新緑の季節ですね。
日に日に木々の葉がもしゃもしゃと茂ってきて気持ちいい季節です。
新緑の季節は落葉の季節でもあります。
「何変なこと言ってるの?落葉は秋でしょ!僕でも知ってる」
春もたくさん落葉するんですよ。先日大きな公園を散歩したのですが、風が吹くたびにバラバラと葉がたくさん落ちてきました。秋の落葉とは葉の質感が違います。
秋の落葉は葉が乾燥していて軽いですが(イチョウ以外)春の落葉は一枚一枚がしっかりとしていて重いです。
色も茶色だったり、緑のままだったりします。
「照葉樹か」
そうです。常緑広葉樹=照葉樹の落葉は今の季節なんです。
常緑樹は冬も葉をつけていますが、ずっと同じ葉がついているわけではありません。葉が入れ替わるときに落葉します。
それが春です。
「植物の分類苦手ー!たくさんあって覚えきれない」
「僕も嫌い!つまんないし」
そうですよね…植物の分類、苦手な子が多いです。分類の仕方もたくさんあるのでそこも大変です。
ただ、入試には出ます。
まず、どんな分け方があるか考えてみましょう
①針葉樹と広葉樹
マツやスギのような細い葉っぱの針葉樹と桜のような網状脈の広葉樹
②常緑樹と落葉樹
一年中葉がついている常緑樹と秋に落葉して冬には葉がない状態になる落葉樹
常緑樹の林の中は一年中暗いですが、落葉樹の林の中は夏には暗く、冬には明るくなります。春のはじめ、森林内が明るいうちに花を咲かせるカタクリはこれを利用した植物ですね。
針葉樹はほぼすべて常緑樹です。
落葉するのはカラマツだけです。カラマツは漢字で書くと落葉松とも書きます。
これは、落葉するめずらしいマツなのでこの表記なのです。
さて、なぜ針葉樹はほとんど常緑樹なのか?
これを考えるには、なぜ広葉樹は落葉するものがあるのか?から考えた方がよいでしょう。
冬は…?
「寒い!」
そうです。植物にも体温があります。広葉樹は針葉樹に比べて…
「表面積が大きい!だから熱がうばわれやすいのか」
そのとおり!なので、落葉しないといけないのです。
表面積が大きいと気孔の数も多いので蒸散量が多く、これによって体温が下がったり、体内の水分が足りなくなったりします。
たださっき見たように、広葉樹にも常緑樹があります。
そしてその葉は分厚くてテカテカしています。
テカテカしている(照りがある)ので照葉樹と呼ばれます。ツバキの葉を連想するとよいでしょう。
これはクチクラ層と呼ばれる膜があるためテカテカしているのです。このクチクラ層は蒸散を防ぐ役割があります。
「なるほど?テカテカ層で蒸散を防ぐから冬に葉をつけてても大丈夫なのか」
そうです。クチクラ層は覚えるべき用語ではないので、カエルくんのように覚えるのもよいと思います。
最近流行っているバイオームは降水量や気温などの環境とそこに育つ植物の関係を表したものです。
降水量が少ないと砂漠や草原になりますが、日本は全国的に降水量が十分なため、気温のみでどのような森になるか決まります。
寒冷 ⇔ 温暖
針葉樹林 夏緑樹林 照葉樹林(亜熱帯多雨林)
「夏緑樹林って?」
夏に緑になる樹→落葉樹のことです。
まとめるとこんな感じです。
寒冷 ⇔ 温暖
針葉樹(ほぼすべて常緑樹) 夏緑樹(落葉広葉樹) 照葉樹(常緑広葉樹)
クチクラ層が発達していても耐えられる寒さには限界があり、寒冷地には常緑広葉樹は生息できなくなります。
さらに寒冷地にいくと落葉しても耐えられなくなり、針葉樹のみになります。
③陽樹と陰樹
明るいところでないと成長できない樹木(陽樹)と暗いところでも成長できる樹木(陰樹)
これは森林の移り変わりで登場します。
裸地→コケ→草原→陽樹林→混交林→陰樹林(安定する)
陽樹…マツ、クヌギ、コナラなど
陰樹…シイ、カシ、ブナなど
②で登場したバイオームは安定した状態の森林の分布なので基本的に陰樹林になります。
シイやカシは照葉樹(常緑広葉樹)で、ブナは夏緑樹(落葉広葉樹)です。
よって、関東地方あたりまでの陰樹林はシイやカシの照葉樹林で、東北の陰樹林はブナなどの夏緑樹林になります。
ブナの原生林といえば白神山地…寒冷地ですね!
私が先日歩いていたのは東京の公園なので、シイやカシのなかまやクスノキ(これも照葉樹)が生えていました。
東北北部には照葉樹の森林はないので、私が見たような春の落葉がないのでしょう。
確認しに行きたくなってきました。
長くなったので分けます。
次回は植物の分類②
裸子植物・被子植物
単子葉・双子葉
有胚乳種子・無胚乳種子
あたりを扱う予定です。こっちの方が需要が多いかもしれませんね