闘病1年4ヶ月目 <抗がん剤治療12クール目>
夫の抗がん剤治療の点滴の見守りに病院へ行ってきた。
朝イチは拒否により針がさせなかったらしい
10時ごろもう一度トライしていただいて、やっと針が無事させた。
それから抗がん剤が病室に届くまで1時間以上かかる。
そこからテモダール1時間半、アバスチンを20分するので、結構長い間病室に夫と2人きり。
目をつむってはいるけど、今日は比較的機嫌がよく、
私が話しかけるとうなずいたり微笑んだりしてくれていた
病室の中で、ハワイっぽいBGMを流して、ハワイの画像を見ながら
「ハワイ行きたいね〜」と話していたら
私を指差し「連れて行かないよ」と夫が言った
「なんで?」というと「だってハワイうどん食べれないでしょ」と。
ハワイうどん???
何のことかはわからなかったけど、、、
「食べれるから連れて行って!」と言ったら「食べるならいいよ」とニコッとしてくれた
私と夫は新婚旅行で、とあるリゾート地に行ったので「〇〇に、新婚旅行で行ったよね!もう一回行きたいね!」というと
夫は「行ってないよ」と
しばらく「行ったよ」「行ってない」「行ったよ」「行ってない」「覚えてないだけかもよ」「いや、行ってない」が続いたけど
虚しくなったのでやめた
その後は髭を剃ってあげたり、爪を切ってあげたり、時々話しながら過ごした。
話している内容は聞き取れなかったり、ほとんど内容が分からないけど
機嫌よく話しているので、そんな夫と過ごす雰囲気を私は楽しんだ。
抗がん剤が終わった後は、MRIを撮る予定だったので、
鎮静剤をそのまま点滴から入れた。
夫はすぐに深い眠りに入ったようだった。
目が半分開いて、全身がだらんとしていた。
足を真っ直ぐ伸ばす時、麻痺で若干硬直しているので、
普通だったら痛がるのに、
今は夫の足が真っ直ぐに伸びている。変な感じ。
夫のまぶたを手で閉じさせようとしても、自然と開いてしまう。
ふと思った。
・・・まるで亡くなっているよう。
今は、実際には寝ているだけとわかっているので冷静に見られるけど、
亡くなってしまった時、夫はこんな感じなんだろうか・・・
私はどんな思いで夫を見るのだろう。
耐えられるのか?
亡くなった夫を見ている私を想像してみた。
まだまだ先でありますように・・・
今、まだ生きていてくれていることに感謝しながら
夫に「これからMRIだって。行ってらっしゃーい」と声をかけた。
夫の異世界語録
「前任がかめだったんですけど」
(それは・・・・・・・大変でしたね)
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重度認知症の夫が発する言葉は、いつも謎解き。それを私は「夫の異世界語」と心の中で呼んで、和ませてもらっています夫の一言一言が愛おしく大切です。
いつか夫がいなくなって、涙が止まらなくなった時、これを見て笑顔になるきっかけにしようと思っています。