SAPIX6年生の春期講習第1回は電流でしたね。
電気抵抗を使って電流を考える問題が本格的に登場しました。
「分からない…」
という子が続出して、この1週間は毎日この授業でした。
今回は授業をここで再現してみたいと思います。
生徒によって扱う問題を変えていますので、全員と解いたのは図8まで。
図9は応用、図10は上位レベルです。
図のようなタイプの回路は前回の記事で書いたような「並列をかくす」が使えません。
かくしても隣に豆電球が残ってしまうからです。
これは、電気抵抗を考えないと数値化できません。
まず電気抵抗とは何か?確認しましょう。
「電気のジャマするやつ!」
だいたい正解です!
ここではシンプルに
電気抵抗=電気の流れにくさ とします。
※以下、「抵抗」と表記します。
抵抗を使って今までに習った回路を考えてみましょう。
まず、図1の回路の抵抗を①とします。
※抵抗の数値に〇はを付けることにします。
このときの電流を1とします。
図2の回路を考えましょう。
抵抗は?
「②!」
そうですね。抵抗=流れにくさが2倍になったので電流は1/2になります。
次に豆電球を並列にしてみましょう。
この回路の抵抗は?
「①?」
うさぎさん、「並列はかくす」が定着していますね。
ただ、今回は青の部分全体の抵抗を考えます。
「分からない…」
難しいですよね。
ここで、豆電球でなく電熱線で考えてみます。
同じように1本の抵抗を①とします。
並列にすると図のようになりますね。
これを合体させてみましょう!
どうなりました?
「太くなった!」
ということは電流が…?
「流れやすくなった?」
そうです!だから抵抗は…?
「小さくなった?」
そうです!
太さが2倍になって、2倍流れやすくなったので抵抗は1/2〇になります!
※1/2に○をつけたつもりで読んでください。
豆電球の回路に戻ると、抵抗が1/2〇なので電流は2になります。
これは回路全体の電流の値なので、電池の近くから流していくと
豆電球の手前で分かれて豆電球には1ずつ流れます。
今まで通りの値になりましたね!
では、冒頭の回路を考えましょう!
まず、左側の部分の抵抗が①、右側の部分の抵抗が1/2〇なので、全体の抵抗は?
「3/2〇!」
そうです。すると電流は?
「2/3!」
そのとおり!電池の近くから電流を流していくと…?
「左側の豆電球は2/3で、その後分かれて1/3ずつになる?」
そのとおりです!
次の問題行ってみましょう!
「出来た!電流は3/4!」
そうです!さすがカエルくん!
左側の抵抗が①右側が1/3〇なので、
全体の抵抗は4/3〇→電流は3/4になります。
もう1問考えてみましょう!
「乾電池が2個直列になってる」
そうです。
「この場合の抵抗は…うーん…」
抵抗は電池が増えても変わりません。
「さっきと同じように考えて、最後に電流を2倍にすればいいじゃん!」
そのとおりです!
電池が2個直列になると、電流を流そうとする力(電圧)が2倍になるので電流の値は2倍になります。
「左側の抵抗が②で右側の抵抗が1/2〇だから、全体の抵抗は5/2〇
だから電流は2/5!!」
カエルくん…!さっき気付いていたのに…
「あ!2倍するの忘れた!」
そうですね!2/5×2で、電流は4/5になります。
カエルくんのような小学生は多いです。
理解がはやいのですが、計算しているうちに忘れてしまう…今週も2人いました。
最後の問題です。
「難しそう…」
「右側の抵抗は…うーん、なんとなく3/2!」
なんとなくはやめましょう!
右側の部分の抵抗はすぐには出ません。
「じゃ、どうするの?」
いったん右側だけ取り出して電流を考えます。
このタイプは「並列をかくす」考え方で!
「上が1/2で下が1だから全体の電流は3/2」
そうです。電流が3/2ということは抵抗は?
「2/3〇」
ここから元の回路に戻ります。
全体の抵抗は
①+2/3〇=5/3〇
電流は3/5になります。
「面倒くさっ!」
そうですね…出題される学校はかなり限られるので安心してください。
さて、豆電球に流れる電流も確認しておきましょう。
Aに流れるのはもちろん3/5です。B・Dはどうでしょう?
「半分ずつで3/10…ではないかも」
そうなんです。
B・CとDに流れる電流は同じではなく、抵抗の小さい方(流れやすい方)にたくさん流れます。
抵抗が②:①なので
「Bの方が1/5でDが2/5!」
そのとおり!
ここまで出来れはほぼ完璧です!
(別解1)
「これ、さっきの電熱線の考え方でいけない?
並列の上(B・C)は抵抗②だから断面積0.5って考えて、合体させれば…」
そうなんです。
並列の上の豆電球2個直列(B・C)は抵抗②なので断面積0.5
下は豆電球1個(D)は抵抗①なので断面積1
これを合体させると断面積が1.5倍になるので、抵抗は2/3〇
このようにしても求められます。
電熱線の長さや断面積に置き換えて考えるのが得意な子にはおススメです。
(別解2)
早稲田アカデミーではマスターテキストにこの手の問題がありますね。
わざわざ電流を求めてから抵抗を出すのではなく
並列関係になっている豆電球を数えて
抵抗=積/和 で求めていると思います。
これの意味を図示すると以下のようになります。
「めっちゃ便利じゃん!」
そうですね。でも、ひとつ難点が…2段の並列しか使えないんです。
3段以上になると…
「値が違っちゃった…」
そうなんです。
積/和は気を付けて使いましょう!