発達がゆっくりなお子さんの言語訓練をしている言語聴覚士です。
いわゆる「小児ST」と呼ばれています。
今はクリニック外来に常勤勤務して14年目です。
言語室で受けた衝撃的な質問
何年も前のある日のことです。
来室されたのは外国にルーツを持つお母さん。
お子さんは重度の自閉スペクトラム症(ASD)の3歳のお子さんで、まだ発語がありません。
訓練の話をしていた時、お母さんからこんな質問を受けました。
「母国で、しゃべらないASD児にCanabidialを与えたら話せるようになったと聞いた。日本ではどうなのか?」
私は聞き慣れない単語だったため、その場で調べました。
そして思わず固まりました。
その正体は――
大麻。
翻訳した画像↓
一瞬、自分の見間違いかと思いました。
詳しく調べると、痛みの緩和などに使用される医療用大麻(マリファナ)のことを指しているようでした。
「話せるようになる薬」は存在しません
しかし、今はそんな話をしている場合ではありません。
私は慌ててお伝えしました。
「発語のないASDのお子さんに飲ませたら、言葉が出るようになる薬は世界中どこにもありません‼️‼️」
日本にもありません。海外にもありません。
お母さんは私の説明を聞き、納得してくださいました。
さらに背筋が寒くなった話
ところが、その後の話を聞いて私はさらに驚きました。
その情報は、
その医療用大麻を親がネット通販で購入して😱親の(勝手な)判断で子どもに与える‼️😱
という話でした。
正直、頭が真っ白になりました。
(色々な意味で怖すぎ❗️😱)
私は最初、
「○○を食べたら発達に良い」
「○○療法で言葉が出た」
といった、あやしい民間療法の類を想像していました。
しかし、これはそんなレベルの話ではありません。
民間療法という言葉すら当てはまらない危うさを感じました。
日本で子育てしてる多くの保護者であれば、
「それ、嘘ですよね❗️」
と信じないと思いますが、このお母さんはとても真剣でした。
それだけに私は、背筋が寒くなりました。
親心につけ込む情報の怖さ
もちろん、ご両親の気持ちは理解できます。
我が子に言葉が出てほしい。
少しでも成長してほしい。
そう願わない親はいません。
だからこそ、
「これで話せるようになった」
「劇的に改善した」
という話は強い魅力を持ってしまいます
藁にもすがる思いだからです。
でも、時に人はこんな危険な情報を信じてしまうんだなぁ〜。
私は話そのものよりも、
「3歳の子どもにそれを与えよう」と本気で考えてしまうほど
追い詰められている保護者がいることに恐ろしさを感じました。
発達障害を治す魔法の薬はありません。
言葉を出させる特効薬もありません。
だからこそ、耳触りの良い情報ほど慎重に見なければいけない。
そう改めて感じた出来事でした。
生きている人間が一番怖い――。
そんな言葉が頭をよぎった一日でした。



