和尚さん(園長先生でもある)の説法のはなし | 言語聴覚士(ST)のつぶやき

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小児のST(言語聴覚士)をしています。
訓練方法などはあまり書く予定はなく、訓練室での出来事を書いています
※個人情報がわからない様に書いています。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしています。
就学前の自閉症のお子さまを多く見ていますが、
私自身、自閉症の子の保護者でもあります。


私が自閉症児の子育てをしていたのは、平成初期です。

当時、発達がゆっくりな子でも入れてもらえる一般の幼稚園に通っていました。
そこは、お寺さんが経営している幼稚園で、園長先生は和尚さん(おしょうさん)でした。


今から30年くらい前の話です。
家から近くの園には通うことができず、

(うちではムリと言われた)

知り合いの保育士さんに勧められた幼稚園に、片道、車で30分以上かけて通っていました。

園長先生でもある和尚さんは、時々、保護者会で説法をしていました。

そして、今でも覚えている説法があります。



ー説法の内容(和尚さんの口調で再現)ー


例えば、電子レンジなどの家電は、スペックや、機能、値段などを他社の電子レンジと比較して購入しますよね!

車もそう、AとBを比較してどれが性能がいいか、をチェックします。

このように、品物は、見て、比べて、どちらが良いものかを判断します。

日々の買い物もそうですね。こっちのキャベツの方が、ズッシリ重くていいとか。。。


しかしながら、人というものは比べるものではないのです。

人には色々な側面があり、ある分野では優秀だが、これは苦手など、長所や短所があります。

それゆえ、単純に、AさんとBさんは、Aさんの方が優れている、などと比べられないのです。


お母さんたちが、よく、「〇〇くんは、これが出来るのに、うちの子は出来ない。」とか

「〇〇ちゃんがやっているのだから、うちの子もできるはず!」と言っているのを見かけます。

でも、

人というものは、比べるものではありません“。


あなたのお子さんには、色々な側面があって、得意なこともあれば、苦手なこともあります。


なので、他のお子さんと比べないで下さい。


もし、あなたが「〇〇君はこれができるのに、なんであなたは出来ないの?」と思った瞬間、


お母さん、あなたは、自分の子どもを「物」として見ていることになるんですよ!


あなたのお子さんは「物」じゃないでしょ!「人」でしょう!

だから、絶対に他のお子さんと比べないでください!!


私は、この説法がとても印象に残っていて、時々、訓練に来る親御さんにお伝えすることがあります。


お子さんの成長の悩みの多くの部分は、何かとの「比較」によって起こると思います。

比べる事をやめると、心がだいぶ楽になるのではないでしょうか。


もし、比べるのなら、他のお子さんではなく、過去の自分のお子さんにしましょう。

半年前は「あーあー」しか言っていなかったのに、今は「アイス」って言ってる❗️など、

「過去のお子さん」と「今のお子さん」を比べてください