発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。
現在はクリニック外来に常勤しており、気がつけばもう十数年が経ちました。
私自身、ASD児の親でもあります。
(子供は現在30代で、グループホームに入っています。)
納豆ご飯しか食べられなかったAくん
今から10年以上前、年中から小学1年生まで通われていたASDのお子さん(以下Aくん)がいました。
Aくんはとても強い偏食があり、食べられるものは「納豆ご飯」だけ。
旅行や外食はもちろん難しく、園からの連絡帳には
「今日は水だけ飲みました。」
という文字が並ぶことも少なくありませんでした。
少しずつ見えてきた変化
小学校に上がってから、少しずつ変化が見られました。
まずフライドポテトが食べられるようになり、
ファミレスでの外食も可能になりました(ポテト🍟しか食べないけど)。
その頃、Aくんは言語訓練を終了し、
私は「今どうしているかな」と時々思い出していました。
思いがけない再会
そして今回、AくんのいとこであるBくん(お父さん同士が兄弟)がASDと診断され、当院に通うことになりました。
Aくんは現在高校生とのことで、それを聞いただけでも驚いたのですが、
ふと偏食のことを思い出し、聞いてみました。
私
「Aくん、今はどんなものを食べていますか?」
Bくんママ
「この間会ったときは、さかな食べてましたよ。」
私
「え!
Bくんママ
「好き嫌いは多いみたいですけど、なんでも食べるようになりました。」
聞いてほっとした一言
その言葉を聞いて、心からほっとしました。
偏食で悩まれているお母さんはとても多いと思いますが、
Aくんのように、成長とともに少しずつ食べられるものが増えていくお子さんは少なくありません。
「大きくなっても、まったく増えない」というケースは、
実際にはほとんどないのではないかと感じています。
私の子どももASD児で偏食でしたが、今では食べ過ぎで食事制限するほどです。
偏食は“今”だけのことかも。。
論文を読むと偏食が非常に強い子に、胃ろうを造設するケースが紹介されることがあります。
ただ、私自身の子どもやその周辺、またはこれまで関わってきたお子さんたちの中で、
噂レベルを含め、胃ろうを造設したという話は聞いたことがありません。
現場の実感として、胃ろうになるケースはかなりイレギュラーであり、
多くのお子さんは成長とともに、少しずつ食べられるものを増やしていく印象があります。
小さい頃は、口の中の過敏さが強いお子さんも多いですが、
成長とともに、その過敏さは少しずつ和らいでいくことが多いです。



