岩井俊二のMOVIEラボ #1「SF編」 1/8放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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岩井俊二が主宰となり、毎回映画について語る(NHK Eテレ毎週木曜23:00~の45分番組)。再放送は次週の水曜深夜。
【主宰】岩井俊二【レギュラー講師】樋口尚文、岸野雄一【ゲスト】庵野秀明、樋口真嗣

 

シリーズ

1回 2回 3回 4回 5回 6回

シーズン2

1回 2回 3回 4回

 

 

感想
NHKで時々予告やってたのでちょっと気になっていたが忘れており、始まってからあわてて観始めた。
会話の中で一番ピッタリ来たのはやはり庵野。だがサンドーバードの公開時、彼は6歳なので再放送を見て育った世代だろう。しかし2号のリフティング・ボディのくだりは自分も良く知っている話なので実に面白かった(ディアゴスティーニで全巻揃えた・・・・)。SF映画史も、こうした番組自体が少ないので面白かった。

 

 

 

 

内容

岩井が口火を切る。「エイリアン」は全5作作られ、モンスターの表現等参考になった。
<樋口真嗣>若い頃「スター・ウォーズ、未知との遭遇はSFでない」とある人から言われ「2001年宇宙の旅」を勧められた。

 

<庵野秀明>
影響を受けたのは「サンダーバード」「キャプテン・スカーレット」「謎の円盤UFO」。皆ジェリー・アンダーソン・スタジオの作品。人形とメカのGAPにシビれた。中でもメカのウェザリング(汚し)、マーキング(デカール)によるリアリティの追究が後に大きな影響を与えている。発進の段取り(描写)で時間が稼げると思っていなかった。各機体の発進シーンに1分かけてる(凄い)。これら特撮の監督をやったのがデレク・メディングス。

サンダーバードはNASAの開発機等のパクリが多い。サンダーバード2号のリフティング・ボディはX-24、1号は英国のライトニング(イングリッシュ・エレクトリックライトニング)にインスパイアされた。1号はランチに降りるまでに90°方向転換しないと理屈に合わないはずだが、そんな事は関係なくまとめている。緻密でいて豪快。大人になるとつっこみどころ満載だが、子供にとって見れば勢いがあればOKだった。

 

<SFの原点>
そもそもの誕生は小説。H・Gウェルズの「タイムマシン」「透明人間」「宇宙戦争」。タコ形火星人もこれで定着した。
(岩井)作品の参考にしようと「タイムマシン」読んだが、既に過去に”やりつくした”感があってやめようと思った。あらすじ:自ら開発したタイムマシンで80万年の未来に行くと悲惨な結末で失望する話。スペクタクルは迫力あった。この当時に出たタイムスリップなどのネタは今でも派生がたくさんある。
1865年「月世界旅行」が小説で発表され、1902年に同名で初のSF映画として発表された。
1927年「メトロポリス」ロボットに人間の生命が宿る初のシーン。その後小説→映像化の流れが確立。

 

<戦後のSF概論>
米ソの宇宙開発競争もあり、1950年代は空前のSF映画ブームとなった。1951年「地球の静止する日」、1956年「禁断の惑星」、1968年「2001年宇宙の旅」「猿の惑星」。この時期で頂点を迎える。
その後ベトナム戦争の影響もあり、市民の関心が社会問題に移って行った。70年代は「いちご白書」「フレンチ・コネクション」「ゴッドファーザー」.
1977年に「スターウォーズ」「未知との遭遇」の成功でSFブームが再燃。要因としてはリアルな宇宙戦争描写であり、技術面ではモーション・コントロール・カメラの発達がそれを支えた。アメリカン・ドリームとして若者が多く参入。
1982年「ブレードランナー」「E・T」1985年「バック・トゥ・ザ・フューチャー」等でSF黄金時代を迎える。

 

庵野秀明:スターウォーズは、公開当時は観ず、4~5年経ってリバイバル館で観た。
日本では映画よりアニメ(ヤマト、ガンダム)の時代。庵野自身は20代からアニメに関わり1987年「王立宇宙軍」に参加。80年代は若さゆえにイロイロ”やっちゃった”時代。「マンガ見てるとバカになる」と親から言われ続けた者が「バカやっちゃった」世代(だがそれをやらせたという時代でもあった)。アニメは人手不足だったからやれた(ゆるさがあった)若いモンがつけ入る余地があった。今の若い人には厳しい時代か。

 

<1分スマホ映画ロードショー>
投稿により構成。スマホでやれる範囲のSF作品を作る。

①ショートトリップ:アメ玉を口に入れ、行きたい時代を念じてアメを砕くと行くことが出来る。

②POSSESSORS.MOV:アンドロイドの女が振られ、相手の男のデータを消去する。庵野の「32(GB)でいいんだ」のコメントが受けた。

③空がこんなに青いとは:男女が空にスマホをかざして何か写そうとしている「見つからないよ」。その後ろの男も同じ行動。
撮れないものもある、というアンチテーゼだと作者が言う。ゲストには受けていた。

 

まとめ<SFとは?>
SFのイメージは初めパーソナルから遠いイメージがあったが、一番パーソナルな部分に密接に繋がっていると思う(岩井)。
SFが唯一予測出来なかったものが「スマホ」。今では当たり前になってしまったこのスマホで何がやれるのか、楽しみ。

 

 

資料

 

サンダーバード
https://www.youtube.com/watch?v=jAA3-80dwnk

 

参加者情報
岩井
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E4%BA%95%E4%BF%8A%E4%BA%8C
樋口尚文
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%8B%E5%8F%A3%E5%B0%9A%E6%96%87
岸野雄一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E9%87%8E%E9%9B%84%E4%B8%80
庵野秀明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%B5%E9%87%8E%E7%A7%80%E6%98%8E
樋口真嗣
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%8B%E5%8F%A3%E7%9C%9F%E5%97%A3