本を片手に街に出よう -52ページ目

【ビジネス】ITビジネス トラブル解決バイブル



著者: 佐藤 達治, 河合 千佳
タイトル: ITビジネス トラブル解決バイブル



 一応IT業界に身を置き、かつ最近では商用WWWサイトの構築なんかにも手を出してしまっているため、勉強のために中古購入。

 Q&A形式で記述されており、Webに絡んだ事例を用いての記載が多く分かりやすい。
 ところどころに出てくるコラムも勉強にはなる。

 Q&A形式事例集なので、順を追って読むような本ではない(勿論はじめから順に読んでも良いのだが)。
 巻頭、巻末の索引は使える。ここだけコピーして手元に置いておくと良いかも。
 まさに、バイブルの名の通り(バイブル読んだことは無いけど)。

 しかし法律っていろいろあるんですね~
 弁護士はやっぱ超頭良い人(特にキオク力が)じゃないとなれないんだな~と本筋とは違う部分で妙に納得。

恵比寿

 飲み会で恵比寿の「今井屋茶寮」へ。


 恵比寿は今でこそガーデンプレイスで有名になってしまったが、もともとは「山手線でも下から五指に入ろうかというくらい地味な」街であった。

 ここ最近ではガーデンプレイスやJRの駅ビル「アトレ」に加え、美容室が秋葉原電気街のPCショップ並みに密集して出店し始めていることも含めて、若者の街化に関しては高度成長期を迎えている。


 もう一方でいまいち垢抜けない、庶民的雰囲気も随所に残っていて、それが微妙にバランスを保っている。
 渋谷ほど疲れず、代官山ほどメジャーでもなく、広尾、白金よりは親しみやすく、かつ目黒、大崎よりは洒落ているかも、といった感じである。


 例えば東口にある「こづち」という定食屋さんは地元では知る人ぞ知る庶民派代表店(独断偏見あり)である。

 また、昔は東口前に「ゆきこ」という屋台があって、これまた知る人ぞ知る名物店主ゆきこママがやっていたのだが、もう何年も前に交通事故でお亡くなりになり、店じまいしてしまった。
 だいぶくだをまいたりして迷惑もかけ、世話になったママだったのでお亡くなりになった時は暫く抜け殻になったことを今でもうすら覚えている。
 思えば、恵比寿の庶民率減少速度があがったのがそのあたりだったかな、と記憶している。
#当時は「さよならゆきこ」みたいな感じで全国紙でも報じられた
 誰しも、そういう、ひとつの時代の区切りみたいなものって、ありますよね…


 さて「今井屋茶寮」である。この店はぐるなび等でも有名だし雑誌にも良く載ったりするのだが、それなりに高くて流石に行きつけには出来ない。価格表非表示だし。なかなかドキドキものである。

 鳥系料理がメインで、比内白レバーおよびつくねがおすすめ(独断偏見あり)。
 まよったら、愛想の良い店員のお姉さんがおすすめをいろいろと教えてくれる。
 が、すすめられるままにかぶりついていると1人1万オーバーはあっさりいくので注意。
 特にステーキ串と刺身系は!!!ものの価格である(旨いけど)。


 小洒落た店内にて、若者に囲まれながら銘酒をちびちび飲みつつ、初冬の明け方に飲んだくれてシメに「ゆきこ」で飲んだ熱燗もそれはそれで五臓六腑に沁みる良い酒だったな…と感慨にふける。


 そう感じるのは、やはり自分ももうオヤジである、ということだろう。

【小説】火車

著者: 宮部 みゆき
タイトル: 火車


 読みやすい。結構頁数があるが2日程度で読了。
 借金地獄にはまってしまった人達の悲しく凄惨な生き様を描いた物語だが、自分もAmazon等でポンポン買ってしまう派なので、他人事じゃないな~と痛感。

 登場人物やシーンもまた、その辺にいそうな感じなので更に怖さが倍増。電車の中で読了したのだが、思わず周囲の人達をまじまじと見回してしまった(ちょっと怪しい)。
 それくらい「あなたの隣のキレイなお姉さんももしかして…」という感覚に陥る現実感がある。
 「現在」ではなくて「当時」ここまでえぐる、という目のつけどころに脱帽(92年刊行!)

 キャラが各自それなりにいい味だしてるな~と感じた。
 良~く考えてこの人に言わせたんだな、という印象的なセリフ多数。
 逆に意外性というか、感情の揺れみたいなものが希薄な、説明的会話が多いと感じるかも知れないけど。

 この物語にはそんな無機質的、状況説明的な会話がフィットしている。
 失踪した女性のまさに「人生史」を遡っていく展開や、展開する度に明らかになっていく深層と、この淡々とした語り口が妙に合っていてコワイ。

 ラストシーン(とそこに至る展開)は秀逸。ちょっとドキドキ。終わるタイミングも、凄惨な物語にしてはどこか清涼な、それでいて「追い詰められた人間の怖さ」を震撼させ、かつ「続き感」「このあとどうなるんだろう感」を残す、感慨深く悶々としたラストである。

目黒

目黒といえば雅叙園が有名だが、さりげなく必見なのは目黒寄生虫館(マニアックですみません)。
入館無料。但し寄付募集(だそうです)。
8m超のサナダムシの標本など、(たぶん)ここでしか見られない展示が沢山。
お食事前だと、弱い人にはちと辛いかも?


さて気をとりなおして…

目黒から恵比寿ガーデンプレイス方面へ散歩しつつ、東京都写真美術館をのぞいたら、「文化庁メディア芸術祭」の開催を発見。

おお!スゲー!キレてる作品が沢山あるじゃあ、あ~りませんか!
#ゴメンくさい…この人今何してんだろう…


GLOBAL BEARINGは学生CGコンテストのインタラクティブ部門最優秀賞とのことだが、えらく気に入ってしまった。地球を裏側から見るというのが斬新だし、ワイヤーフレームがグリングリン動くのが、想像力をかきたてる昔のゲームっぽく、ノスタルジーと斬新さが同居していて、いい。

作者は学生ですか…すばらしい。やっぱり21世紀の日本は文化大国にならないといかんと思っているので、その一環としてこのような取り組みでどんどん創造力を表現し刺激しあったり、世界中の人と受発信をしていくべきだろう。
いずれはその輪に自分も加わりたいな、と感じる次第であった。
(アートの才能は乏しいが!)

一方、プロからの出展は「鬼武者3」のムービーを初めて観て感動。
(ゲームやらないので、今更ですが)
やっぱり商業ベースだと魅せ方が凄いね。見入ってしまった。


「韓国文化コンテンツ秀作展」というのもこじんまりと開催。
「アニョハセヨ~」と愛想よく挨拶されつつ、会場に入っていくとすっかりおなじみのBoAや冬ソナ…に混じって「Wonderful Days」なるアニメを発見。微妙にProduction I.G.っぽいけど、絵も綺麗だし技術も凄そう。日本語版は無さそう。残念…
#しかし高速Internetといいゲームといいアニメといい、隣国はイキオイがありますね…何だか国をあげてやっているような。


「グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市」というのもやっていたんだけど、B1の入り口で有料(300円)ということに気づき、また1Fと往復するのはやだな、と思い時間も無かったので入らなかった。
来週も恵比寿近辺には来るのでその時にでも。


文化庁メディア芸術祭特設ブログ

【小説】インディヴィジュアル・プロジェクション



著者: 阿部 和重
タイトル: インディヴィジュアル・プロジェクション



 芥川賞受賞記念!で平積みされていたので思わず買ってしまった。
 常盤響さんの表紙のアヤシさとタイトルの語感で買ったことも否めない。

 そうだった…あのころの渋谷ときたら、ほんとおっかない街だった。

 主人公の日記形式で物語は進む。最初は渋谷の日常がファッションと暴力のエッセンスをふりかけられながら語られる退屈な展開なのだが、途中から主人公周辺に微妙なズレが生じ始め、読み進める速度も上がっていく。

 ↓ネタばれなので保護色にしました
 結局のところ、全ては主人公の妄想だったのだろうか?
 または「塾」の訓練シミュレーションにすぎなかったのか?
 イノウエは主人公自身であったか?カヤマもそうなのか?


 途中の微妙なズレが生じ始めたところから、タイトルの意味が判ってくる。確かに「自己投影」だね。
#自己投影で思い出しただけで本書とは全く関係ないが、精神医学の世界で「ドッペルゲンガーDoppelgänger」という自分の像が見える症状?がある。
#それで思い出したのがアーコンというチェスのようなゲーム。ドッペルゲンガーが駒で出てくる←まわりくどくてすみません…
#当時はやたらハマっていた。思い出すと、無性にやりたい。Windows版とか出てないのかな…


 日記形式にしたのも、仕掛けの一つなんだ、という事にも途中で気づく。
 1人称なので、どこまでが事実でどこからが妄想なのか、分からん…

 ラストに向かって全ての謎が解明されていくようでいて、逆に全てがまた混ざり合って日常に回帰していく。この無限ループ感がもやもやしていて、その点は好みではある。

 違和感は、スパイってのとプルトニウムってとこがね…ちょっと漫画チック。もう少し普通っぽい要素に変えたほうが良かったのでは…
#しかし参考文献がすごいね…KGB、CIA、公安ときてモサド、KCIAまであるし。この作品にかけるエッセンスくらいならそんなに沢山参考にしなくても。

 やたらと訓練の賜物である冷静沈着さを引き合いに出す割にすぐ暴力に走ったり錯乱したりするところも稚拙な判断力の大人子供という感がある。

 そうか、渋谷だから、こんなんで、いいのか。


BGM->ICE"ICE TRACKS Vol.1"1998