言語聴覚士(ST)のつぶやき

言語聴覚士(ST)のつぶやき

小児のST(言語聴覚士)をしています。
訓練方法などはあまり書く予定はなく、訓練室での出来事を書いています
※個人情報がわからない様に書いています。

ブログの内容は個人的な見解として述べています。
また、個人が特定できない様に、状況を詳細に記述する事ができません。ご了承下さい。

自己紹介を兼ねる私の最初のブログです。↓
https://ameblo.jp/yazzuu/entry-12823570487.html

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児ST(言語聴覚士)です。
とあるクリニックでの常勤勤務十数年です。


小さいクリニックで外来をやっていると、色々あります。

数年前のこと。
当院に電話がありました。
受付さんが出て、その電話が言語に回ってきたんですが、
受付さん曰く、
「すみません。言語訓練じゃなくて、子育てのお悩みのようなんですけど、変わってもらっていいですか?」
と、ちょっと困っているようでした。
ちょうど、空き時間だったので、電話を受けました。

内容を聞くと、
「1歳3ヶ月の子供が、ダメといってもいうことを聞かないので、どうしたらいいですか?」
とパパさんから。。。
ひょっとして自閉スペクトラム?と思い、色々お話を伺ったのですが、
発達やコミュニケーションには遅れはなさそうでした。
やはり、受付さんの言うとおり、子育て相談だと思われます。

当院は、小児科もないし、どうやら、言語訓練をしていることも知らなかった様子。
正直、戸惑いましたが、きっと、初めての子育てで、切羽詰まっていたのでしょう!。


そこで、私が思いつく、アイデアを提案させていただいて、

※ダメという時には、しっかり目を見て、ちょっと怖い顔をしてみては?と言うことを伝えた記憶があります。
そしてもし、1歳半検診や3歳児検診で要観察となったら、連絡ください。とお伝えして、電話は、終わりました。

その後、何もなかったので、解決したのでしょうね。
外来をやっていると、色々あるというお話でした。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児ST(言語聴覚士)です。


随分前に終了した、軽度知的障害で自閉スペクトラム(以下ASD)のA君。
地域の小学校の支援学級(当時3年生)に在籍していて、会話は普通に可能です。



ある日のグループ訓練中の出来事です。

何かの話題で、「冷蔵庫」という言葉が出てきたら、A君が言いました。

「『れいぞうこ』ってなに???」

※小学校3年生です。

私「えっ知らない?」

A君「見たことも聞いたこともない‼️」

※冷蔵庫を知らないのに、こういう表現は知っているから、不思議です。

私「キッチンにあって、卵とか野菜とかお肉が入っているところだよ。牛乳も入っていて、食べ物を冷やすんだよ。」
と携帯画像を見せて、「A君のお家にもあるよ!」といっても、

A君「ないよ‼️そんなの!」
と半ギレ状態。

この時代に、冷蔵庫が無い家なんて!
しかも、パパママと子どももいるご家庭で冷蔵庫がないなんて、あり得ないです。

お母さんに聞いたら、ショック&びっくりしていて、
「うちに帰ったら、これが冷蔵庫だって教えます‼️」

と、おっしゃっていました。

ASD児さんは、自分の興味あることは、どんどん覚えるのに、
それ以外のことは、基本、

「教えられていないことは知らない。」ですね。
※毎日使っている冷蔵庫ですら教えられていないから、知らない。

A君をはじめ、いろんなASD児さん、色々びっくりエピソードはあるけれど、
逆に言えば、
「教えてもらえれば、わかる」ということなんですよね。


意外なものを知らなかったりして、イライラするし、それらを教えるのは、すご---------く時間がかかるけど、冷静に一つ一つ根気強く教えることの大事さを、思い出させてくれた出来事でした。


今は、どんな風に成長しているんだろう、と気になっているお子さんです。



※↓常識的なことも、教えられていないからわからないエピソードです↓(過去記事)。


発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児STです。
とある地方の小さなクリニックで常勤勤務十数年たってしまいました。


お母さんから聞いた、支援員さんのお話です。

Aくんはダウン症で、現在、トイレトレーニング真っ最中です。

※Aくんには、まだ発語がありません。


とある施設に通っているのですが、
尿意をもよおすと、モゾモゾしたり、時にはマカトンで知らせたりするので、

支援員さんがトイレに連れて行ってくれます。
※マカトン→簡単な手話みたいなもの


その場所は、トイレまでが少し遠く、
道中には、みんなの描いた絵が貼ってあったり、楽器が置いてあったりするそうで、
Aくんは、トイレに行かないといけないのに、
絵が気になったり、楽器を触ったり、トイレのことを忘れて遊びだすそうです。


そうなったら、支援員さんが懸命にトイレに誘導しようとしても無理なようで、
結果、漏らしてしまうパターンが続いていたそうです。


ある日、支援員さんが変わりました。

不思議なことに、

その支援員さんがAくんをトイレに連れて行くと、トイレに失敗することはないそうです。


「どうしてだろう?」


お母さんが、不思議に思って、よく観察してみると、

手を繋いで、一緒にトイレに行くことは同じなのですが、

トイレに着くまで、

トイレの話をずーーっとしているそうです。


トイレの話をし続けることにより、Aくんの注意をトイレに集中させているようです。

その結果、興味が他に移ることがなくなるので、道草する事なく、失敗しないということです。


すごい支援さんがいるものです❗️

でも、それに気づけるお母さんもすごい❗️


この調子で、トイレトレーニング続けてください。


以上、勉強になったお話でした。





発達のゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児STです。
そして、自閉スペクトラムの子の親でもあります。
※子供は既に成人しており、グループホームに入っています。



私の障がい受容はこんな感じでした。

※「障がい受容」とは、障がいを受け止め、落ち着いて向き合うことが出来るようになること。


定型発達のこどもだったらなぁ。。。

うちの子が自閉スペクトラム(以下ASD)とわかってから数年間は、常にそう考えていましたが、
月日が経つにつれ、定型発達との差は開くばかりで、追いつくなんて困難。

定型発達と比べても、競争しても意味なし、と悟りました。


親戚の集まりには、居ずらい感じはあったけど、

だからと言って、定型発達だったら。。。と考えてもしょうがない。

お腹の中に戻せるものでもない。


私の場合の障がい受容は、諦めからくる開き直りでした。


それから大分経って、


7〜8年前、言語訓練に、若いお母さんとお子さんが来院しました。

年齢を見たら、そのお母さんが、私の子供と同い年


私もそんな歳になったんだなぁ、と思うと同時に、

もし、うちの子が定型発達で、このお母さんのように結婚が早かったら、

おばぁちゃんになっていた世界もあったかもしれない。。。

久しぶりに定型発達と比べて、羨ましくなりました。


私の場合、

うちの子があって、STという職業を知って、今があるのだけれど、

。。。孫の顔も見てみたかったし、親孝行もしてもらいたかったなぁ。


でも、冷静に考えてみると、定型発達だって色々あるし、

結婚するとは限らないし、子供ができるとも限らない。

それに、定型発達だから幸せ、とは限らない。


最近は、自分の子と同年代の親御さんは珍しくなくなりました。

それよりも若いパパ、ママも来院されます。


この間、おばぁちゃんが私より若かった、というケースがあって、自分の加齢にショックを受けました。


今は、定型発達が羨ましいとは全然思わなくなりました。


60歳目前にして、ようやく、そして、やっと落ち着いた時間を過ごせているけれど、

今度生まれ変わったら、同じ人生は歩みたくないです。

ASD児を育てるのは、戦場を生きてきたようで、こんな大変な人生は、嫌です。

戦争反対❗️平和がいいです。


と言いながら、戦禍で戦っている親御さんをサポートする仕事をしている私です。


ASD児の親御さんの詩の翻訳「ベイルートへようこそ」(長文)。

”自閉症をもつ子どもを育てる経験ってどんなのか説明して、ってよく頼まれるので、
そういうユニークな経験を持たない人が、それを理解し、それがどんなだか想像する手助けをしてみると、
こんな感じです。”



発達のゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児STです。
クリニックに常勤勤務して十数年経ちます。


数年前に訓練終了したAくん。

初めて来院した時は、3歳直前でした。
当時の発話は単語のみ、言語理解は2歳に満たない、という結果でした。

それから、3年以上経ち、
年長時点で、言葉を流暢に話すようになりました。

家では、お兄ちゃんに競争心を抱いて、
お兄ちゃんに負けないように、敵対心を燃やしています。
おかげで、お兄ちゃんが文字を勉強していると、
Aくんもいつの間にか、ひらがなが読めるようになりました。

こちらで実施した標準検査では、IQが平均と言われる値になっていました。

でもやりたい事と、やりたくない事の取り組みの差が大きいことが悩みです。

親御さんは、小学校入学にあたり、支援級にするか普通級にするかで、迷っていました。
園の先生と児童精神科の先生は支援級を勧められたそうです。

私は、Aくんは競争心があるので、
学校でみんなが取り組んでいると、やりたくない課題でも頑張る可能性があるから、
普通級に挑戦しても良いのでは?私の考えをお伝えしてしました。

※あくまでも私個人の考えとして。。。

結果として、親御さんはAくんのペースに合わせて、安心して学べる環境を選んであげたい、とのことで
支援級に行くことに決定しました。

色々な所にアドバイスを求めて、悩んで悩んだ結果でした。
 

私、全面的にAくんの親御さんに賛同します。

私は、あくまでも言語訓練の時間でのAくんしか知りません。


支援級か普通級かで迷うお子さんの場合、

専門家の意見も割れてしまうことが多々あります。

 

〇〇先生がこう言ったから、その通りにしなきゃ!

とは、考えなくても良いんです。

どうか、たくさん考えて決めてください。

 

訓練終了して数年。

時々思い出すお子さんです。

 

 

 

 

 

 

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児STです。
フルタイム勤務、十数年経ってしまいました。

勉強スペース作りについて、追加で色々なアイデアをいただきました。


いくつかをご紹介させていただきます。


↓前回のブログ


アイデア①

お子さんの注意を引きそうな所に、ロールカーテンを付けて、

勉強時間にはそれを下げ、視界を遮断することによって、集中力を高めるそうです。

※画像Amazonより


これなら、上げ下げがとても楽で、一瞬で隠せますね。



アイデア②

机の上の壁(市販品)です。

※画像Amazonより

これは、値段が1400円くらいで買えるので、助かります。



アイデア③

ダンボールで壁を自作する、という物です。

手間は掛かるし、耐久性も心配ですが、手先の器用な方はやってみても良いと思います。

※イメージ↓

画像はこちらから↓お借りしました。 


これらのアイデアを提案していただき、ありがとうございました。

ADHDのお子さんの勉強スペース作りは、
本当に悩みの種で、
どれも、お子さんの特徴をよく考えて、工夫されていました。

涙ぐましい努力、本当に凄い👍です❗️



発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児ST(言語聴覚士)です。
とあるクリニックでの常勤勤務、10年以上経ってしまいました。


訓練中、Aくんのお母さんから、

こんな質問をされました。

「先生、机に置く壁って知りませんか?」

Aくんは、年長さん。

来年小学生になる注意散漫なお子さんです。

 

ADHDのお子さんの場合、集中できる環境作りは、学習に欠かせません。

何もない部屋に、机だけを置いて勉強すると良いのですが、

日本の住宅事情の中で、そのようなスペースを作ることは簡単ではありません。

なので、手っ取り早いのが、机の上にパーテーション(壁)を作ること。

そのためにAくんのお母さんが、「机の上に置く壁」について質問されたのです。

机の上に壁を作ると、視覚的な情報を遮断できるので、注意を勉強に向けられます。



今まで出会った方々、みなさん色々工夫されて努力されています。

こんな方々がいました。
①机の周りに、高いブックエンドを並べて壁を作る。
②机の周りに収納ボックスを並べて壁を作る
③押入れやクローゼットを改造して勉強スペースを作る
などなど。

ちょっと前になるのですが、こういう製品を見つけました。

  ※商品名 イーチェスク

 

正確には、壁だけではなく、壁と机と椅子のセットなのですが、

発達障害児用に開発されたもののようです。

 

親御さんが正面で宿題をチェックしたり、サイドからもチェックできます。

このように↓

 

でも、値段が165,000円(送料別)で結構なお値段します。

しかし、機能性はとても高そうです。

 

 

 

 

 

壁を作るのであれば、こんな物(簡易防音室)もありました↓

※Amazonより

 

あと、四方をブロック出来る、デスクテントというものもあります↓

※Amazonより

 

お母さまには、色々と提示させてもらいました。
他に何か知っている方いませんか?
いろいろ教えてください。
 

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしています、小児ST(言語聴覚士)です。

クリニックの常勤勤務10年と少しです。



その子(以下Aくん)はASD(自閉スペクトラム)です。

言葉は出てきましたが、コミュニケーションはちょっと取りにくいです。


しかし、

これを頑張ったらドクターイエローで遊べるよ!

というと、とても頑張ってくれます。

そのため、訓練にはドクターイエローのおもちゃが欠かせません。


ある日、Aくんが、ドクターイエローのおもちゃで遊んでいると、


「ドクターイエロー見てきた‼️」


と言ってきました。

これは、コミュニケーション取れるかな?と思い、

色々話しかけましたが、

「見てきた、見てきた、」

としか、コミュニケーションが取れませんでした。


すると、親御さんから、こんな情報をいただきました。


「X(旧ツイッター)でドクターイエローの走行予測をしている人が何人かいて、

 それを参考に、駅に行ったらドクターイエローを見れました。」


それは良いことを聞きました!


私も電車好きなので、チャンスがあれば見てみたい‼️

早速、それらしき人をフォローしていたら、

ある日、こんな投稿を見ました。


「ドクターイエローの走行を確認しました。

 博多→東京の検測走行です。」


ご丁寧にも、各駅の到着予測時刻も書かれていました。


この日は、土曜日。

この日は半日勤務の日なので、見に行けるかなぁ、と心配したのですが、

到着予測時刻によると、仕事終わりでも余裕で見に行けそうです。


ならば、行かなくては。。。

※ドクターイエローはもうすぐ引退するので、絶対に見に行かないと。。。


駅の入場券売り場は、長蛇の列でした。

ホームにもドクターイエロー目当てのご家族連れや、鉄道オタクらしき人など沢山の人でした。


実際にドクターイエローを見てみると、感動しますね!

今度、Aくんに話してみると、コミュニケーションとれるかなぁ。。。


ドクターイエローは見ると幸せになる、とも言われているそうで、

よかったら、動画をどうぞ❣️







 

 

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児STです。
とあるクリニックで常勤勤務して、10年以上経ってしまいました。


就学にあたり、支援学級 or 普通級かで迷うケースが圧倒的に多いのですが、


時々あるケースで、

地域の小学校の支援学級か、あるいは障がい児専門の支援学校かで迷う事もあります。


年長のAちゃん。

生まれながらの疾患のため、体が小さく、知的にゆっくり発達しています。

単語レベルの発話があり、理解力は2語文といったところです。

簡単な指示には従う事が可能で、コミュニケーション力高めです。


でも、

身の回りの事は自分でやろうとするけれど、すごーーーく時間がかかり、まだオムツが取れていません。


ちょうど支援学級支援学校の狭間のお子さんで、

どちらもすでに見学済みです。


支援学校の方が、お母さんは楽なのですが、

お子さんにとっては、多少の物足りなさがあるのでは?とお母さんが心配されています。


私個人的には、地域の支援学級にどんな子達がいるかどうかだと思うのですが。。。


普通級に近い子が多い支援学級だと、

その中に手の掛かる子がいると、先生の手を煩わせてしまい、

肩身の狭い思いをしてしまう事があります。


言語訓練に来ている支援学級のお母さんの一部からは、

「学校の先生は重い子にかかりっきりで、うちの子のような軽度の子は放ったらかし。」という不満も直接聞くので。。。


よく、「オムツが取れているかどうか」が支援学級支援学校の分かれ道、と聞いた事がありますが、

最終決定は親御さんなので、オムツが取れていなくても支援学級に行っている子がいるのも事実です。

でも、そういう場合、

「お母さんもお子さんと一緒に学校に登校してください(もちろん毎日)」

と言われるケースが多いんです。うちの地域では。。。


一方で、中等度の子が多い支援学級の中では、先生も手慣れている事もあって、

Aちゃんのレベルだったら支援学級行けそうだな、と思います。


本当に悩ましい。。。。


お母さんに「どちらが良いと思いますか?」と聞かれましたが、

すごーーく悩んで考えた結果、Aちゃんについては、


「どっちもありだと思います」

という返事しか出来ませんでした。ごめんなさい🙏


お母さん曰く、

いろんなところに相談しているけれど、結局は

「どちらでも良いです。」

と言われるそうです。



発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている小児ST(言語聴覚士)です。
とあるクリニックで常勤勤務を10年以上しています。


「家庭を持っていても、言語聴覚士になれますか?」

と言う質問を時々見かけます。


なれる or なれない、と聞かれれば、なれます!


ですが、

最短で資格取得するには、2年間養成校に通って、国家試験を受ける必要があります。

※養成校に入るのは大学卒業しているのが条件


その間は、家庭との両立は難しいです。

というか、両立しようと思わない方がいいです。


資格をとってしまえば、働き方は常勤でなく非常勤でもパートでも良いのですが

※出来れば、2〜3年はしっかりとした機関での常勤勤務を勧めますが、、、


お子さんが小さい方で、家事と育児をしながら、養成校で勉強するのは無理かなぁと思います。

ただしある条件を除いては、、、


それは、家事育児をやらなくても良い環境‼️である事。

すなわち、実家や配偶者の理解と協力が得られる環境下では、可能です。


現状難しいのであれば、お子さんが自分のことは自分で出来るようなったら目指すのはどうでしょうか?


実際、養成校では私以外にも、家庭を持ちながら勉強していた人は結構いましたが、

サポート無しで頑張っていた人達は、ほとんどが途中で去ってしまいました。


環境次第、というのはちょっと悲しいですが、

40代50代で言語聴覚士になる人、結構いますよ❗️