彫塑の授業~5,6年生
土曜学校では、手仕事の授業は4年生までで、5,6年には彫塑の授業に変わります。
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素材として粘土や木材を扱います。
粘土の制作方法として、
小さいかたまりを成長させるように大きくしていく方法
(主に内側から外側に働く力の体験)、
大きいかたまりから削り出す方法
(主に外側から内側への作用の体験)、
又はある形から別の形へ変形させる方法
(内側と外側両方の力の体験)
などがあります。
粘土の性質上、ある程度水分が抜けて固くなるまでは
安定した形状が保ちにくく、
また焼くことにより更に強度は増します。
それに対して木は初めから固いかたまりなので、
刃物で形を彫り出す方法を取ります。
以上のように素材の性質の違いにより、
作品づくりのアプローチの方法はかなり異なっています。
粘土で人物や動物を作り出す場合、
胴体に頭、手足などバラバラのパーツを結合させて
一つの形を作っていくことは極力避けます。
それは動物などの発生過程を見た場合に、
初めの受精卵の形状は球体であり、
そこから様々な変容を経て
変化に富んだ形態に成長していくというところから、
その移り変わりを追体験できるように
制作することを試みます。
木彫りではお皿やスプーンを彫ることに取り組みます。
材料は子どもたちにも彫りやすい比較的柔らかい、
無垢板を選びます。
初めは50mmほどあった厚板を、
刃幅20mm、深さ7mmの丸ノミ1本とハンマーで、
外側の凸と内側の凹の形の変化を感じながら
彫り進めていくと、
初めはただの厚板だったものが、
毎回の授業の中で彫り進めていくうちに
ほんの少しずつ形を変えていきます。
子どもたちが
このある程度の硬さをもった素材と向かい合ったとき
「硬さ」という質に出会います。
しかし、この「硬さ」は
自分ではどうにもならない「硬さ」ではなく、
意志を持ち、力を加え続けてゆくことによって、
少しずつ自分の意図に近い形に
変化させることが
可能であることを体験するでしょう。
最後はサンドペーパーをかけ、オイルを塗って仕上げをします。
~2012.3月 作品展より