岩井俊二のMOVIEラボ #3「恋愛映画編」1/22放送、1/28再放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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シリーズ

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シーズン2

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感想
恋愛映画論に「ガンダム」持って来るとは面白い。確かにガンダムは単なるロボットアニメで終わらない重層的な構成になっていて、恋愛ドラマとしての鑑賞にも耐えるか(シャァとララァの愛についても語ることが出来る)。
エヴァのシンジとアスカ、「彼氏彼女の事情」などもあり、この回でも庵野のコメントが聞きたかったが、まあいいか。

 

 

内容

ゲスト 蒼井優 鈴木杏
二人は岩井の監督作品「花とアリス」で共演。
(蒼井)これはと思う恋愛映画思いつかない。

人の恋愛に興味ない。
他人に興味ないけどスクリーンになると追いかけ出す。そしてハッピーエンドで終わる。そういうメカニズム。

 

岩井の恋愛ドラマ原体験:機動戦士ガンダム。
ガンダム観てやられた。ラブストーリーとして「何だこれ」というカルチャーショックを受けた(国宝級)。
主人公のアムロ・レイと幼なじみのフラウ・ボゥ。普通ならこの二人で恋愛に発展するのが不文律だが、途中から脇役の位置付けに押しやられる。
アムロは年上のマチルダに惹かれたりしてフラウをスルー。
そしてララァ・スンとの関係。実際には数分間しか逢っていない。宇宙空間で戦っているうちに恋に落ちる。自分が知っている恋愛作品の中では異色→見方によってはラブストーリー。
恋愛要素はジャンルを超えて作られる。描き方は千差万別。

 

ラブストーリー映画における特徴・手法。
蒼井:「ロッキー(1976年)」恋愛が丹念に描かれている。ペットショップのエイドリアン。地味で親しみ持てる。他のヒロインと較べたらファニーフェイスだが、それがロッキーといい組み合わせ。
「アニーホール」やっぱり美男美女かぁ。等身大設定も効果的。
鈴木杏:「レオン(1994年)」。12歳少女と殺し屋。立場を超えた愛情。マチルダとレオンの年齢差を次第に感じなくなって行く。

障壁の設定は代表的手法。ギリシャ神話にも見られる。

例:「ロミオとジュリエット」。
「カサブランカ」戦争のために離ればなれになる。
「ローマの休日」王女と新聞記者。
「ウェストサイド物語」ロミオとyジュリエットを現代に置き換えた。
障壁は効果的。

 

樋口尚文:「ベニスに死す」。
男同士の壁、年齢差、死別。
岩井:人間ドラマとして好き。映画でどこまで描けるか。美少年に心奪われる作曲家。
相手を追い求めるが年齢差、病等により少年に触ることもなく死んでいく。他人の壁を一歩も踏み越えられない。男のやっている事は感情移入出来ないが、ここまでやるとアッパレ。人生の重さもかぶっている。

 

岩井の監督作品「花とアリス」
岩井:ラブストーリーだったのか?
花にとってはそうだった(鈴木杏)
アリスにとっては火遊び(蒼井優)
女性二人の恋愛と友情。花が高校の先輩に好きと告白。それにアリスを巻き込み、微妙な三角関係に。
アリスはファザコン的思いを花の好きな男の子に向ける。父親の存在も重要。
岩井:意識したのは人と人とが織りなす化学反応(追いかけている)。重層的な人間関係。

「結婚哲学(1924年:サイレント)」嫉妬、疑い、心の動き。

 

「花とアリス殺人事件」アニメ。
花の行動がきっかけで生れる壮大なラブストーリー。
岩井の映画:少女マンガ的と言われている・・・(?)
岩井:ある人から言われた。男は歌詞を聞いていない。例えば中島みゆきの歌で「ああいう体験ある?」と女性から聞かれても答えられない。男は歌えるのに歌詞の中味に気付いていない→少女マンガ読んでても「読んでる」だけ。

蒼井:女子から見て岩井作品は少女マンガチックとは思っていないが、オジさんの中にある「いけない少女性」はあると思う。それは女性からしたら小さいところから見た世界であり、いとおしい。
岩井の中にある少女とのつながり。それするどい(岩井)。
世界で一番のオトメはオジさんだから(笑)。

 

恋愛表現について
行定勲:「世界の中心で、愛をさけぶ」の監督。ラブレター、スワロゥテイル等で岩井の助監督。
「Love Letter(1995年) 」婚約者を山の遭難でなくした女性を軸に描く。
失った人間が愛した人を描くのが主眼。その時助監督だったが、岩井が死んだ男の崖下のシーンにこだわるのを見て「違う」と言った。
「不在」が一番感情移入し易い。重要キャラクターをあえて不在にするのは重要な手法。

行定の「この一本」:「情事(1960年)」
惹かれ合うどうしようもなさ。ダメになる時ほど感情が昂ぶって行く。人はよこしま。不倫、略奪。正しいとされていないものの方が興味ある。抑圧した気持ちが悶々としてイイ。

 

一分スマホ劇場 ラブストーリー編

①コックテール
彼女の事は絶対忘れないと豪語する男。ある日3歩歩いて「忘れない」3歩歩いて「忘れない」と歩いていたが、すれ違った彼女の事が認識出来なくなっていた。
作者と主宰との間で解釈がズレていた(それも面白い)。

 

②次会うのはいつ?
駅近くでの男女の会話。女性が次会うのいつ?と軽く話しながら改札を去って行く。
批評する側は演出されたものとして、最後の場面はない方がいいと思ったが、この二人はリアルに交際関係だったので、ドキュメンタリーとして最後の場面は必要→一同ナットク。

 

まとめ
ラブストーリーについて追いかけようとしたが、壮大過ぎて追いかけきれたかどうか・・・・
これからどうなって行くか(出尽くしている感あり)。

次回は「ホラー編」

 

特撮編で一分スマホ
「円盤 繭女」
空に浮ぶ円盤。そこへ画面右方からシルエットに近い女(身長数百m)が建物を蹴散らしながら歩いて行く。左方まで通り過ぎてからまた右方へ。最後に円盤がまた出てオシマイ。

スマホで巨大な女をどうやって撮影したのか、そこが知りたい。