言語聴覚士(ST)のつぶやき

言語聴覚士(ST)のつぶやき

小児のST(言語聴覚士)をしています。
訓練方法などはあまり書く予定はなく、訓練室での出来事を書いています
※個人情報がわからない様に書いています。

ブログの内容は個人的な見解として述べています。
また、個人が特定できない様に、状況を詳細に記述する事ができません。ご了承下さい。

私の最初のブログです。↓
https://ameblo.jp/yazzuu/entry-12823570487.html

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。


今はクリニック外来に常勤勤務して14年目です。

  言語室で受けた衝撃的な質問


何年も前のある日のことです。

来室されたのは外国にルーツを持つお母さん。

お子さんは重度の自閉スペクトラム症(ASD)の3歳のお子さんで、まだ発語がありません。

訓練の話をしていた時、お母さんからこんな質問を受けました。

「母国で、しゃべらないASD児にCanabidialを与えたら話せるようになったと聞いた。日本ではどうなのか?」

私は聞き慣れない単語だったため、その場で調べました。

そして思わず固まりました。

その正体は――

大麻。


翻訳した画像↓



一瞬、自分の見間違いかと思いました。


詳しく調べると、痛みの緩和などに使用される医療用大麻(マリファナ)のことを指しているようでした。


  「話せるようになる薬」は存在しません


しかし、今はそんな話をしている場合ではありません。

私は慌ててお伝えしました。

「発語のないASDのお子さんに飲ませたら、言葉が出るようになる薬は世界中どこにもありません‼️‼️」


日本にもありません。海外にもありません。


お母さんは私の説明を聞き、納得してくださいました。



  さらに背筋が寒くなった話


ところが、その後の話を聞いて私はさらに驚きました。

その情報は、


その医療用大麻を親がネット通販で購入して😱親の(勝手な)判断で子どもに与える‼️😱

という話でした。


正直、頭が真っ白になりました。

(色々な意味で怖すぎ❗️😱)

私は最初、
「○○を食べたら発達に良い」
「○○療法で言葉が出た」

といった、あやしい民間療法の類を想像していました。

しかし、これはそんなレベルの話ではありません。

民間療法という言葉すら当てはまらない危うさを感じました。



日本で子育てしてる多くの保護者であれば、


「それ、嘘ですよね❗️」


と信じないと思いますが、このお母さんはとても真剣でした。


それだけに私は、背筋が寒くなりました。


  親心につけ込む情報の怖さ


もちろん、ご両親の気持ちは理解できます。

我が子に言葉が出てほしい。

少しでも成長してほしい。

そう願わない親はいません。

だからこそ、

「これで話せるようになった」

「劇的に改善した」


という話は強い魅力を持ってしまいます


藁にもすがる思いだからです。

でも、時に人はこんな危険な情報を信じてしまうんだなぁ〜。


私は話そのものよりも、


「3歳の子どもにそれを与えよう」と本気で考えてしまうほど

追い詰められている保護者がいることに恐ろしさを感じました。



発達障害を治す魔法の薬はありません。
言葉を出させる特効薬もありません。


だからこそ、耳触りの良い情報ほど慎重に見なければいけない。

そう改めて感じた出来事でした。

生きている人間が一番怖い――。

そんな言葉が頭をよぎった一日でした。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。
クリニック外来に常勤勤務して14年になります。

  ”今はそこじゃない“が届かなかったお母さん


初診で来院されたのは、重度のASD(自閉スペクトラム症)の男の子。

第一子で、なかなか言葉が出ないことを心配されていました。

ご両親は東南アジアのとある国のご出身。
すでに診断はついていましたが、お母さんはどうしても受け入れられない様子でした。

身体に麻痺があるわけでもない。
歩ける。走れる。ご飯も食べられる。

だからこそ、

「どうしてこの子が障害児?」

という気持ちが、とても強かったのだと思います。

私は仕事柄、いろいろな保護者の方と接しますが、


「五体満足なのに障害児?」ご高齢の世代では時々耳する考えですが、


若いお母さんでは珍しく、“見えない障害”を受け入れる難しさを、改めて感じたケースでした。

  発語のない4歳児に、ひらがなを教える


当時、その子は発語がありませんでした。(重度ASD)


やり取りも難しく、共同注意も弱い。
まずは人との関わりや、理解言語を育てる段階。

けれどお母さんは、なぜか「ひらがな」を必死に教えていました

もちろん、文字に興味を持つこと自体は悪いことではありません。

でも、その子に今必要なのは、“文字”ではなく“ことばの土台”。

私は何度も、

「今は、人とのやり取りを増やしていく時期ですよ」

とお伝えしました。

けれど、お母さんには届かなかった。

  もしかして、“普通”にしたかったのかな


ある時、ふと思ったんです。

お母さんは、

「ひらがなが読めるようになれば、普通の子に近づける」

そう信じていたのかもしれない、と。

必死でした。

本当に必死でした。

その姿を見ていると、こちらまで苦しくなるほどでした。

療育を頑張っている、というより、

“現実と戦っている”

そんな感じでした。

  数年後に聞けた、たった一言


それから数年が経ちました。

少しずつ、その子なりの成長を積み重ねながら通院は続いていました。

ある日、お母さんがぽつりと、

「この子のペースで、学習が進めばいいんですよね」

と言われたんです。

その瞬間、

ああ、お母さん、やっとここまで来たんだ。

そう思いました。

長かったと思います。

苦しかったと思います。

でも、“受け入れる”って、きっとこういうことなんですよね。

誰かに説明されて、一瞬で出来るものじゃない。

泣いて、焦って、否定して、期待して――

その全部を通って、少しずつ辿り着くものなんだと思います。


終了して随分と経ちますが、お母さん元気かな?と時々思い出します。



発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。

  リッカムプログラムがうまくいかなかった男の子


以前担当していた、当時小学校高学年の吃音のある男の子のお話です。

このお子さんには「リッカムプログラム」を行っていました。
リッカムプログラムとは、保護者の方が日常会話の中で、流暢に話せた時を自然に褒めながら進めていく、吃音への支援方法です。

ただ、このお子さんの場合は、開始年齢が高かったことや、パパやご兄弟にも吃音があり、遺伝的な要因も強かったのかもしれません。

もちろん、私自身の力不足もあったのだと思います。

  クラスの人気者


でも、この子にはたくさんの素敵なところがありました。

運動神経がとても良く、リレーではアンカーを任される存在。
明るくて、クラスのムードメーカーのような子です。

そして先日、風の便りで、今回、サッカーチームでキャプテンを任されることになったそうです。

その話を聞いて、私もとても嬉しくなりました☺️

  “話し方”だけで決まらない


以前、この子に、吃音のあるサッカー選手の動画を見てもらったことがあります。

スウェーデン代表として活躍し、現在はイングランドのクラブに所属している現役選手です。

「吃音があっても、こんなふうに活躍している人がいるんだよ」

そんな話をしたことを覚えています。

吃音は、確かに困ることもあります。
でも、その子の価値や、周りを引っ張る力まで奪うものではありません。

キャプテン就任の話を聞いて、改めてそう感じました。

この選手を目標に、これからも頑張ってください。





発達がゆっくりなお子さんの言語訓練を行っている言語聴覚士です。いわゆる小児STと呼ばれています。
現在はクリニック外来に常勤で勤務し、十数年が経ちました。

…と書いていますが、この「十数年」、実はちょっとした「ごまかし」です。



  「14年目に入りました」投稿にざわつく


先日、ST養成校の同期がInstagramでこんな投稿をしていました。

「STになって14年目に入りました。」

それを見て、ふと気づいたんです。
「あれ?じゃあ私も14年目ってこと…?」

正直なところ、5〜6年目くらいまでは覚えていました。
でも、それ以降は完全にノーカウント。

何年目なのか、もう分からない。
というより、「数えなくなった」が正解かもしれません。

そうかぁ、もうそんなん経ったんだぁ。


  「何年め」?


経験年数は一つの目安です。


でも正直なところ、

・10年やってても中身が薄い人
・3年でも臨床が濃い人

普通にいます。


新人とベテランを比べたらベテランの方が実力ありますが、


中堅の人とベテランを比べたら必ずしも

「年数=実力」とは限らない場合も出てきます。

やっぱり常に勉強してる人は実力があります。


  非常勤が多い世界でフルタイム14年


言語聴覚士は、女性が多く、経験年数が長くても
非常勤やパート勤務の方が多い職種です。

その中で私は、子育てがひと段落してからこの仕事に就き、
フルタイム常勤でここまで続けてきました。

これ、ちょっとだけ自分でも思います。

「まあまあ頑張ってきたよね」と。

(誰も言ってくれないので、自分で言います)



  それでもやっぱり、年数は気になる


「年数なんて関係ない」と思いつつ、
こういう投稿を見ると一瞬ざわつくあたり、

結局、気にしてるんですよね。


人間って面倒です。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。

いわゆる小児STと呼ばれています。

現在、クリニックで常勤勤務して十数年経ちました。


先日、YouTubeの「ABEMA Prime」で滑舌の特集を見ました。

…で、まず思ったのが
「え、ST出てる!」

そしてさらにびっくり。
出演していた言語聴覚士さん、小児ST界隈で有名な方でした。

この方つい最近では、「探偵ナイトスクープ」にも出ていました。

現場でコツコツやってる人が、こういう形で発信しているのを見ると、やっぱり嬉しいですね。



  滑舌に悩む人は意外と多い


動画では、ラ行やシ、チなどがうまく発音できずに悩んでいる方が紹介されていました。

これ、珍しい話ではないです。
現場的には「あるある」です。

最近のネット界隈では、「キ」が「チ」になってしまう人や、

その他「舌足らずに話す人」を揶揄して


キ族 

と呼ぶのだそうです。

(からかう言葉なので良い言葉じゃないけれど)




  滑舌が悪い原因は。。。


番組でも説明されていましたが、

この方達の場合、原因は「舌の使い方の癖」です。

※中にはそうでない場合もあり


つまり、


・生まれつきダメ
・センスがない

ではなく、
単に“間違ったフォームで覚えてしまった状態”。

これ、スポーツと同じです。

変なフォームで覚えたら、そりゃ上手くいかない。
でもフォームを直せば、ちゃんと変わる。

ここ、かなり重要です。



  「直さなくてもいい」は半分正解、半分不正解


番組内でひろゆきさんが
「文脈で伝わるなら直さなくてもいいのでは?」
という意見もありました。

これ、わかります。確かにそう。

滑舌は「個性」で片付けられることもあるけど、

でも、本人が困っているなら、それは“治すべき”です。


そして正しい発音は、ちゃんと学べば変えられる。


今回の特集を見て、改めてそう感じました。




  正しいやり方を知れば、変わる


今回の特集でも、舌の位置を意識するトレーニングが紹介されていました。

これも本当にその通りで、
正しい位置・動かし方を知るだけで変わるケースは多いです。

逆に言うと、
自己流で頑張り続けても変わらないのは当然。

やり方が違えば、結果も変わらないので。



  最後に


そして何より、
現役のSTさんがこういう場でしっかり発信しているのが本当に嬉しかったです。

いい刺激もらいました。

私も、現場でできることをちゃんと積み重ねていこうと思います。





発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STとして、クリニック外来に勤務して十数年が経ちました。

日々、いろいろなお子さんと関わる中で、
「これは忘れられないな」と思う瞬間があります。


  支援学級を選んだ理由

小学校1年生、支援学級に通うA君。
IQは高いのですが、ASD特性が強く、対人面での不安が大きいお子さんです。

お母さんは、いわゆる「いじめ」が怖くて、
あえて支援学級を選択されました。


  ディズニーの思い出

そんなA君が、長期休みに家族でディズニーランドへ行ってきたそうです。

長期休み明けの最初の言語の日。

言語室に入るなり、開口一番。

「この間、ディズニーランド行ってきてな。1泊ホテルに泊まったのさ。」


いかにも“物語のセリフ”のような、少し不自然な言い回し。
いわゆる、ASDのお子さんに見られる「棒読み」「台本調」の話し方です。

でも、楽しさはしっかり伝わってきます。


  まさかの返し

A君はディズニーが相当楽しかったらしく、

おしゃべりがなかなか止まりません。

このアトラクションがどうとか、いろいろ。。。

「ディズニー楽しかったね!」

と私がいうと、A君、少し間をおいて——



「君も一緒に行きたいのかい?」

……いや、誰のセリフ!?(笑)


  “ズレ”ではなく“個性”


どこかで聞いたことのある物語のセリフ。

言い方はちょっと的確ではないけれど、

使う場面は間違っていないので、いいたいことは伝わります。


私:「楽しかったね!」


A君:「先生もディズニー行きたい?」


ただ、その表現の仕方が、少しだけ独特なだけ。


  おわりに

ASDのお子さんの話し方は、
時に「変わっている」と言われてしまいます。

物語が頭の中に入っていて、それを再現してる感じ。

セリフもそのままに。。。


でも私はー

こういうやり取り、けっこう好きです。


ちょっと笑えて、ちゃんと愛おしい。

そんな日常が、この仕事の醍醐味だと思っています。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。

いわゆる小児STと呼ばれています。

現在、クリニックで外来勤務して十数年が経ちます。



こんなニュースがありました。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20260409-GYT1T00253/#


要約

2026年4月から、作業療法士・理学療法士・言語聴覚士などが「みなし保育士」として保育園に配置できるようになりました。



「え?」


  専門職を“数”に入れる違和感


言語聴覚士は、発達評価や言語訓練を行う専門職です。

一人ひとりをしっかり見立てて、個別に支援していく仕事です。

それを、「保育士の代わりとしてカウントできます」と言われた時の違和感。



   保育士の専門性も軽く見ている


保育士は、集団を見て、生活を回して、子ども同士の関係を調整していくプロです。

これは、訓練職とは全く別のスキルです。

それを「専門職を入れればなんとかなる」という発想。

そんなに簡単な話ではありません。

  そもそも人がいない


そして一番現実的な問題。

小児をしっかり見られるSTは、そもそも多くありません。

しかも今は、

・児童発達支援
・放課後等デイサービス
・医療分野

こういった現場でも必要とされています。

つまり、「取り合い」です。

その中で、「保育にも来てください」と言われても、

無理です。

   きれいごとでは回らない現場


インクルーシブ保育が進み、支援が必要な子どもが増えているのは事実です。

だからこそ、現場はすでにギリギリで回っています。

そこに「新しい制度」が入る。

でも中身が伴っていなければ、

・役割が曖昧になる
・連携が崩れる
・結局、誰かにしわ寄せがいく

こういうことが普通に起きます。

   本当に必要なのは“チーム”


もしこの制度を活かすなら、

専門職は「保育士の代わり」ではなく、

評価・助言・個別支援に特化すること。

そして保育士と対等に連携すること。

いわば「チーム」として機能する形です。

でもそれは、

ただ人を配置すれば実現するものではありません。


現場にいると、どうしても思ってしまいます。

「また制度だけ先に作ったな」と。


発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STと呼ばれています。

現在はクリニック外来で常勤勤務し、十数年が経ちました。



  ある日届いたメッセージ

数年前の話です。


当時もコメント欄は閉じていましたが、メッセージはオープンにしていて、時々読者の方とやり取りをしていました。

現在は、コメント欄もメッセージも閉じています。

※メッセージを閉じた理由はここから↓



ある日、こんなメッセージが届きました。

「STさんに、うちの○歳の子が“凸凹はあるかもしれない”と言われたんですが、発達障害があるという意味ですか?」



  短い文章でも伝わる“焦り”

正直なところ、この一文だけでは何とも言えません。
お子さんを直接見ていない以上、軽々しく判断はできません。

ただ——
文章から、お母さんがかなり動揺されていることは、はっきり伝わってきました。

ここで
「それだけでは分かりません」
と返してしまうのは簡単です。

でも、それはこのお母さんを突き放すことになる。


それだけは避けたいと思いました。




  ブログから見えてきた“全体像”

その方は、ご自身のブログを日記のように書かれていました。

・どこに行って

・何をして

・誰に何を言われたか


感情をあまり入れず、淡々と事実が綴られていました。

だからこそ、読み進めるうちに、
直接お子さんを見ていなくても、少しずつ全体像が見えてきました。



  私なりの判断と返答

詳しくは書けませんが、この日記から

「言葉はゆっくりだけど、この子は大丈夫そうだな」

そう感じられる要素がいくつもありました。

そこで、その根拠をできるだけ丁寧にお伝えしました。

そして、あの“凸凹”という言葉については、


・直接お子さんにお会いしていない

・ブログからの私の推測


との前提とした上で、


「言語理解はできているけれど、言語表出(お話)がゆっくり」
という意味で使われた可能性が高く、
発達障害という意味ではない
と思われることをお伝えしました。


  その後の変化

しばらくして、丁寧なお返事をいただきました。

そしてさらに時間が経つと——

お子さんがたくさんお話をするようになり、
発達の悩みも落ち着いていったようでした。

本当によかった、と思った出来事です。



  “言葉”の重み

「凸凹(デコボコ)」

受け取る側にとっては、とても大きな意味を持つことがあります。

特に、初めて指摘を受けた親御さんにとっては、
それが「診断」に近い重さで響くことも少なくありません。



  おわりに

私たちが何気なく使っている言葉が、
誰かの不安を大きくしてしまうこともある。

だからこそ、
「どう伝えるか」
そして
「どう受け止められるか」

その両方を、これからも大切にしていきたいと思っています。

ちなみに——
「凸凹」と言われたとき、
それが何を指しているのか、遠慮せずに聞いて大丈夫です。

その一言で、救われる不安は意外と多いので。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STと言われています。
現在はクリニック外来に常勤勤務して、十数年になります。


  「話していたのに消えた」子どもたち


ASDのお子さんに関わっていると、

「まぁまぁ話していたのに、ある日突然発語が消えた」

というケースに出会うことがあります。

いわゆる「折れ線現象」と呼ばれるものです。

この現象、保護者の方にとってはかなり衝撃的ですし、
支援者側でも「予後が悪いのでは」と言われることが少なくありません。



  現場で感じていた“ちょっとした違和感”


ただ、現場で長く関わっていると、少し違う印象もありました。

確かに一度発語は消えるのですが、

・また言葉が出てくる
・しかも、ゼロからのやり直しではない
・むしろ以前の段階までは比較的スムーズに戻る

というケースが多いのです。

そしてその後の発達も、

「折れ線がなかった子と比べて大きな差があるか?」

と言われると、正直そこまで差を感じない。

でもこれって、あくまで現場の感覚。
「自分の思い込みかもしれない」と、どこかで思っていました。



  信州大学の研究が示したこと(要約)


そんな中で見つけたのが、信州大学の研究です。


https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/medic/topics/2025/11/post-191.html


この研究では、

・折れ線現象を経験したASDの子どもたちを
・成人期まで長期的に追跡

した結果、

折れ線現象があったからといって、長期的な発達や社会適応に大きな悪影響があるとは限らない

ということが示されました。

さらに、

・言語や知的発達の最終的な到達点は大きく変わらないケースも多い
・一時的な後退があっても、回復・再獲得が可能


といった点が明らかになっています。



  「やり直し」ではなかった


この研究を見て、

「あ、やっぱりそうだったんだ」

と思いました。

発語が消えると、

どうしても「振り出しに戻った」と捉えがちですが、

実際には

完全なリセットではなく、一時的な揺らぎ

なのかもしれません。

現場で感じていた

「前の段階までは意外とすぐ戻る」

という感覚とも一致します。



  現場感覚も、捨てたものじゃない


エビデンスはもちろん大切です。

でも同時に、

日々の臨床の中で感じている違和感や実感も、
ちゃんと意味があるのかもしれません。

今回、

自分の中でなんとなく感じていたことが
研究で裏付けられたことで、

少し安心しましたし、ちょっと嬉しくもありました。



  まとめ


・折れ線現象=予後不良とは限らない
・発語は「やり直し」ではなく「再開」に近い
・長期的には大きな差が出ないケースもある


発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。

現在、クリニック外来に常勤勤務して十数年が経ちます。



放課後等デイサービス(通称:放デイ)という制度が始まって、もう十数年が経ちました。


  制度開始当初は「預かり型」が多かった


制度が始まった当初、放デイはものすごい勢いで増えました。


その頃よく言われていたのが「預かり型放デイ」です。

学校が終わったあとに子どもを預かり、遊んで過ごす。

いわば学童に近いような形の事業所です。


放課後に安心して過ごせる場所があること自体はとても大事です。



  療育なのか預かりなのか


ただ当時は


「療育をしているのか、ただ預かっているのか」


その線引きがかなりあいまいな事業所も多かったと言われていました。



  制度見直しで事業所は一度整理された


そのため数年前、制度の見直しが行われました。


個別支援計画や支援内容が厳しく求められるようになり、


「療育をしていない放デイ」はかなり整理されました。


当時、うちに通っていたお子さん達も、放デイが急に閉鎖されることになり、

新たな事業所を探さなければならなくなった、とお母さんが嘆いていました。



  最近、また増えている?


ところが最近、保護者の方から話を聞いていると


「また放デイが増えていませんか?」


という話を耳にすることがあります。


預かり型なのか療育型なのか、そこまでは分かりませんが、

少なくとも事業所の数は、かなり増えているような印象です。




  福祉制度は同じ流れを繰り返す


ただ、福祉の制度というのは、だいたい同じ流れをたどることが多いです。

事業所が増える

いろいろ問題が出てくる

制度が見直される

事業所が整理される

放デイも、この流れを一度経験しています。



  現場にいると少し不安になる


なので現場にいると、つい思ってしまいます。

「また制度変わるんじゃない?」

もちろん、発達支援を必要とする子どもたちは確実に増えています。

この制度自体が無くなることはないと思います。

ただ、最近は、不動産会社や建設業などの異業種からの参入が増えていると聞きました。


一方で、放デイのノウハウを異業種に提供する企業もあるみたいです。
※いわゆるフランチャイズ形式

異業種が増えるということは、今は「美味しいビジネス」なのかもしれません。

なので、ちょっと嫌な予感。。。


また急に制度が変わって、親御さんたちが血眼(ちまなこ)になって放デイを探す姿はもう見たくないんですけど。。。。