本を片手に街に出よう -9ページ目

硫黄島からの手紙

 父親たちの星条旗が単独でも成立している作品だったので、本作と合わせて「初めて1つの作品」になる、ということを不覚にも忘れていました。

 制作発表の時点からの予感が、的中。

 映画史に残る、てゆうか、人類史に残すべき作品でしょう。これは。

 NHK映像の世紀みたいに、この2部作がDVD-BOXになったら一家に1つ。

 テクニカルな面では、帝国軍人は「ライフル」なんて言わないで小銃と言っていたハズだ!とか、やってらんねーよ、なんて言い回しは60年以上前にあるのか?といった細かいツッコミを入れる向きもあるようだが…

 いいんです。映画だから!

 そんなこと気にするより、画とキャストの表情を観よう。

 正直、日本人監督が撮るよりも日本人らしさ、当時の日本が抱える複雑な情景、心境がうまく表現されている気がします。

 毎度ながらスピルバーグ、沿岸を埋め尽くす連合艦隊や日章旗が掲げられた日本の農村など、映像がすごい。
 今度の現像は若干セピアがかった感じで、これがまたイイんです。

 そして、この映画で存在感の嵐を呼ぶ奴、それは、ハリウッド級スターの渡辺謙ではなく、スキャンダラス中村獅童でも当然なく、アイドルタレントの二宮和也くんなのでした。

 役者です。

 淡々としながらも、表情がすばらしいのです。
 兵隊としては非弱で、弾薬運びや雑用などを押し付けられ、大日本帝国に万歳しないイマドキすぎる若者なのですが、かえって本物っぽいです。ぜったいいるでしょ、こういう奴も。

 監督の演出はいつもどおり無駄がなくシンプルで淡々と。しかし、計算ずくの細かい言動などからすべてのキャストに命を吹き込んで、脇役にまでバックグラウンドがちらつきます。

 圧倒的な戦力差による爆撃シーン、壮絶な自決シーンなど、殺戮の描写に圧倒されつつ、人間くさい帝国軍人たちの一挙手一投足に、泣く余裕もなく食い入るように魅入って、終わってみれば長さを感じさせない2時間半でした。

 で、観終わって暫くすると、1つ1つのシーンが蘇って、さらに父親たちの星条旗とリンクしはじめると、なぜかとめどなく涙が出てくるのでした。

 重要なのは、2本とも、しかも公開順に観る事です。日本側を先に観てはいけない。

 またアカデミー賞多数ノミネート必至ですな。

 二宮くんの助演男優賞を期待したいところ。そこまではムリかも知れないけど、少なくとも言葉の壁を越えて魅了されること間違いなし。

 世界が忘れてはいけない島がある。ほんと、その通りです。

 2本とも観た後は、これを読んでさらに泣いてください→「40年前の敵同士が友情の抱擁」もう号泣間違いなし!


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山吹

山吹 またまた忙しくなって、blogもすっかりご無沙汰になってしまったが、やっとこさ余裕が戻ってきたので、世のクリスマス気分はガン無視して、先ずは鰻でもほうばることにした。

 池袋三越にある山吹ですわ。この山吹、浜名湖界隈では有名どころみたいで、池袋の路地裏に直営店を構えているのだが、三越地下食品街にも販売&ちょい食事コーナーが出張っている。
 ちゃんとした店もいいが、池袋三越店も、なんとなく茶店っぽい気がして、けっこう雰囲気がスキなのである。

 うなぎまぶし¥1,500-で。1杯目はそのまま、2杯目は薬味をいれて、3杯目は茶漬けで、っていうか、茶ではなくてダシ汁にしたんだけど、この汁がまたウマイ!
 鰻はさすが自慢しているだけあって、やわらかいけどまぶしてもボロボロくずれることもなくいい感じ。

 食品街を行き交う人を見やりつつ丼をほうばる。
 といっても、フロアの端角にあるので雑踏もそれほどではなく(っていうか三越自体が、閑古鳥が鳴いている状態。大丈夫か?)、街道の茶店にいるような錯覚というか自己催眠をかけつつ、そのまま昼寝でもしたい気分に。

池袋三越
 屋上に出てみた。寒い!そろそろ冬本番ですね。
 こりゃ、たまらん。
 高い空を眺めつつの昼寝は断念し、そそくさと帰途につくのでした。


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ナイト・ウォッチ NOCHNOI DOZOR







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ナイト・ウォッチ NOCHNOI DOZOR 特別編

プリズン・ブレイク Vol.1

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東京タワー1
イメージ映像1

歌舞伎町
イメージ映像2

 ロシア版マトリックスとかいうフレコミなんで「どんなもんじゃ?」ってな感じで観てみました。

 ロシアで社会現象を巻き起こした人気SFアクション3部作の第1章。特殊な能力を身に付けた人間“アザーズ”たちが、光と闇の勢力に別れ、戦いを繰り広げる。(「Oricon」データベースより)

 ということらしい。
 日本での宣伝部長に就任したのがナゼ長州小力なのか?は謎ですが、確かに、映像の雰囲気は、スタイリッシュで、なんとなくベルリンとか東欧の香りが漂うような、ダークでエッジの効いた絵づくり。

 CGも使い方がうまくて、低予算なんでしょうけどあんまり違和感はありません。このあたりは日本映画界も参考にしてほしいですね。せっかくつくったCGだから!ってな感じで、チョーわざとらしく使うことが多い邦画と違って、さりげないです。
 人物以外全部CG、なんていうハリウッド大作とも違ったリアリティを楽しめます。

 しかし、しかしです。
 ストーリーが激しく発散気味です。災いを招く女ってのはストーリーに関係があるのか?3部作のうちの1作目ということなので、もしかすると伏線なのかも知れませんけど。
 その他、随所に見られる「説明ナシ!意味不明!」なシーンが唐突で、詰め込み過ぎな印象を受けます。

 また、しょうがないのだけどキャストは全員日本では無名。近所の映画好きなにーちゃん、ねーちゃん、おじさん、おばさんが集まって自主制作しました、って感じです。
 サングラスでキメるシーンも、やっぱりキアヌ・リーヴスにはかなわん。

 最後に父と子が両陣営に別れ感情的軋轢を残すっていう、ビミョーにスターウォーズ臭を漂わせ、つづく!

 果たして「2」は発売されるのか?

 この映画考えた人はきっとハリウッド映画オタクで、光と闇の戦いという単純なベースストーリーにいろんな映画のエッセンスを盛り込んで後から味付けをしていったのでしょう。

 1つの作品をパクろうとしたけどパクりきれなくてどうしようもない映画になるよりは、いいかも!ってことで、そういう観方をすれば楽しめるし、ある意味これも才能かも知れません。

 B級映画として観れば異文化カルチャーも楽しめてGoodです。
 ハリウッド的まとまりを期待する人には不向き。

追記:

 本作とは関係ないですが、プリズン・ブレイクの第1話がオマケで入ってました。面白かったです。本編以上に。「24」にはノレなかった私ですが、これは続きを観ちゃいますね。

 しかしアメリカのドラマは映画的ですね。
 常にカメラがとまって動きゃしない、台詞まわしも効果音もチープ、そもそもプロットが漫画原作とかオリジナリティゼロな、単なる「動くタレント名鑑」と化した日本のドラマとは雲泥の差。
 すべてにおいてレベルが上です。人気がでちゃうとシーズンxxとかいって無駄に引っ張るところ以外は。



人気ブログランキング予告編などでもかかっているテーマソングが東欧ロックっぽい感じで好みですが、誰だか分かりませんでした。知っているマニアな方がおりましたらコメントください。クリック! | 他の記事も読む!

喜代川

喜代川 2年後のアメリカは女性大統領になるかも知れないってコトで、常にアメリカの後を追う日本としては数年後に女性首相誕生かも?なんて。
 そんな政治談議はさておき、激動の時代を生き抜くために、旨い鰻を食って元気をつけよう!

 んで、日本橋小網町、喜代川へ。

 まわりはビルだらけ。ですが、老舗です。店内はひっそりとしていて雰囲気あります。個室もあるらしいので接待、商談にもどうぞ、とのこと。

 竹¥3,200-を奮発しました。豪華な蒲焼×3の重です。

 身が締まっていながらも蒸しがよく効いていてGJ。タレは濃さも量も控え目です。濃い味好みのかたは物足りないかも知れません。でもこのくらいの上品さがいいですね。

 以前はワタシも濃い味スキスキ!だったんですが、最近徐々に身体の浄化能力が弱まってきたのか、どっちかというとウスーイのが好きです。

 あんまり短絡的にうすいウスイというとイメージが弱いですが、ご安心を。喜代川の鰻は「違いの分かる大人向けの味わい」なのです。


人気ブログランキングはらたいらさん、その博識ぶりは尊敬していました。安らかに眠ってください。3000クリック! | 他の記事も読む!

【新書】インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門



白田 秀彰
インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門

 「法」っていう時点で、どっか理解不能というか雲の上の存在というか思考停止というか、とにかく異次元テイストをビンビンに感じてしまう自分としては、英米法とか大陸法とか言われたところで、一生勉強しようなんて思わないのだろうな、と開き直ってました。

 そんな卑屈な自分を、目覚めさせてくれたのが本書です。

 タイトル通り、かなり奇妙な文体。さすがネットで人気連載というだけあって、ネット世代向けのライトかつシニカルな語り口で、ウケそうです。

 とはいえ、ネットに散乱するヨタ話チックなたわごとを想像するなかれ。なかなかどうして、古代から現代に至るまでの法と哲学をかいつまんでウォークスルーしつつ、インターネット世界における法と哲学はどうあるべきか?を極めて真面目に問題提起する本なのです。

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出版社/著者からの内容紹介
 ネット社会を読み解くために必読の書!
 『Hotwired Japan』の人気連載が書き下ろしなどを加えて待望の書籍化!
 インターネットにおける「法」と「慣習」を考察して、今後のネット社会のあり方を軽妙に論じた一冊。

内容(「BOOK」データベースより)
 日々、変化するインターネット社会において、その枠組みとなる法をどのように捉えればいいのか?情報法のエキスパートが、軽妙かつ明快に法とネットについて徹底解説。歴史的な背景も踏まえた、スリリングな論考から現在の諸問題が次々に浮き彫りにされていく。インターネット社会に関わる人にとって必携の一冊である。
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 何よりも好感がもてるのは、著者が理論過多の殻に閉じこもったり、屁理屈に近いような論説をぶって読者を煙に巻くようなところが微塵もなく、ワカランことはワカラン、変なことは変、キライなことはキライ、とはっきり等身大で主張をしているところ。

 法律学者なんて、何を聞いても難解なことしか言わない、というか言えない人達でしょ、というふうに思いっきり偏見もってましたが、すみません、その誤った考えを今すぐ改めます。

 なんか机の隣に座って、一緒に考えてくれる家庭教師のような、そんな親近感、距離感なのです。

 法の世界ってのもなかなか奥深くて面白いですね。そう感じさせるということは良書の資格ありでしょう。


人気ブログランキング法もプログラムも、確かに似てる。バグや抜けがあるところもね。クリック! | 他の記事も読む!