本を片手に街に出よう -39ページ目

i.ROBOT



20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
アイ,ロボット 通常版

 アシモフの古典SF「われはロボット」が原作なようでいて、しかしてその実態は有名な「ロボット3原則」その他小説に出てくるガジェットを拝借して作られた別物です。

 「i」が小文字であるのを見ても分かるように、本作が提示する未来はiMac風ホワイト&ブルーLEDが基調の世界。出てくるロボットはApple社製か?とも見紛うようなスタイルをしている。ちょっと顔がリアルでグロい。


 ところで、2005年の日本は死亡数が出生数を上回る「自然減」だそうです。
 少子化対策なんてやったりしてますが例によって小役人の考えること。生ぬるーい!
 このままではジリ貧である。

 ここで登場するのが、ロボットですわ。なんたってもともとROBOTの語源は"人造労働者"ですよ。
 超低金利その他優遇で大儲けしてくれている大企業様には全精力を注いで人型ロボットを作ってもらいましょう。
(少子化の解決になってませんが…)

 人口5,000万人に減っても人型ロボットが1億体。いい感じでシュールな国に…流石にそれは遠い未来の話のようだが!

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世界の産業用ロボット販売、04年は17%増・2年連続2ケタ成長

 【ジュネーブ11日共同】国連欧州経済委員会(UNECE)は11日、産業用ロボットの普及に関する年次報告書を発表、2004年に全世界で販売された多目的産業用ロボットは前年比17%増の9万5368台で、2年連続の2けた成長を記録した。03年の伸び率は19%。

 販売台数は05年上半期も前年同期比で13%と伸びており、UNECEはロボット販売が08年まで年率約6%の成長を続けると予測している。

 報告書によると、日本の昨年末時点のロボット稼働台数は35万6483台。世界1の座は揺るがず、世界全体(84万7764台)の約42%を占め、製造業の労働者1万人当たり329台のロボットが稼働している。日本の昨年の販売は前年比17%増の3万7100台。

(日経新聞2005.10.11)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20051011STXKC001911102005.html

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 さて映画に戻ると…絵的にはCGがかなりきばっていて綺麗。ずらーっと並ぶロボットなんかは荘厳でいて閉塞的な感じがして程よい現実感がある。
 ウィル・スミスのスマートさ、器用さはこの役柄には不要であろう。怒りのシーン、気を吐くシーンなんかもほとばしる行儀の良さがにじみ出ていて、近未来の不気味に無機質な世界観でもがいている感じがせず、良い演技だとは思うのですがパンチ力に欠けるのです。刑事役が多くてマンネリ感も漂っている?


BGM->DJ Jazzy Jeff & the Fresh Prince"He's the DJ, I'm the Rapper"1990
(Fresh Prince=ウィル・スミス。若かりし頃から器用だったのね)

【小説】ブルースカイ



桜庭 一樹 ブルースカイ

 神保町の書泉をうろついていたら綺麗な青の装丁が目に入り、思わず手にとったらSFっぽいので、衝動買い。

 なんていうんですかね。こういうの。消化不良オチの不思議系。

 中世のドイツ、魔女狩りの恐慌が吹き荒れる町に住む少女マリー、2022年、ジェンダーが逆転したシンガポールでCGを書くディッキーがそれぞれ体験する不思議な物語。そしてそれを繋ぐのは時空を旅する?女子高生そら。

 それぞれの物語が1部づつ3部構成になっている。1部と2部がビミョーな絡みを見せつつ?3部で時空を旅する?女子高生そらの顛末が明らかになる。

 中世に住む、大人びた少女マリーからは「短い単語しか口にしない、まるで動物のような、単純な喜怒哀楽しか伝わってこない、知性が感じられない…こんな様子なのに、もう十七年も生きているなんて」と驚かれる女子高生そら。マリーの世界には、幼女と大人の女性の中間という概念がない。

 そして、女性に従属する立場となり、少年と大人の男の中間「青年」を生きつづけるディッキーからは「君は絶滅危惧種だ。なんだかわかってきたよ。君は少女だ。そしてぼくは君の文化的子孫」と共感を抱かれる。

 中世と未来の比較論的な社会変遷における、過渡期という位置付けで現代女子高生を描くことによって、少女(青年)の持つ微妙な世界観を表現した…といったところか。ってそうなの?これが自分の解釈の限界です。駄目だ。その程度の感性です。昭和生まれも既に過去の人となりつつあるか。

 そらは携帯を「じぶんとせかいを繋ぐもの」と考えている。他人との関わり方もひどく希薄で自己中心的である。虚ろな青春。それが狙いなのだろうか。

 テーマはともかく、全編通して感じるのは不可思議な展開による「オチはどうなるの?」感。
 少女マリーはディッキー達が創り上げたキャラクターなのか?
 強化老人はどの時代からきたどんな奴らなのか?
 女子高生そらは自分の境遇をどこまで理解したのだろうか?それもどうやって?
 もうちょっと深く書き込んでくれるといいのだが。

 結局最後まで女子高生そらの理解不能的世界観に振り回されて終わってしまった。
 実は著者の意図通り?

【小説】エンブリオ

帚木 蓬生エンブリオ (上)帚木 蓬生エンブリオ (下)

 著者のハハキギホウセイっていうペンネームは源氏物語からとってきたらしい?不思議な語感。


○産婦人科版ブラック・ジャック

 主人公の岸川医師は九州の海沿いの田舎に最新の隠れ研究設備を持つサンビーチ病院を建てて院長をやりながら神をも恐れぬ研究に没頭する。

 受精後八週までの胎児を「エンブリオ」という。
 流産させたエンブリオの臓器を別の胎児に移植するのはもちろん、培養してストックしたり、脳をパーキンソン病の父親に移植するなどやりたい放題。
 極めつけは、男性を妊娠させる実験!しかもそれを海外の学会で発表。
 日本の権威がケチをつけるも、意に介さず。「エンブリオ」は法的には人ではない。
 権威が勝手に定めた「倫理」に従う気は全く無いのだ。

 このような暴挙を続ける岸川は、かたや患者からは「不妊治療最後の駆け込み寺」として慕われている。不妊治療に取り組んできた夫婦に子宝を授ける「救いの神」でもあるのだ。
 20年間、2千万以上もかけて不妊治療を続けてきたが子供が出来ない夫婦もいれば、いとも簡単に中絶を決断する若者もいる…そのような矛盾に淡々と立ち向かう岸川医師。


○人体ビジネス?

 そして恐ろしいことに、この本で描かれたことは既に現実問題になってきているみたいだ。


 文体が淡々としており説明的なのは著者の作風かも知れないが、こうした事態への問題提起を、小説というアプローチで行おうとしている意図が良く分かる。


○いきなりサスペンスへ

 学会で外国企業に目をつけられ始めてからは、徐々にサスペンス色が強まる。
 最後は往年の大映ドラマ並にバタバタと人が死んで、エンディング。
 前半が行き過ぎ医療の淡々とした羅列だっただけに、とってつけたように慌しい。

 でもこの無限ループ気味な終わり方は結構好き。

 うーん。誰が悪者で、誰が善人なんだ?
 命の尊さとは何なのか?

 作中にさほどサプライズはない。
 間一髪的なスリルも少ない。
 全てが淡々と進み、そして皆いなくなって日常に回帰していく。
 なかなか考えさせられるエンディングであった。

池之端 かめや 一睡亭

池之端 かめや 一睡亭 以前、上野は博物館、美術館が多いという話をしましたが、こんなのもあるんです。
下町風俗資料館。入場料300円也。

 入るなりイキナリ紙芝居の実演中。こじんまりながらも昭和の街並みが再現されておりノスタルジック度120%。
 けん玉や駒など、昔のおもちゃが置いてあって手にとって遊べます。外国人観光客が大喜びで遊んでました。
 当時の家具や仕事道具、東京の街の変遷など、資料的価値も高い展示も多数。これで¥300-は安い。

 さてその資料館から直ぐのところに「池之端 かめや 一睡亭」があります。
 不忍池を望む明るい障子窓がついた店内。
 従業員の皆さんは着物姿で非常にお上品な立ち振る舞い、和服美人が多くて何だか華やかな感じです。

 思わず長居をしたせいか、だらだらといろいろ頼んでしまいました。
 割とあっさり目な味付けですが、良い鰻には赤だしもあいますね。

ビール ¥700-
お通し ¥400-
鰻ざく ¥1,000-
鰻重(竹)¥3,300-
赤だし ¥400-

 旬菜料理もやってるみたいですが、ビミョーにお値段も上品です。

T.B Spam

初体験です。
タイトルからして怪しい感じではあったんですが。
これってamebloでの防止策は「トラックバック受け付けない」しかないんでしょうかね。
トラックバックが全く出来ないのもそれはそれで寂しいし、blogの特徴をスポイルしているような気もするんですよね。
どっかのサイトがやっているような承認制にしてくんないかな…