戦争にチャンスを与えよ(エドワード・ルトワック)書評 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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大国の介入が平和を消し去る?

 まだ筋肉痛で苦しんでおります(笑)が、旅行中に読んだ「戦争にチャンスを与えよ」というエドワード・ルトワックの著作に関する書評を少しだけ。

 エドワード・ルトワックは軍事を専門に戦略、軍事史などを研究している戦略家として紹介されております。そしてその著作は非常に興味深いものばかりであろうと思うのですが、この著書に関していうならばエドワード・ルトワックの世界観を余すところなく伝えている、といって良いでしょう。

 

 そして興味深い指摘が「大国、国連が介入して戦争状態を凍結するから平和が訪れない」という主張です。

 どういうことか?つまりルトワックいわく「互いに戦争で疲弊して、平和への希求、日常への希求が高まる前に大国が介入し、戦争状態を人工的に凍結する。従って戦争が終わらない」というわけなんだそうです。

 彼はこの逆説的な論理、パラドキシカル・ロジックこそが非常に重要な要素である、と説きます。

 そして本気で介入する気なら50年はその地に派兵するという覚悟が必要だ、と説くわけですね。つまり”次の平和”のためにこそ、戦争にチャンスを与えよというわけです。

この主張は正しいのか?

 エドワード・ルトワックは大変に興味深い人物で、その主張も興味深いのですが、私はどうも彼が近視眼的なのではないか?と思ってしまいます。

 例えば日本の戦国時代、もしくは中国の戦国時代にまで遡れば各地の戦乱は絶えず、戦争が平和へのきっかけになるどころか、戦争が戦争を呼ぶ時代でした。

 もっとも戦争が始皇帝を生み出し、江戸幕府を生み出したと解釈することも可能ですが、エドワード・ルトワックの主張には「自由民主制の世界」が前提条件になっているように思えるのです。

 

 そして近代、現代についてもやや違和感があることは拭えません。なぜならばこの著書では大国同士の戦争については触れられていない。

 つまり純軍事的な視点からの考察であり、国際政治やその他の要素というのがあまり入っていないので、世界の複雑性をやや無視して論じている印象が拭えないのです。

軍事的平和主義のすすめ

 しかし歴史、国際政治、共同体、国家という視点からは面白い主張であり、特にパラドキシカル・ロジック(逆説的論理)の考え方は非常にしっくりきます。

 平和こそが戦争の培養液になり、戦争こそが平和への道になる、というのはややいい過ぎかもしれませんが、財政健全化を目指して小さな政府にすることが、逆に財政健全化を遠のかせるというような、まさにパラドキシカル・ロジックな現象が日本でも起こっております。

 

 軍オタの世界では常識的な話ですが、平和を希求するならば軍事の抑止力は欠かせません。現在の世界は全く理知的ではなく、まだまだ「軍事によるパワーポリティクス」が蔓延る世界なのです。

 であればこそ、平和を希求するならばいざという時に備える「覚悟」が必要なわけです。

 

 家に鍵をかけるように、警察が必ず必要なように、国家にも軍事による安全保障が必ず必要であるわけです。

 平和主義であればこそ、戦争をしなくて済むように「常日頃から安全保障を万全にして備える」ことが必要なのです。

 

 ・・・・まあ、我々の国日本は絶賛安全保障を解体中でございますが(笑)

 経済定期停滞は国力の停滞であり、国力が停滞すれば防衛費に回せる予算も限られる。従って安全保障を毀損するというわけです。

 そしてなぜ国力が停滞しているか?といえばバカバカしい主流派経済学の主張にのった小さな政府、緊縮財政、財政健全化(笑)という方針のせいでございますね。

 この点でネトウヨの「中国がヤバい」といいながら安倍政権を支持する姿勢は不真面目そのものだし、また左翼の「平和は外交で」という主張は、軍事は外交の延長であるという現実を無視しております。

 

 ま、つまりは日本の右翼も左翼もフィクションな主張しかしていない。エドワード・ルトワックの著書にはやや違和感はあるものの、少なくとも日本の右翼、左翼よりは興味深い著作であることは確かです。

 いくつか著作が日本語に訳されているそうで、本日にでも彼の著作を買い足そうと思っております。

 

 

P.S

 筋肉痛がひどくて仕事になりません(´;ω;`)

 んでブログも前日に用意できない状態が続いておりますが、本日はだいぶマシになりましたので明日からはまた朝7時に更新できると思います(笑)

 

 

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本日の男の料理 京都の湯豆腐

 京都で湯豆腐を食べたのですが、どうも京都では湯豆腐の出汁に豆乳を使うようです。そして旨い。

材料

  • 豆腐(絹ごし)
  • 豆乳
  • 鰹節
  • 醤油
  • 日本酒

調理手順

  1. 日本酒を鍋でアルコールを飛ばして、そこに醤油を同量混ぜてタレを作ります。
  2. 葱や薬味はカット。
  3. 小鍋に豆乳を入れて沸騰させ、大きめにカットした豆腐を入れて温まったら出来上がり。1と2のタレと薬味につけて召し上がれ!

 嵯峨豆腐はどうもにがりではなく、薪を焚いて固める成分を作るんだそうです。ホロホロとした食感の大変に淡い豆腐にこれでなるんだそうです。人力車の車夫さんが話してくれました。

 

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