言語聴覚士(ST)のつぶやき

言語聴覚士(ST)のつぶやき

小児のST(言語聴覚士)をしています。
訓練方法などはあまり書く予定はなく、訓練室での出来事を書いています
※個人情報がわからない様に書いています。

ブログの内容は個人的な見解として述べています。
また、個人が特定できない様に、状況を詳細に記述する事ができません。ご了承下さい。

私の最初のブログです。↓
https://ameblo.jp/yazzuu/entry-12823570487.html

  暑い夏の午後、子どもたちはぐったり…


発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。いわゆる小児STと呼ばれています。

現在、クリニックで常勤勤務となり十数年が経ちました。

毎日暑い日が続きますね。

今では小中学校の教室にエアコンがあるのが当たり前になりました。しかし、7〜8年前までは、ここ愛知県では普通教室にエアコンがない学校がほとんどでした。

その頃、午後から来院する小学生は、みんな暑さでぐったり。

特に支援学校のお子さんは、暑さで興奮し、叫んだり暴れたりしながら来院することもありました。(涼しい季節には見られない行動でした。)

  「職員室は涼しいのに…」


会話のできるお子さんからは、

「職員室や保健室はエアコンがあるんだよ。」
「先生たち、ズルい!」

そんな声を聞くこともありました。

今思えば、子どもたちは本当によく頑張っていたと思います。

  豊田市で起きた悲しい事故


2018年7月17日、愛知県豊田市の市立小学校で、小学1年生の男の子が生活科の授業で学校近くの公園へ出かけました。

約30分活動した後に体調を崩し、病院へ搬送されましたが、熱中症で亡くなりました。

この事故は全国に大きな衝撃を与え、学校の熱中症対策を見直す大きなきっかけとなりました。

  一気に進んだエアコン設置


事故の後、学校へのエアコン設置は驚くほどの速さで進みました。

私の勤務先の近隣でも、半年も経たないうちにほとんどの小学校で設置が完了しました。

当時、公立小中学校普通教室のエアコン設置率は全国で約58%でしたが、その後急速に整備が進み、現在ではほぼ100%となっています。

  現場で実感した変化


エアコンが設置されてからは、支援学校のお子さんが暑さで興奮しながら来院することはなくなりました。

午後から来る小学生も、以前より元気な表情で来院することが増えました。

教室にエアコンがあることは、単に「快適になる」というだけではありません。

子どもたちが安全に学校生活を送り、午後からも元気に過ごせる環境づくりにつながっているのだと、現場にいる私は実感しています。

今回の事故で尊い命が失われたことは、本当に痛ましい出来事でした。


でも、最近の親御さんに豊田市の事を話すと、「ふーん」という反応で、知らないんですよね。


ちょっと悲しいなぁ、でもしょうがないよね、と思う一方で私はこのことを忘れずにいたいな、と思います。


発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。いわゆる「小児ST」と呼ばれています。

現在はクリニック外来で常勤勤務となり、十数年になります。

  「プロですね」と言われて嬉しかった話

私は、少し変わった経歴のSTです。

自閉症の子どもを育て、子どもがグループホームへ入所したあと、言語聴覚士の養成校へ通い、国家試験に合格して、この仕事に就きました。

だから、保護者の立場も、STの立場も経験しています。

先日、あるお母さんからこんなことを言われました。

「先生って、ご自分のお子さんの話をあまりしませんよね。」

「私が先生の立場だったら、『うちの子もそうでした』って経験を前面に出して話しそうなんですが、先生はすごく冷静に分析していますよね。」

そして最後に、

「先生って、プロですよね。」

そう言っていただきました。

正直、ちょっと意外でした。

でも、「プロ」という言葉は、とても嬉しかったんです。

  「私も経験者です」は武器にもなる。でも…。


もちろん、自分の子育て経験を積極的に発信している方もいます。


それは決して悪いことだと言っているのではありません。

経験者だからこそ救われる保護者さんもいます。

ただ、私はあまり自分の経験を前面に出したいとは思わないんです。

理由は単純です。

発達障害には「これが正解」がないからです。

自閉症と言っても、本当に一人ひとり違います。

100人いたら100通り。

私の子どもの経験は、数あるケースのたった1例に過ぎません。

「私は経験者だから。」

その一言だけで正しい答えを持っているように話すのは、少し違う気がしています。

極端な言い方をすれば、

「だから何?」

と思ってしまうんです。

  私が頼りにしているのは「私の子」だけではない


私が保護者さんへお話しするときに思い浮かべるのは、自分の子どもだけではありません。

十数年間、出会ってきたたくさんのお子さんや保護者さんです。

「以前、似たようなお子さんがいました。」

「そのときのお母さんは、こんな工夫をされていました。」

そんなふうにお話しすることが多いです。

もちろん、自分の経験が役に立ちそうな場面なら、その話もします。

でも、それは数ある経験の一つ。

なので、私の子育てを積極的に話すことはありません。


保護者さんと同じ目線でいたい

私は、「経験があるから教えてあげる」という立場にはなりたくありません。

そんな空気は、自分自身あまり好きではないんです。

経験を振りかざすのではなく、

保護者さんと同じ目線で一緒に考える。

それが私のスタイルです。

だからこそ、「先生ってプロですね。」と言っていただけたのかもしれません。

あの一言は、今でもとても嬉しくて、心に残っています。

これからも、経験に頼り過ぎず、目の前のお子さんと保護者さんをしっかり見られるSTでありたいと思っています。


発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。

いわゆる小児STと呼ばれています。

愛知県にあるクリニック外来で常勤勤務して十数年になります。

  発達がゆっくりなお子さんを育てる外国ルーツのご家族


数年前、外国ルーツのASD児の親御さんとお話しする機会がありました。

日本語での会話は難しいため、私たちはGoogle翻訳を使いながらコミュニケーションを取っています。

今ではGoogle翻訳も本当に優秀ですね。



  埼玉県へ引っ越したい理由


その親御さんは、ご夫婦ともフルタイムで働いています。

仕事をしながらASDのお子さんを育てる毎日は、とても大変そうです。

「親戚がいる埼玉県へ引っ越したい。」

そう話してくださいました。

身近に頼れる人がいるだけで、子育ての負担は大きく変わります。

特に発達障害のあるお子さんを育てている家庭では、その存在はとても大きいものです。



  「でも引っ越せない」


ところが、続けてこんな話をされました。

「埼玉県では、日本語ができないと仕事が見つからない。」

「愛知県は、日本語があまりできなくても雇ってもらえる。」


だから引っ越したくても引っ越せない。

私はその言葉がとても印象に残りました。

「愛知県だから日本語ができなくても働ける。」


正直言ってちょっと複雑でした。

この一言が、ずっと頭から離れませんでした。



  いろいろ考えてしまった


私は愛知県で長く働いてきました。


自動車産業をはじめ、多くの製造業があり、外国人労働者もたくさん暮らしています。

だからこそ、日本語が十分でなくても働ける職場が比較的多いのでしょうが、


日本にいるなら、少しでもいいから、日本語を勉強しようとする努力はして欲しいなぁ


「日本語できない状態で雇ってもらえたんだから、もう日本語覚えなくてもいいでしょ!」って思われても仕方ないと思うんです。


もちろん、日本語ペラペラな方も多いけど、覚えようとしない人も多いんですよねー。


正直、この方も覚えようとしないタイプでした。


ASD児を抱えて大変なのはわかるけど、関連する専門用語が多いから、


現場の人間としては覚えて欲しいなぁというのが正直なところです。


Google翻訳を使って頑張ってコミュニケーションを取るのも、時々むなしくなるというお話でした。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士(小児ST)です。


今日は、小学1年生のAくんとの、ある日の訓練室での一コマをお話しします。
Aくんは、発達障害と境界知能を合わせ持っており、支援学級に在籍しています。


そんなAくんとパパの会話の中に、彼らの持つ「2つの特性」がとてもよく現れた瞬間がありました。


  訓練室で起きた、クスッと笑える「すれ違い」

その日は、パパと一緒に来院していたAくん。
訓練の終盤、パパがAくんに話しかけました。


パパ:「この後、車屋さんに行くんだよ」
Aくん:「何しに行くの?」
パパ:「車検だよ」
すると、Aくんはニコニコしながらこう返したのです。


Aくん:「あ〜、お魚見に行くのね!」


私は「???」
パパも「???」


訓練室に、一瞬不思議な沈黙が流れます。
しばらく考えて、私はハッと閃きました。


「車検(しゃけん)……シャケ(鮭)だ!!」


そう、Aくんの頭の中では、「しゃけん」という響きが、大好きな「シャケ(サーモン)」に変換されていたのです。


  「矛盾に気づかない」のは、境界知能の特性

定型発達のお子さんであれば、
「え?なんで車屋さんにシャケがいるの?」と矛盾に気づいて質問したり、「車検って何?」と聞き返したりすることが多いと思います。


「車屋さんに魚はいない」という前提(常識)があるからです。


しかし、Aくんは「車屋さんでシャケを見る」という状況を、全く不思議に思うことなくすんなり結びつけてしまいました。


このように、**「一見矛盾していることに気がつかない(文脈や状況を総合して判断するのが苦手)」**というのは、境界知能や知的ゆっくりさんによく見られる特徴の一つです。


  「パパが言った!」と怒ってしまう、発達障害の特性

もし、私がこの勘違いに気づかず、そのまま車屋さんに行っていたらどうなっていたでしょう。


きっとAくんは、


「お魚がいないじゃん!」
「パパがお魚あるって言ったじゃん!」


と、激しく怒り心頭になっていたに違いありません。


大人は「車検」と言っただけで、「魚(シャケ)がある」なんて一言も言っていません。


それでも、
「自分の頭の中の思い込み(パパはシャケと言った)が絶対の事実になってしまう」
「相手の本当の意図を汲み取れず、パパが嘘をついた!と捉えてしまう」


ここには、発達障害のあるお子さん特有の「こだわりの強さ」や「融通の利きにくさ」といった特性が強く影響しています。


   子どもの「不思議な言動」の裏側にあるもの

大人の何気ない一言が、子どもの頭の中でどう処理されているか。


今回のAくんのエピソードは、
音だけで判断して矛盾に気づかない(境界知能、知的障害の特性)
自分の思い込みから『パパが言った!』と怒る(発達障害の特性)
という、2つの特性が重なり合って起きた「すれ違い」でした。


もし特性を知らなければ、大人は「なんでそんなことで怒るの?」「嘘なんて言ってないでしょ!」と怒ってしまうかもしれません。


でも、理由が分かれば、「そっか、しゃけんがシャケに聞こえちゃったんだね」と、一歩引いて対応することができますよね。
子どもたちの「不思議な言動」の裏側にある頭の中を、これからも丁寧に紐解いて発信していきたいと思います。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STと呼ばれています。

現在はクリニック外来で常勤勤務をしており、十数年になります。

今日は、**「現実を受け入れることの難しさ」**についてのお話です。

  「普通級ですよね?」という自信


発達がゆっくりなAくん。

診断はまだついていませんでしたが、おそらく知的障害の診断がつくだろうと思われるお子さんでした。

ASDやADHDの特徴はほとんど見られず、知的な遅れが中心という印象でした。



年中の終わり頃、私は何気なく小学校について尋ねました。

「小学校はどうしますか?支援学級に行かれますか?」


すると親御さんは少し驚いた様子で、

「えっ、普通級ですけど? 何か?」

という返事。

その口ぶりからは、「普通級で当たり前ですよね」という気持ちが伝わってきました。

私は心の中で、

「Aくんは、頑張れば普通級へ行けるという感じではないので、今の状態では、かなり厳しいな。……」



もちろん、普通級に行くこと自体が悪いわけではありません。

でも、その子に合わない環境を選んでしまうことは、本人にとっても周りにとっても、とても大変なことがあります。

親御さんも他のお子さんとの差は感じていました。


ただ、「支援学級に行くほどではない」と考えていたようです。



この認識のズレを、どう埋めればいいのだろう……と考えました。

  数字は時に現実を教えてくれる


そこで年長になってすぐ、標準化された検査を実施しました。



そして結果を、できるだけ分かりやすくお伝えしました。

「Aくんは今、このあたりです。」

「同じ年齢のお子さんの平均は、このあたりです。」

「普通級で学習を進めるには、このくらいの力が求められることが多いです。」

言葉だけでは伝わりにくいことも、数字やグラフで示すと見えてくるものがあります。

もちろん、検査の数字だけでその子のすべてが決まるわけではありません。

それでも、進路を考える材料としては、とても大切な情報です。

  親御さんが前を向いた瞬間


私は正直、反発されることも覚悟していました。



ところが親御さんは、

「そうなんですね。」

と、意外なくらい素直に受け止めてくださいました。



そして後日、

「支援学級を見学してみます。」

と話してくださいました。

この一歩はとても大きいです。



支援学級に行くことがゴールではありません。

普通級がゴールでもありません。

大切なのは、その子が無理なく学べる場所を、大人が冷静に考えることです。



親の願いはよく分かります。


できれば普通級へ。

みんなと同じように。

そう思うのは、ごく自然な親心です。


私自身、自閉症児の親なので、気持ちは痛いほど分かります。



でも、その願いが強すぎるあまり現実が見えなくなってしまうと、一番苦しむのは子どもです。



親の希望ではなく、子どもの力を見て判断する。


それは時に、とても勇気のいることです


だからこそ私は、感覚ではなく「数字」という客観的な材料を大切にしています。

現実は時に厳しいものです。


でも、現実を知った上で選んだ道のほうが、子どもはずっと安心して歩いていけると私は思っています。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STと呼ばれています。

現在、クリニック外来に常勤勤務して十数年が経ちます。

  「できるだけ普通級に近い環境で」


地域の小学校の支援学級に通っている男の子(以下Aくん)のお話です。

Aくんは知的障害が重く、発語はありません。
オムツもまだ外れていません。

就学前から、「支援学級よりも支援学校が合っているのではないか」と感じていましたし、お母さんにもそうお伝えしました。


しかし、お母さんには、

「できるだけ地域の学校へ通わせたい」
「みんなと同じ環境で育てたい」

という強い思いがあり、支援学級への就学を選ばれました。

  数年経っても変わらない現実


支援学級に通い始めて数年。

ジェスチャーでのやり取りは少しずつ増えてきましたが、発語はありません。


オムツも取れていません。


詳しいことは書けませんが、学校での様子を伺うと、

Aくんにとっても、
お母さんにとっても、
そして支援級の先生にとっても、

決して良い状況とは言えませんでした。

私は思わず、

「もう、支援学校への転校を考えてみてもいいのではないですか?」

と口にしてしまいました。

  お母さんの本音


すると、お母さんは少しホッとした表情で、

「実は私も、それを考えているんです」

と話してくださいました。

すでに学校の先生にも相談されたそうですが、

「年度の途中での転入は難しい」

と言われ、現在は次年度からの転校に向けて準備を進めているとのことでした。

  子どもに合った場所を選ぶということ


親としては、少しでも普通の環境に近い場所で育ってほしい。

その気持ちは、とてもよく分かります。

でも、子どもに合わない環境で毎日を過ごすことは、本人にとっても、ご家族にとっても、そして支援する側にとっても苦しいものです。

支援学校を選ぶことは、「諦めること」ではありません。


その子が安心して過ごし、できることを増やしていくための前向きな選択です。


私自身、


「もっと早く環境を変えてあげればよかった」


という声を保護者の方から聞くことが少なくありません。

子どもに必要なのは、「普通」に近い場所ではなく、


その子が安心して成長できる場所。


改めて、そう感じた出来事でした。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STと呼ばれています。

現在、クリニック外来に常勤勤務して十数年になります。

  「ゲームのせいで発音がおかしくなったんです」


ある日、構音障害(発音の誤り)の相談で、年長の男の子(以下Aくん)が来院しました。

お母さんのお話では、

「スマホゲームばかりやっているから発音が変になったんです」

とのこと。

詳しく聞いてみると、

・ゲームは1日2時間程度
・夜9時には寝る
・朝6時に起きる
・朝も問題なく起きられる

という生活でした。

  本当にゲームが原因なの?


もちろん、ゲームのやり過ぎが生活に悪影響を及ぼすことはあります。

しかし、

・夜更かししているわけではない
・睡眠不足でもない
・そもそもゲームのやり過ぎで発音そのものが悪くなるわけではない

という状況。

私からすると、

「少なくとも今回の発音の問題は、ゲームが直接の原因ではないな」


という印象でした。

  それより気になったこと


訓練を続けていくうちに、別のことが気になり始めました。

それは、

お家での課題(宿題)をやってこないこと。

発音の訓練は、STに通うだけではなかなか定着しません。


短時間でも、お家で毎日繰り返し練習することがとても大切です。

ところがAくんは、なかなか宿題をやってきません。

それでも話題になるのは、いつもゲームのこと。

  思わず言ってしまった一言


ある日、私はつい言ってしまいました。

「ゲームが原因かどうかを考える前に、まず宿題をやってきてください‼️」

少しストレートすぎたかもしれません(笑)。

でも、その言葉が伝わったのか、それ以降はきちんと宿題をやってきてくれるようになりました。

  原因探しより大切なこと


子どもの困りごとがあると、

「何が原因なんだろう?」

と考えるのは自然なことです。

でも時々、原因探しに意識が向きすぎて、今できることが後回しになってしまうことがあります。

今回のケースで大切だったのは、

「ゲームをやめること」

ではなく、

「発音練習を継続すること」

でした。

実際、宿題に取り組むようになってから、Aくんの発音は少しずつ良くなっていきました。

原因探しも大事ですが、それ以上に大事なのは、改善のために必要なことをコツコツ続けること。

そんなことを改めて感じた出来事でした。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。いわゆる小児STと呼ばれています。

現在はクリニック外来に勤務し、十数年になります。

  お母さんからの質問


数年前、軽度のASD(自閉スペクトラム症)のお子さんが通っていました。(以下Aくん)

ある日、お母さんからこんな質問を受けました。

「うちは夫婦とも広島出身で、家では広島弁で話しています。お兄ちゃんたちも親の影響で普段は広島弁なのですが、Aだけはなぜか標準語なんです。どうしてでしょうか?」

確かに不思議ですよね。

家庭の中で毎日聞いている言葉が広島弁なのですから、自然と広島弁を話しそうなものです。

  ASDのお子さんによく見られる特徴


実は、このような話は珍しくありません。

『自閉症児は津軽弁を話さない』(松本敏治著)という本にも詳しく書かれていますが、ASDのお子さんの中には、地域の方言をあまり使わず、標準語に近い話し方をする子が少なくありません。

関西でも、九州でも、東北でも同じような報告があります。

もちろん全員ではありません。

方言を話すASDのお子さんもいますが、言葉の使い方に独特さがみられることもあるようです。

  なぜなのでしょう?


実は、その理由はまだはっきりとは分かっていません。

一般的に定型発達のお子さんは、家族や身近な人とのやり取りの中で言葉を学んでいきます。

一方でASDのお子さんの場合、言葉の学び方が少し異なる可能性があると言われています。

研究者の中には、

「テレビや動画などのメディアから言葉を学ぶ割合が高いのではないか」

と考えている人もいます。


実は私はこの説に賛成なのですが、実際はこれが確定した訳でないのです。

これは現時点では一つの仮説であり、結論ではありません。

  お母さんも納得


私はそのお母さんに、このようなお話をしました。

すると、

「なるほど!だからうちの子だけ標準語だったんですね!」

と、とても納得された様子でした。

日々の臨床では、「そういうことだったのか」とご家族が安心される瞬間にたくさん出会います。

子どもの言葉の発達には、まだまだ不思議なことがたくさんありますね。

※方言を話さないことだけでASDと判断できるわけではありません。また、方言を話すASDのお子さんもいます。



発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。

いわゆる「小児ST」と呼ばれています。

現在は、クリニック外来で常勤勤務して十数年が経ちます。

  時代は変わったなぁと思うこと


最近、さまざまな新しい職業が増えています。

私の知らない業界で働いている方も多く、話を聞くたびに「そんな仕事があるのか!」と驚かされます。

例えば、インターネット上で仕事を受注し、やり取りから納品まで全てオンラインで完結する働き方。

私が若かった頃(もう数十年前ですが……)には想像もつきませんでした。

実は、当院に来られる親御さんの中にも、私にとっては未知の仕事をされている方が少なくありません。

  「職業:インフルエンサー」に驚く


最近特に驚いたのは、ある親御さんの職業です。

問診票には「自営業」と書かれていました。

業種をお聞きすると、

「SNS関係の仕事をしています」


とのこと。


どうやら、SNSで発信する仕事のようで、

それって今流行りの「インフルエンサー」じゃない⁉️


「おぉ……本当にそういう職業の方が来る時代なんだな」と驚きました。


お話を伺うと、ご本人のフォロワーはかなりいるのですが、

※実際のフォロワー数を聞いたのですが、ぶったまげました。


現在は第一線で活動するというよりも、新しくSNSに参入する人たちへのコンサルティングをメインにされているそうです。


フォロワーの増やし方をアドバイスしたり、発信内容を一緒に考えたり、プロデュースをしたり。

さらに、企業や自治体と契約してSNS運用の助言をしたり、運用そのものを請け負ったりすることもあるそうです。

  知らない世界だからこそ面白い


私には全く知らない世界ですが、それだけで生計を立てているというのは本当にすごいことだと思いました。

世の中には、自分の知らない仕事や働き方がまだまだたくさんあります。

親御さんのお話を聞きながら、「時代は変わったなぁ」と感じると同時に、新しい世界で活躍している方々への尊敬の気持ちも湧いてきました。

発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。


今はクリニック外来に常勤勤務して14年目です。

  言語室で受けた衝撃的な質問


何年も前のある日のことです。

来室されたのは外国にルーツを持つお母さん。

お子さんは重度の自閉スペクトラム症(ASD)の3歳のお子さんで、まだ発語がありません。

訓練の話をしていた時、お母さんからこんな質問を受けました。

「母国で、しゃべらないASD児にCanabidialを与えたら話せるようになったと聞いた。日本ではどうなのか?」

私は聞き慣れない単語だったため、その場で調べました。

そして思わず固まりました。

その正体は――

大麻。


翻訳した画像↓



一瞬、自分の見間違いかと思いました。


詳しく調べると、痛みの緩和などに使用される医療用大麻(マリファナ)のことを指しているようでした。


  「話せるようになる薬」は存在しません


しかし、今はそんな話をしている場合ではありません。

私は慌ててお伝えしました。

「発語のないASDのお子さんに飲ませたら、言葉が出るようになる薬は世界中どこにもありません‼️‼️」


日本にもありません。海外にもありません。


お母さんは私の説明を聞き、納得してくださいました。



  さらに背筋が寒くなった話


ところが、その後の話を聞いて私はさらに驚きました。

その情報は、


その医療用大麻を親がネット通販で購入して😱親の(勝手な)判断で子どもに与える‼️😱

という話でした。


正直、頭が真っ白になりました。

(色々な意味で怖すぎ❗️😱)

私は最初、
「○○を食べたら発達に良い」
「○○療法で言葉が出た」

といった、あやしい民間療法の類を想像していました。

しかし、これはそんなレベルの話ではありません。

民間療法という言葉すら当てはまらない危うさを感じました。



日本で子育てしてる多くの保護者であれば、


「それ、嘘ですよね❗️」


と信じないと思いますが、このお母さんはとても真剣でした。


それだけに私は、背筋が寒くなりました。


  親心につけ込む情報の怖さ


もちろん、ご両親の気持ちは理解できます。

我が子に言葉が出てほしい。

少しでも成長してほしい。

そう願わない親はいません。

だからこそ、

「これで話せるようになった」

「劇的に改善した」


という話は強い魅力を持ってしまいます


藁にもすがる思いだからです。

でも、時に人はこんな危険な情報を信じてしまうんだなぁ〜。


私は話そのものよりも、


「3歳の子どもにそれを与えよう」と本気で考えてしまうほど

追い詰められている保護者がいることに恐ろしさを感じました。



発達障害を治す魔法の薬はありません。
言葉を出させる特効薬もありません。


だからこそ、耳触りの良い情報ほど慎重に見なければいけない。

そう改めて感じた出来事でした。

生きている人間が一番怖い――。

そんな言葉が頭をよぎった一日でした。