<抗がん剤治療11クール目>
夫は最近少し長く車椅子に座れるようになったので、デイケア(9時40分〜16時くらい)に挑戦してみることに。
お風呂に入れてもらえて、少しリハビリもしてくれるらしい。
朝、ヘルパーさんに着替えさせてもらって、車椅子に乗って準備をしていた。
夫には今日はリハビリ施設に行くよ、と伝えてあった。
すると夫が急に
「おい!ワイシャツ!」
と叫んだ。
夫は会社に行くのだと思っている。
会社に行きたいよね、、、 仕事がしたいよね。
これから、ご高齢の方と一緒にテレビを見たりリハビリをしたりするんだよ、、、 と思うと
ちょっと胸がギュッとなった
夫の持ち物に名前を書いて、オムツをバッグに入れる。
息子が保育園に行っていた時を思い出した。
ちょっと切なくなる
今だにこれは現実なのか?と思うときがある。
お昼デイケアのスタッフさんから電話があった。
夫はお風呂も拒否、ベッドへ移動も拒否で、
午前中はずっと目をつむっているとのこと。
「友達がこれからくるから今日はお風呂に入らない」と言っているらしい。
オムツ替えと胃ろうをしたいのでベッドへ移動させたいけど
何か良い方法や声がけのコツはあるか?
という内容の電話だった。
色々とご迷惑をおかけしている様子
夫はずっと目をつむってじっとしているんだ・・・
何を考えながら過ごしているんだろう、大丈夫かな・・・
頭の中でお友達を待っているのだろうか。ずっと・・・?
16時、夫は無事デイケアから帰ってきた。
あの電話の後なんとかベッドへ移動して胃ろうとオムツ替えはしたらしい。
いつもと変わらない様子で帰ってきたけど、
夫は私のことを認識してなくて
「どこの警察官さん?名前を言って」と言ってきた
私は「奥さんだよ!」と言った。
たまらなくなって
「16年一緒にいる奥さんだよ!これからもずっと一緒にいるよ!!」
と夫に向かって叫んだ。夫は目をつむっている。
今度は静かに耳元で「ずっと支えるからね、安心してね。」と夫へ言った。
続けて「時々子どものことは相談させてもらうよ。お父さん、頼りにしてるよ」
と言うと、夫はフッと微笑んだ
よかった。やっといつもの夫が戻ってきた。
「相談させてもらうよ」と言える夫がいる、今はまだ。
亡くなってしまったら、言えない。
言えるうちに言っておこう。
夫の異世界語録
「おれがのぼったのは、まゆつきのふじさん」
(ゆるキャラみたい)
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重度認知症の夫が発する言葉は、いつも謎解き。それを私は「夫の異世界語」と心の中で呼んで、和ませてもらっています夫の一言一言が愛おしく大切です。
いつか夫がいなくなって、涙が止まらなくなった時、これを見て笑顔になるきっかけにしようと思っています。