裁量労働制の本質は何か? | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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ダメダメデータで炎上寸前

【報ステ】裁量労働制 新たに不自然データ233件(報ステ)

 国会では26日も裁量労働制をめぐり激しい論戦となった。野党側は一般労働者について新たに明らかになった不自然な233件のデータについて指摘。裁量労働制で働く人のデータについても指摘した。加藤厚生労働大臣は「違和感を感じるのは事実である。精査し各企業にあたったうえで報告する」と述べた。立憲民主党の長妻政調会長は安倍総理に対し「『データは撤回しない』と頑張るから皆が非を認められないのではないか」と迫った。安倍総理は「精査しているなかでデータ自体を撤回することは適切ではない」と述べた。政府・与党は裁量労働制の拡大を盛り込んだ働き方改革法案を来月中旬までに国会に提出する方針だ。報道ステーションが24日、25日に行った世論調査で、裁量労働制を拡大する法案をこのまま国会に提出してよいかどうか尋ねたところ65%の人が「思わない」と答えた。

 裁量労働制をめぐる国会議論にて、またも新たに不自然なデータが出てきたようで、国会が紛糾しているようです。

 この議論にはいくつかの論点が存在するわけですけれども、その点を明確にした上で「裁量労働制って結局なんやねん?」というものを解説してみたいと思います。

 まず論点ですが以下の様なものでしょう。

  1. 労働時間がどうなるのか?過労死などの社会問題に拍車をかけるのではないか?
  2. データが不自然かつ論証に耐えられるものではないのだから、そのデータを根拠とした議論を一からやり直すべきではないか?
  3. そもそも裁量労働制の拡大は必要なのか?
  4. 裁量労働制は国民にとって良いものか?悪いものか?

 まず簡潔に言うと2)の「データがおかしいのだから、そのデータを使用した議論はやり直すべき」というのは至極当然の話です。さらには1)の労働時間の問題については、殆どの裁量労働制の対象となる人たちが「長くなるであろう」という判断は、これまた当たり前なのですけれども、なぜそれが当たり前なのか?というところに、「結局のところ裁量労働制ってなんやねん?」が絡んでくるわけです。

 この「結局のところ裁量労働制ってなんやねん?」が分かれば、4)の「国民にとって良いのか悪いのか?」の判断は自ずと見えてくることでしょう。

裁量労働制ってなんやねん?

業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分の決定を労働者の裁量に委ねる必要があり、使用者が具体的な指示をしない労働形態当人との間で結んだ労働協約に基づき、実働時間にかかわらず一定時間労働したものとみなして賃金が支払われる。特に時間で管理しにくいシステムエンジニア・デザイナー・編集業務・公認会計士弁護士、新技術の研究開発業務などが対象。

(https://kotobank.jp/word/%E8%A3%81%E9%87%8F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%88%B6-3684のデジタル大辞典より)

 例えばわかりやすい例ではデザイナーでしょう。デザイナーのデザインの仕事は顧客さえ「それでOK」と納得すれば、そのデザインに1時間しかかからなかろうが、逆になかなか納得が得られずに100時間かかろうが、顧客からすれば「同じ仕事量」としてみなされます。

 これを労使間にも適用するのが裁量労働制というわけでして、要するに「労働時間というより、納期が決められ、その間に成果を出す労働形態」という風になります。

 では今回の働き方改革なるもので裁量労働制がなぜこんなに問題になっているか?というと、殆どのホワイトカラーに対して適用が可能であろうという問題があるからです。

 

 逆にいえば「納期に間に合い成果さえ出せるならば、いつ出社していつ退社してもOK」というわけです。自営業やフリーランスみたいなもんですわな。もしくはキャバ嬢やホスト、風俗嬢的かもしれない。

 とすると裁量労働制では「納期と成果」を「労使間で労働協約(契約)」して「自分の収入が決定する」わけですから、成果が上げ続けられる一部の有能な人は置くとしても、それ以外の人たちはスランプに陥るなりすると途端に収入が下がる、つまり不安定化するという不確実性が付きまとうことになるはずです。

顧客と自分、どっちが強い?

 基本的に顧客と対応する自身では、立場は”契約”によってのみ成り立ち、対等であるはずだというのは理論的には理解できますけれども、実際的には大抵の場合はお金を払う顧客のほうが無理を言えるのが当たり前です。

 

 これが雇用者と被雇用者であればどうでしょう?自身が有能であると信じるのならば、そして会社に確実かつ膨大な利益をもたらすと信じるのであれば被雇用者が有利になるでしょうが、大抵の場合はそこまで自信は持てないでしょう。

 そりゃ当たり前で、そこにはこのようなパラドックスが存在するのです。

 「有能なレベルがもし、全員に可能であればそれは有能とは評価されない」

 有能とは「他よりも評価される」という一点において有能なのであり、ほかの人が同レベルのことをし始めれば、その作業やノウハウの実行で有能と評価されることはないのですから(!!)

 

 とすると基本的に大多数の人はすごく有能なわけではないので、つまりは雇用者との労働協約において有利にもならない。むしろ有能な人たちが膨大な成果を出し続ける限り、普通の人たちはそれを相対的に比べられ、評価されるわけですから不利になるのは当然でしょう。

 従って大多数の被雇用者にとっては裁量労働制というのは、当たり前のように不利に働きます。その不利を覆そうとすると何が必要か?労働時間という物量でしょうな。

裁量労働制とはサプライサイド経済学である

 ちなみに労働裁量制というのは非常に”静的”な概念であります。なぜならば、成果は基本的に売り上げであったりの数字なのですけれども、その成果は「一定の何かをすれば得られる」と考えているフシがあるからです。

 しかし考えてみてくださいな。バブルの時代と現在のデフレ時代。企業という器でさえも栄枯盛衰、浮き沈みしているのに、果たしてそれよりも不安定性のある個人がそうならないと誰が言えるでしょう?

 「成果は何か一定のことをすれば得られる」というのは、表現を変えれば「生産すれば売れる」というセイの法則そのものなのです(!!)

 そして需要より供給に重きを置く、つまりサプライサイド経済学と同じ考え方でもあるわけです。

 

 では世界が1980年代、もしくは日本が1990年代にその考え方を導入して何が起こったか?アメリカでは30年間伸びないボトム90%の賃金と格差であり、日本においても全体的な所得の減少とデフレと格差でありますから、根本が同じ考え方を個人にも適用すればそれが容易に起こるというのはごく自然な話です。

 裁量労働制を「仕事の量から質への転換!」「自由に出勤できて裁量が与えられる!」等々の甘い言葉で詐欺的言説をはく輩は多いですけれども、そんなものは世界的な現実を見れば「すべて嘘っぱちの虚言、空言、戯言の類」であるのは明々白々。

 

 国家単位、共同体単位では共同体の弱体化、文化や伝統や常識の破壊をしてきたこれらの経済イデオロギーですが、個人に適用されるとどうなるか?有り体にいえばホリエモンを量産するという話になるわけです。ゾッとしない話ですな(笑)

 

 さて、いかがだったでしょうか?これで安倍政権の働き方改革!なるものをまだ支持する!という人がいたら、よっぽどの有能かつ商魂たくましい方か、もしくは自分のことをそう勘違いしている方だけでしょう。

 

 零細自営業から一言。自分がそんなに「出来るやつや!」と思うんやったら、自営業したらええねん。

 そーいえば日本では年々、自営業の開業数は下がって、安定した労働環境を求める人が増えているそうです。高校生とか大学生とかにも公務員が人気だそうです。

 これは当然、デフレという最悪な環境だから増えないというだけの話なのですが、その最悪な環境をどうにもしないで、ホワイトカラー全員を実質的に自営業にしてまえ!と押し付けるのが、今回の労働裁量性の議論の根本なのかもしれない、などと思いましたとさ。

 

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本日の男の料理 旨い、簡単ペペロンチーノ!

 ペペロンチーノって単純で難しい料理なんですが、これを「誰でも出来る、簡単!」にまで落とし込めないだろうか?と思ってはや数年。できた!

 ポイントは強火は使わない、アンチョビ・醤油、お湯の量!なのです!

材料

  • スパゲティ(湯で時間7分の1.6~1.7mmのやつ)
  • ベーコン(1枚)
  • アンチョビ(缶詰で数枚程度)
  • にんにく(中国産なら2粒、日本産の大きなものなら1粒)
  • 鷹の爪(1本)
  • 胡椒
  • 醤油
  • オリーブオイル

調理手順

  1. 慣れてないならソースを先ずは作りましょう。にんにくスライス、鷹の爪の種は落としておいて適当にちぎる、ベーコンカット。ココらへんから鍋でお湯が湧くように。スパゲティ100gにつき水1Lくらい。塩は大さじ1杯くらい。スパゲティを入れてタイマーは6分。
  2. フライパンにオリーブオイルを適量、にんにくとアンチョビ、ベーコンを入れて弱火でじっくりと火を通します。アンチョビは細かめに砕いて下さい。
  3. にんにくがきつね色になるかならないかで、鷹の爪を入れて、茹で汁をお玉1杯と少し投入。お箸でかき混ぜて乳化させ、味見をしてやや薄ければ塩を入れます。あとは胡椒少々、お醤油隠し味程度に。
  4. 面が茹で上がったらザルに上げて、水切りしないでフライパンに入れて”火を消します”。さっと絡めて、最後にオリーブオイル少々を入れて香り付けして完成!

 コツは麺を茹でるお湯の量を多くしないこと。一般的には多めがいいんですが、ペペロンチーノの場合は麺から出るタンパク質が乳化作用を促進するのだそうです。

 アンチョビが無い場合は、イカの塩辛で代用するのも「あり」です(笑)食感が悪くなるので、包丁で叩いてくださいね。

 

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