フーテンの横チン -273ページ目

魅惑の九州ぶらり旅~④長崎ランタンフェスティバル・夜の巻~


2014・2・8~長崎・長崎市~
 陽もすっかり落ち、空が暗くなり始めたころ、眼鏡橋に着いた。赤いランタンだけかと思ったら、黄色いのもあるのね。まだ完全に黒くなっていない空だと、黄色がよく映える。美しいですねえ。水面が鏡のようになって、まさに眼鏡のようになっている。しばらく眺めていると、続々とカメラを持った見物客が写真を撮り始めた。場所を譲って、川沿いを歩いてみた。

 ランタンって、提灯だけじゃない。このような大きなオブジェもある。眼鏡橋付近だけでなく、全7会場を歩けば、さまざまなランタンに心を奪われる。

 大きな鯉もあった。よ~く後方を見ると、美容院で頭皮マッサージを受けている女性がいる。最高の場所からの見物。うらやましい。

 眼鏡橋をあとにして、浜んち商店街へ。アーケードの天井には、赤いランタンがはるか遠くまで連なっていた。黄色もきれいだけど、やっぱり赤が中華らしさを表しているのかな?個人的には、赤いのが印象に一番残っている。

 浜んち商店街の入り口前では、路面電車が走っていた。もちろん、プチ撮り鉄としては、撮らないわけにはいかないっしょ!線路沿いにもランタンが飾られていたので、絡むところでパチリ。祭りの時にしか撮れない1枚じゃないかな。

 再び、新地中華街会場へ向かう途中、ピンク色のランタンも発見。うんうん、これはこれできれいだ。赤、黄、ピンクと色とりどり。観光客を飽きさせないのも意識しているのだろうか。

 新地中華街会場の天井には、こんなランタンもあった。一列に連なっているのもいいが、こんな感じで天井一面を埋め尽くすような感じのもいい。とてもきれいだ。

 個人的に一番楽しみにしていた時間が刻一刻と近づいてきた。再び、浜んち商店街へ。遠くから3頭の龍がやってきた。龍踊りの始まりだ。元来、五穀豊穣を祈る雨乞いの神事に始まったとされるそうだ。唐人服姿の龍衆が約20メートルの龍を操り、雲を呼んで雨を降らそうとし、月をも飲み込もうとする様子を表現している。緑がオスで、赤がメス。もちろん、メスは女性が操っていた。首をクネクネとさせて、なにやら周囲をうかがっているようだ。

 龍の頭がどれだけデカイのか、女性と比較すれば一目瞭然。牙も鋭く、ヒゲもたくましい!

 商店街を抜けて最終地点で、龍の乱舞が始まった。オスが舞い、メスが舞い、またオスが舞い、またまたメスが舞う。行列を先導していた男性が観衆を誘うように大声で叫ぶ。「持ってこ~い、持ってこい!!」。そして、観衆が呼応するように「持ってこ~い、持ってこい!!」。アンコールの意味だ。この掛け合いが何度も何度も続く。

 何度も何度も、龍が舞う。鎮まるどころか、ますますヒートアップしていく。いつまで、この状態が続くのか、分からなかった。いや、永遠に続くことを、いつのまにか願っていた。
 ようやくフィナーレを迎え、少しずつ観光客も家路へと向かっていた。会場にいないと、絶対に伝わってこない熱気、興奮、そして感動。来てよかった~。九州ぶらり旅初日の夜は、ホテルに着いてからも、しばらく眠れなかった。

魅惑の九州ぶらり旅~③長崎ランタンフェスティバル・昼の巻~


2014・2・8~長崎・長崎市~
 急ぎ足で向かった先には、目がくらむような多くの見物客だった。「2014長崎ランタンフェスティバル」のメーン広場でもある新地中華街会場へとつながる道が大きく開けていた。ラッキーにも、左へと曲がる場所に立つことができた。何があるのかって?このお祭りの目玉のひとつでもある「皇帝パレード」が、この場所でフィナーレを迎えるのだ。清朝時代の正月、皇帝・皇后がそろって街中に出掛け、民衆と新しい年を祝う様子をイメージしたパレ―ド。伝道師の格好をした人々が長い行列をつくって、ゆっくりと歩いていた。

 皇帝が姿を現す前に、美人さんたちがやってきた。各地のミスや観光大使たちが満面の笑みを振りまいて、手を振っていた。これがスリットの開いたチャイナドレスだったらなあ…。いかん、いかん、昼間から、よからぬ想像をしてしまった。

 しばらくすると、お待ちかねの皇帝のお出ましだ。今年の皇帝役は俳優・片岡鶴太郎。「鶴太郎~!「鶴ちゃ~ん!」。あっちこっちから飛んでくる声援に応えるように、みこしの上から観衆に手を振っていた。実際に見ると、男前だなあ。

 ランタン祭りの本番は日が暮れてから。まだまだ、太陽は高い。腹ごしらえにと、本場のちゃんぽんを食べにいった。しかし、有名店はどこもかしこも長い行列…。待つのは嫌いな性分なので、開店前のところを狙って待っていると「はい、開けるよ~」というオバちゃんの声。さっそく入って注文だ。運ばれてきたお目当てのスープは濃い白。さっそく飲んでみた。う~ん、なかなか濃い。めんも太めで、自分の好みに合っていた。正解だった。

 食べ終わった後、散歩がてら、中華街を歩いてみた。道もやっぱり中国らしさ満点。龍をイメージしたタイルが敷き詰められていた。中華街にかぎらず、旅先では上だけでなく、下を見るようにしている。注意して歩いてみると、新たな発見が数多くあるからだ。
 そろそろ、日も暮れてきた。少しずつ、ランタンにも灯りがついてきた。どちらかというと味気なかった昼間の景色は、夜が近づくにつれて、少しずつ姿を変えていく。すると、写真や映像では伝わらない感動が、39歳のオッサンの心の中で生まれてきた。

魅惑の九州ぶらり旅~②港町・長崎をてくてく~


2014・2・8~長崎・長崎市~
 異国情緒あふれる土地にやってきた。福岡・小倉での雪景色は一転、長崎に入ると、青空が広がっていた。やっぱり、旅はこうでなくっちゃ。テンションは一気に回復した。高速バスでJR長崎駅前に到着。すると、改札前の広場の上には、黄色い龍が飛んでいた。「2014長崎ランタンフェスティバル」の真っただ中。赤いランタンも飾られ、次々と訪れる観光客がカメラを向けていた。さあ、撮るぞ~!カメラ小僧のボルテージが高まってきた。

 歩道橋のタイルには、オランダ坂の絵があった。ああ、中3の修学旅行で行ったなあ。懐かしいなあ。坂道が多いことで有名だが、なんの知識も頭に入れてないまま訪れたので、ゼイゼイ言いながら、急な坂を登った思い出が甦ってきた。翌日は筋肉痛だった。

 今回の旅の楽しみのひとつがチンチン電車だった。愛媛・松山市でイヤというほど見ているはずなのに、その一方で「他の地域の路面電車を見たい」という欲求も膨らんでいた。長崎駅前からYの字に電車が2方向に分かれていく。高いビルもそんなにないし、歩道橋からの眺めは最高だった。

 電車通り沿いを長崎港方面へと歩いた。港に出ると、大きな帆船が停留していた。長崎海軍伝習所の帆船を復元した「観光丸」だ。船を見ると興奮するタイプの人間。帆も張っていなくて乗船もできなかったので残念だったが、陽光を浴びるシルエットはとてもきれいだった。

 ベイサイドを歩いていくと「出島ワーフ」に出た。複合商業施設で、数多くの飲食店が並んでいた。2階には展望デッキもある。休日だったので、お子さん連れの家族がランチを食べていた。潮風を浴びながらの食事ほど幸せなことはない。右手にはヨットも並ぶ。思わず、加山雄三の歌を口ずさんでいた。

 大波止橋を越えると、なにやら大きな車輪があった。1930年、当時の長崎-上海航路に連絡するために長崎駅から南へ鉄道を延伸。出島岸壁(現在の出島ワーフ付近)に長崎港駅が開業していた。現在はもうないが、この辺りに鉄道専用の橋が架かっていたとのこと。その名残がモニュメントになっているのだ。

 弓なりの川沿いに古い建物が並んでいた。長崎市民の間では「ミニ出島」と呼ばれる場所。日本が鎖国だったころ、唯一開かれた貿易・文化の拠点だったことは日本史で学んだ。その当時の建物や町並みを復元したそうだ。

 商館長の住まいだった「カピタン部屋」の中に展示されていた模型が目にとまった。商人たちがなにやら行列をつくっていたのだが、精巧なミニチュア人形だったので、思わずシャッターを押した。マニアが見たら、興奮するんだろうな。

 出口付近に「ミニ出島」の模型があった。なるほど~。ふんふん、こうなっていたのね。ひと目で出島を一望できるので分かりやすい。実際、小学生らしき子が「お父さん、これが出島なんだよね」と話しかけていた。歴史の知識を深めるには、ぜひ訪れてほしい場所だ。
 出口を抜けて、マップを見ながら中華街方向へと歩いていたら、オレンジ色のジャンパーを着たオバちゃんが話しかけてきた。「お兄さん、急いで!!写真を撮るんでしょ?あの角を曲がったら、もうすぐ行列が来るから!!」。はい、急ぎます!!教えられた通り、角を曲がると、多くの見物客が、もうすぐやってくる「皇帝」をまだか、まだかと待ち受けていた。