少し前になりますが、サピックスオープンの問題にてこが出ていましたね。
Aの方の大問3です。平均点低かったですね。原因は「棒の重さ」です。
私の生徒たちも
「棒の重さ入れるの忘れちゃった」
「え!?棒の重さあったの!?」
「棒の重さが書いてあったのには気づいたけど、どう考えるのか忘れちゃって出来なかった」
…こんな感じでした。
サピックスのカリキュラムでは直後にてこが登場しています。
「棒の重さを忘れてはいけない!」と印象付ける作戦だったのかもしれません。
そんなわけで、今回はてこです。
まず、てこのいちばんのポイントは回転のつりあいを理解することです。
てこは支点を中心として
右回りに回転させるはたらき(支点からの距離×力)=左回りに回転させるはたらき(支点からの距離×力)
になるとつりあいます。
支点は回転の中心なので動きません。
ここを固定して、おもりやばねはかりが棒をどう回転させているのか矢印をかきながら考えられるようにしましょう。
支点が端にあったり、仲間が遠くにいたりしても矢印をかけるように!
さて、支点を自分で決めるタイプの問題も多いです。
必ず支点マークをかき込みましょう!支点をはっきりさせないまま解こうとすると混乱します。
棒を支えているひもやばねはかりの下にしておくのが基本です。
下のような問題なら左右どちらでもよいです。
上手くいかなかったら変えればいいだけです。
「この問題なら支点はどちらでもいいと思いますが、例えば次のような問題なら値の分かっていないところを支点にする、という風に教えた方が試行錯誤する手間が省けていいように思うのですが」
左を支点にすると一発で解けますが、右を支点にすると分からない値が多くて行きづまります。
なので、インコママのいう通り、値の分かっていない左を支点にすればよいのです。
ただ、はじめから教えないほうがよいのでは?と私は考えています。
ある程度試行錯誤して、自分で要領のよい方法に気づいた方がその後の応用問題にも対応しやすいと思うからです。
また、このパターンなら重さを比で分けた方が考えやすい、という子も多いです。もちろんそれでもOKです。
ただ、おもりがばねはかりの外にもある場合は比で分けられないので、回転でも考えられるようにしておくとよいでしょう。
回転で考えられない問題はありません。
棒の重さを考えるパターンに入ります。
これは、棒の重さをおもりにして重心に下げるだけです。
太さが一様な棒なら真ん中におもりを下げるだけ。
棒の重さを考えるてこ=自分でおもりをひとつかき加えるてこ です。
あとは今までと同じ!
力学の応用が苦手、という場合自分で工夫しようとしすぎている子が多いです。
ひと手間加えて基本パターンに持ち込むだけなことを知ってください。
また、おもりをかき込むとき、距離もかき加えておくことがポイントです。
「えー?真ん中に下がっていることくらいかかなくても覚えていられるよ」
こう考える小学生は多いです。目で見えるようにしておくと楽なことを実体験で知ってもらう他ないでしょう。
次に太さが一様でないタイプ
「苦手ー」
見た目が難しそうですからね。
こちらは、重心の位置を求める手間がひとつ加わります。
重心を支えると棒は水平になります。
この後、ばねはかりの位置などが変わっても重心は動かないことに注意しましょう!
問 ばねはかりの位置を棒の真ん中に変えると棒が傾きました。
棒を水平にするために、左右どちらかの端におもりを下げました。どちらに何g下げればよいでしょうか?
支点=回転の中心 なので自分で変えてかまいません。
さて、次の問題!
問 重さ120g、長さ60㎝の太さが一様でない棒が図のようにつりあっています。棒の重心は左端から何㎝ですか
「重心の位置が分からないから棒の重さを下げられない…」
「位置が分からないから分かったらかく!」
ああ…かかないと分からないんです!棒の重心の位置は適当でいいのでかき入れましょう!かき込めば解けます。
「そんなことしていいの?」
いいんです。大事なのでもう一度
分かる→かく ではなく かく→分かる のです。
分からないものを目で見える形にすることがポイントです。
求められた値から考えると、重心は200gのおもりより右側になりましたが、問題を解く上では問題ありません。
さて、ここでてこの解き方をまとめます
①棒の重さがあるときはおもりにしてかき込む
②支点を決める→基本はばねはかりやひもの下→行きづまったら変える(端、おもりの下がっているところなど)
③回転のつりあいを考える
④上下の力のつりあいを考える
棒を上向きに引く力の合計=棒を下向きに引く力の合計 です。
これは回転とは別なので分けて考えましょう。
では、最後の問題
問 図のばねはかりの値と□の長さを求めなさい。ただし、棒の重さは考えなくてよいものとします。
「分からない…」
困りますよね。ばねはかりの下を支点にすると、分からない値だらけです。
ただ、④の上下の力のつりあいからばねはかりの値だけは求められます。
おもりの重さはすべてばねはかりが支えています。
ばねはかり=100+50+50=200g
次に②!行きづまったら支点を変える
最後に。。回転のてこの考え方が苦手で、比の処理は得意、という子のための別解です。
おもりを合体させてしまいます。サピックスでは夏期講習で習う解法です。
数値によっては途中の値が割り切れず分数になることもあるため、計算が速くて正確な子向けです。
ばねはかりの外側におもりのあるタイプもこれで対応可能です。