そんな思いがよぎったが、旅行のジャマをしたらダメだと頭を振った。手を振って、別れた。再び、さみしく1人になった。まあ、いいか。すぐに気持ちを切り替えて?テディベアの館へ。なるほど、たくさんのぬいぐるみが展示されていた。なんとなく、世界中の女の子が夢中になるのが分かった気がした。

 テーマパークらしく、ゴミ箱もオランダの建物をモチーフにしたものだった。そうだよね。普通の公園にあるようなものだったら、面白くないもんね。これだったら、子どももしっかりとゴミを捨てそうだ。

 ゆっくり、のんびりと風景を眺めながら歩いていると、赤いチューリップが目に入った。そうかあ。15日から始まるチューリップ祭に向けて準備中なんだ。時期が早かったし、チューリップは見られないな、と思っていたので、うれしかった。風車も視界に入れてみる。う~ん、オランダですねえ。まあ、行ったことないけど、そんな気分にしてくれる。

 船上から眺めるチューリップもきれいなんだろうなあ。窓越しに、小さな女の子が手を振っていた。小さな時の思い出は、かすかであっても記憶に残る。家族とのよき思い出になってほしいなと思った。

 どちらかといえば、チューリップって赤のイメージが強いが、黄色もいいね。ところどころ、雲のすき間から顔を出す陽光が花びらに差した。午前中は少し寒かったけど、心を癒される風景をたくさん見て、少しずつ心身ともに温かくなってきた。気分がノッてきたぞ!マップを見直したら、まだまだ半分も回れていない。心の中でスキップしながら、待ち受ける感動を想像しながら、歩を進めた。

魅惑の九州ぶらり旅~⑧弓張岳展望台から望む佐世保の夜景~

2014・2・9~長崎・佐世保市~
 JR佐世保駅に戻って、観光案内所に入ってみると、目をひくような夜景のポスターが張られていた。見ているだけで、実際に見てみたくなった。この景色、どこから見られますか?カウンターのきれいなおねえさんに聞いた。「弓張岳展望台からですよ」。バスは走っています?「ありますけど、5時半過ぎのが最終便で、着いたらすぐに折り返しますよ」。そうかあ、ここから歩けますか?「歩けますけど、片道1時間じゃ済まないですし、覚悟が必要ですよ」。
 坂道は歩きたくねえ…。どうしようかなあ。しばらく考えていると「近くのホテルまでの無料バスがありますよ」。そうなの?「ホテルの中で、買いものをしてくださいね」。はい、分かりました!ということで、ホテルを往復する無料バスに乗って、弓張岳のホテルへ向かった。マジでバスに乗ってよかった。すごい急こう配の坂道を約20分かけて登っていった。歩いていたらと想像するだけで、ゾッとする…。到着後、ホテルから5分足らずのところにある展望台へ。目の前には、まぶしいほどの絶景が広がっていた。

 夜景100選のひとつだそうだ。つい1時間前までいた佐世保港が遠くに見える。やっぱりきれいだな。海上自衛隊倉島岸壁もはっきりと分かる。西九州自動車道を走る自動車が1本の光線をつくっていた。日本三大夜景のひとつである長崎市の夜景とまではいかないが、これはこれでいい。

 米海軍基地だ。地上からは絶対にのぞけないが、展望台からだと全ぼうが明らかになる。大きな艦艇もある。実は夕方から小雨が降り出し、風も強くなった。なかなかの天候だったので、夜景を見られるかなと心配していたのだが、途中から雨もやんだ。

 再び、JR佐世保へと戻った。山頂からの佐世保港はきれいだったが、間近で見たらどうだろう。そう思って行ってみた。漏れる灯りが海面に反射していた。

 岸壁のライトも灯り、させぼ五番街からの光も美しい。佐世保の夜景を楽しんだ。歩きまくったので、体がクタクタ。シャワーを浴びた後、すぐに寝床に入った。同じ市内でも、別の場所では光のショーを開催中。今回の長崎ぶらり旅、最大の目的地だ。頭の中で想像しつつ、目を閉じた。