発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる小児STと呼ばれています。
現在では、クリニック外来に常勤勤務して十数年が経ちます。
障害告知って、いつするの?
一見すると、「この子、普通じゃん」と思われるようなお子さんがいます。
でも、実際には軽度知的障害があったり、境界知能だったり。
周囲からは困りごとが見えにくくても、本人は学校生活の中で苦労していることがあります。
小さいうちは、周りの子とそれほど違いを感じなかったとしても、学年が上がるにつれて勉強が難しくなったり、周囲との差を感じたりするようになる。
頑張っているのに、なかなか結果につながらない。
みんなができることが、自分にはできない。
そんな経験が積み重なると、自信を失ったり、自分を責めたり、場合によっては抑うつなどの二次的な問題につながることもあります。
だからこそ、本人が自分の特性を理解できるように支援していくことが大切です。
障害について本人に伝えることを「障害告知」といいます。
障害告知の時期や伝え方は、その子の理解力や発達段階、本人の様子などによって異なります。
小学校高学年ごろは、自分の特性について少しずつ理解を深めていく時期の一つと考えられます。
例えば、
「あなたには、こういう得意なことや苦手なことがあるんだよ」
「みんなと同じようにできないことがあっても、それはあなたが悪いわけじゃないんだよ」
そんなふうに、自分の特性を理解するための言葉を伝えていく。
自分が苦手なことの理由を知ることができれば、必要以上に自分を責めずに済むかもしれません。
自分の特性を知ることは、自分を守ることにもつながるのだと思います。
小学2年生のAくんとの会話
さて、うちに通っているAくん。
小学2年生のASDのお子さんで、軽度知的障害があります。
以前と比べると、人の気持ちもずいぶん理解できるようになってきました。
そんなAくんについて、3年生から通常学級に移るという話を聞きました。
そこで、本人に聞いてみたんです。
「3年生から普通級に行くの?」
すると、Aくん。
「いやぁ、まだわかんない。俺のIQがそこまでいってるかどうかわからないからね」
……えっ?
IQ?
IQって何?と聞いてみても、ちゃんと理解している。
自分のIQと、通常学級に行けるかどうかという話を結びつけて考えているんです。
小学2年生ですよ。
自分の状況を、こんなふうに冷静に捉えているんだなぁ。
ちょっと驚きました。
Aくんは、自分のことをわかっている
Aくんが自分の障害についてしっかりと認識しているとは思わないけれど、
自分がほかの子よりもゆっくり成長していることを、ある程度わかっているのかもしれません。
自分には自分のペースがあること。
そして、通常学級に行くためには、何かしらの基準があると思っていること。
そんなことを、自分なりに理解しているのでしょうか。
もしかしたら、お母さんが障害について話しているのかな?
実際のところはわかりません。
でも、Aくんの言葉を聞いて、本人が自分の特性を知ることについて、改めて考えさせられました。
自分には得意なこともあれば、苦手なこともある。
苦手なことがあっても、それは自分が悪いからではない。
そして、自分に合った方法や環境がある。
そうしたことを、本人が少しずつ理解していけるといいですよね。
Aくんのあの言葉。
小学2年生なのに、すごいなぁ。
そんなことを思った出来事でした。