<抗がん剤治療11クール目>
2週間ほど前の日のこと。
この日は朝から夫のせん妄が激しかった。
朝起きてすぐ
「何時に乗って何時に乗り換えるんだよっ」と騒ぐ。
「降りたいから手伝えよ」と
とりあえずベッドに座らせようと思って介助するが、身体が痛い痛いとさらに騒ぐ。
夫の脳の中では、電車に乗ってどこかへ行っている途中のようだった。
しばらくすると、何かを食べている仕草をしている。
「何食べてるの?」と聞くと
「ホッカイロ」と
ちょっとこれは返答に困った。
昼間、テレビを見たり寝たりとゆっくり過ごしていると、突然夫は
「はい」と何かを手渡す仕草をした。
「これは何?」と聞くと
「秩父鉄道の水。2個あったからもらっちゃった。いいよね」と。
・・・なんだろう??
私は「ありがとね。」と答えた。
お昼の胃ろうの時
「お腹に栄養入れるから、お腹さわるよー」と夫に言うと
「え? おしりにんにく?」と。
「おしりじゃないよ、お腹だよ〜」と、夫のお腹をさすりながら答えた。
夕方も唐突に
「トイレの水とか普通に捨てていいの?」
「南極の人はそこから出られるの?」
と聞いてきた。
聞き取りにくいし、意味もわからなくて、ストレスが溜まる時もあるけど
それでも
夫とたくさんたくさん会話がしたい。
夫の世界に入って、夫のリズムで、夫の目線で会話ができればなぁと
夫の異世界語録
「エビのもようをしたシャツ、もってきて」
(エビの模様?!どのシャツのことだろう)
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重度認知症の夫が発する言葉は、いつも謎解き。それを私は「夫の異世界語」と心の中で呼んで、和ませてもらっています夫の一言一言が愛おしく大切です。
いつか夫がいなくなって、涙が止まらなくなった時、これを見て笑顔になるきっかけにしようと思っています。