魅惑の九州ぶらり旅~⑨ハウステンボス・朝編~ | フーテンの横チン

魅惑の九州ぶらり旅~⑨ハウステンボス・朝編~

2014・2・10~長崎・佐世保市~
 ずっと抱いていた違和感が解消された。長崎での最大の目的地・ハウステンボスにやってきた。夜に開催されるイルミネーションを見たくて、数カ月前からホームページを見ては、旅のイメージを膨らませてきた。朝早く起きて、JR佐世保駅前から出発するバスに乗車。目的地へと向かう道中、窓越しに景色を眺めていた。「なんだか違う」。心の奥に引っかかる何かがモヤモヤを膨らませていた。あれ~、2回目のはずなのに、初めて見る景色ばかり。おかしいなあ…。頭の中で記憶をたどったが、すぐには分からなかった。

 佐世保駅から30分で到着。やっぱり、初めて見る景色だ。入口前には、大きなイカリのオブジェがあった。こんなのあったかな…。首をひねっていると、遠くからやってきた年配の夫婦が「前に来たオランダ村より大きそうだね」と話していたのだ。オランダ村?そうだよ!小学校か中学校の時、家族で遊びに行ったのはオランダ村だったのだ。開園したばかりの時に来たんだ。
 当時は「オランダの原風景を再現したテーマパークが長崎にできた」と、すごい話題になった。外国なんて行ったことなかったし、風車にも、チューリップにも、見るものすべてに感動したのを、いまでもはっきりと覚えている。ただ、オランダ村とハウステンボスがごっちゃになっていたのだ。オランダ村は2001年に閉園していたことも同時に思い出した。

 モヤモヤも解消して、心もスッキリ。花と光の国へ入国だ。最初に見える風車とカナルクルーザー。20年以上前に見た景色とタブる。懐かしいなあ。そりゃそうだ。ハウステンボスはオランダ村をモデルに再現しているんだから。天気は曇り空だったが、思う存分、楽しもう。

 最初に見えたのはナイアンローデ城。別名「テディベアキングダム」で、あのテディベアにたくさん合えるのだそうだ。正直、そんなに興味はなかったけど、せっかくだし見ていこうかな。そう思って入ろうとすると、後方から「すいませ~ん」と黄色い声が聞こえた。

 「すいません、写真を撮ってもらえませんか?」。学生らしき女の子が走ってきた。見てみると、テディベアの銅像の前で、集団がおしゃべりしていた。もちろん!いいですよ。みんな、笑顔がすてきだ。聞いてみると「名古屋から来たんです。卒業旅行なんです」。大学の仲良し同級生で、思い出づくりにやってきたんだそうだ。そうなんだ。思い切り楽しんでね。そう声をかけると「ありがとうございます!」と、8人全員に満面の笑みで返された。

 いやあ、めっちゃ気持いい。あんなに気持ちのいいお礼を言われたのは久しぶりだった。「いっしょに回りませんか?」。一瞬、そんな思いがよぎったが、旅行のジャマをしたらダメだと頭を振った。手を振って、別れた。再び、さみしく1人になった。まあ、いいか。すぐに気持ちを切り替えて?テディベアの館へ。なるほど、たくさんのぬいぐるみが展示されていた。なんとなく、世界中の女の子が夢中になるのが分かった気がした。

 テーマパークらしく、ゴミ箱もオランダの建物をモチーフにしたものだった。そうだよね。普通の公園にあるようなものだったら、面白くないもんね。これだったら、子どももしっかりとゴミを捨てそうだ。

 ゆっくり、のんびりと風景を眺めながら歩いていると、赤いチューリップが目に入った。そうかあ。15日から始まるチューリップ祭に向けて準備中なんだ。時期が早かったし、チューリップは見られないな、と思っていたので、うれしかった。風車も視界に入れてみる。う~ん、オランダですねえ。まあ、行ったことないけど、そんな気分にしてくれる。

 船上から眺めるチューリップもきれいなんだろうなあ。窓越しに、小さな女の子が手を振っていた。小さな時の思い出は、かすかであっても記憶に残る。家族とのよき思い出になってほしいなと思った。

 どちらかといえば、チューリップって赤のイメージが強いが、黄色もいいね。ところどころ、雲のすき間から顔を出す陽光が花びらに差した。午前中は少し寒かったけど、心を癒される風景をたくさん見て、少しずつ心身ともに温かくなってきた。気分がノッてきたぞ!マップを見直したら、まだまだ半分も回れていない。心の中でスキップしながら、待ち受ける感動を想像しながら、歩を進めた。