発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。
現在のクリニックに常勤で勤務して、十数年が経ちました。
今日は、読み書きに苦手さのあるお子さんについてのお話です。
「あれ?文字が読めていない」
実は、私の勤務するクリニックでは、読み書き障害(LD)だけのお子さんは訓練していません。
ところが、普段の言語訓練をしていると、
「あれ?この子、ひらがながあまり読めていないな」
と気づくことがあります。
たとえば、言葉の訓練をしている中で文字を使う場面が出てきたときに、文字の読みにつまずいていることが分かることがあります。
そういう場合には、その子の必要性に応じて、読み書きについても訓練することがあります。
私が担当するのは、ASD、ADHD、知的障害、ダウン症、機能性構音障害など、さまざまな背景のあるお子さんたちです。
そして、その中に読み書きの苦手さを併せ持っているお子さんがいるのです。
すべてをSTが教えるわけではありません
では、どこまで訓練するのか。。。。
時々、読み書き障害を専門にしている小児STさんもいますが、
私のところでは、ひらがなを覚えて、簡単な単語がある程度読めるようになったところで終了となることが多いです。
その先は、学校にお願いしています。
学校の先生方は、子どもたちに文字や勉強を教えることについて、私たちよりずっと経験がありますし、教え方も上手です。
STが何でも抱え込む必要はありません。
その子にとって、どこをSTが担当し、どこから学校につないでいくのがよいのか。
そこを考えることも、支援の一つだと思っています。
教え方も、その子によって変わります
ひらがなを覚える方法はいろいろあります。
学校では、文字とイラストなどを結びつけて覚える「キーワード法」が使われることもあります。
ただ、私が担当しているお子さんたちの場合、知的な発達の遅れなどがあることで、キーワード法が使えない場合が多い。
「みんながこの方法で覚えているから、この子にも」
とはいきません。
そこで私は、その子に合わせて別の方法を考えます。
例えば、読みやすさに配慮して開発されたUDフォントを使って文字を提示することもあります。
文字の形を見やすくしたり、読み間違えにくくしたりすることで、少しでも文字への抵抗感を減らせればと思っています。
時間がかかっても、その子のペースで。。。
もちろん、すぐには覚えられません。
時間がかかります。
そして、そもそも「文字を覚えたい!」というモチベーションが高くないお子さんもいます。
そんなときは、焦りません。
一文字覚えるのに時間がかかってもいい。
今日はここまでできた。
前回できなかった文字が読めた。
そんな小さな変化を積み重ねながら、その子のペースで進めていきます。
「読み書きが苦手」といっても、みんな違う
小児STをしていると、本当にいろいろなお子さんに出会います。
ASDの子。
ADHDの子。
知的障害のある子。
ダウン症の子。
構音が苦手な子。
そして、その中に読み書きの苦手さを持っている子もいます。
同じ「文字が読めない」という状態でも、理由は一人ひとり違います。
だからこそ、
「この方法が正解」
と決めつけるのではなく、
この子には、どんな方法なら届くだろう?
と考える。
それが小児STの仕事の面白さでもあり、難しさでもあるのかなと思います。
時間はかかります。
でも、ある日突然、
「読めた!」
という瞬間がやってくることがあります。
その瞬間を見ると、
「ああ、やっぱり焦らなくてよかったな」
と思うのです。

