介護老人保健施設入所者の「抗悪性腫瘍剤」の保険算定について
「抗悪性腫瘍剤」でも内服薬や外用薬は、以前より他医の保険算定が認められていました。
「抗悪性腫瘍剤」の「注射薬」については、平成22年診療報酬改定から可となりました。
しかし、厚労省の担当者が、よく理解できないせいで、「文書」(厚労省の保険診療の告示・通知)では、平成26年改定から平成30年の改定(令和2年4月前まで)まで、「抗悪性腫瘍剤」(注射薬)のうち、「薬効分類上の腫瘍用薬」だけが「他医の保険算定が認められ」リュープリン注射用(LH-RH誘導体)等の「薬効分類上の腫瘍用薬」ではないが「抗悪性腫瘍剤」(注射薬)は、算定できない扱いとなっていました。
具体的には、
● 「特掲診療料」に関する施設基準の『第十六 介護老人保健施設入所者について算定できない検査等』で「算定できる抗悪性腫瘍剤」を定義しています。以下です。
⇒ 『 抗悪性腫瘍剤(医科点数表第二章第六部注射通則第6号に規定する外来化学療法加算を算定する注射に係るものに限る。)の費用』
(医科点数表第二章第六部注射通則第6号に規定する外来化学療法加算を算定する注射に係るものに限る。)は、平成22年は、医科点数表の通知で「外来化学療法加算」の対象は、『悪性腫瘍の治療を目的として抗悪性腫瘍剤等が投与された場合に算定する。』
という単純なものでした。(医科点数表で「抗悪性腫瘍剤」と表現された場合は、「リュープリン注射用等」(いわゆる「ホルモン剤」)の「薬効分類上の腫瘍用薬」に該当しないものも「抗悪性腫瘍剤」となります。)
参考:介護老人保健施設での抗悪性腫瘍剤の扱い(ここに医科点数表の「抗悪性腫瘍剤」について)(https://ameblo.jp/yakinuku/entry-12603545038.html?frm=theme)
● 上記で「算定できる抗悪性腫瘍剤」を定義しています。
つまり、医科の『外来化学療法加算』次第ですが、これが、改正のたびに代わります。(厚労省の担当者は、このことを理解していないか、忘れてしまっています。)
⇒ 平成26年改定から平成30年の改定まで『外来化学療法加算』の対象の「抗悪性腫瘍剤」を「薬効分類上の腫瘍用薬」に限定しましたので、規則上は、リュープリン注射用(LH-RH誘導体)等の「薬効分類上の腫瘍用薬」ではないが「抗悪性腫瘍剤」(注射薬)は、算定できない扱いとなっていました。
⇒ 色々話題になったので「厚労省の担当者」も気が付いたのでしょうか。
(下記に《厚労省の担当者が知らないせいで改定された例と間違ったまま通知されている例》と過去の介護老人保健施設での抗悪性腫瘍剤の扱い)を参考とします。
令和2年改定時に「特掲診療料」に関する施設基準を
『抗悪性腫瘍剤(医科点数表第二章第六部注射通則第6号に規定する外来化学療法加算を算定する注射に係るものに限る。)の費用』 から
『抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)の費用』
に変えて、「悪性腫瘍に効能があるもの」全部を対象としました。
● 平成20年までは、「抗悪性腫瘍剤」は、「内服・外用薬」のみ算定できていたもので、「注射薬」の算定は、平成22年改定後認められるようになりました。
「特掲診療料」に関する施設基準
『第十六 介護老人保健施設入所者について算定できない検査等』(平成22年から令和2年の改定前まで)
『抗悪性腫瘍剤(医科点数表第2章第6部注射通則第6号に規定する外来化学療法加算を算定する注射に係るものに限る )の費用』
⇒
令和2年改定・令和4年)⇒ 令和6年改定
「四 介護老人保健施設入所者について算定できる注射及び注射薬等の費用」
『抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る。)の費用』
<参考通知:外来化学療法加算>
(平成22年)
『4 外来化学療法加算
(1) 「通則6」に規定する外来化学療法加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤による注射の必要性、副作用、用法・用量、その他の留意点等について文書で説明し、外来化学療法に係る専用室において、悪性腫瘍の治療を目的として抗悪性腫瘍剤等が投与された場合に算定する。』
●平成24年医科点数表:通知
『(3) 外来化学療法加算Aは、添付文書の「警告」もしくは「重要な基本的注意」欄に、「緊急時に十分対応できる医療施設及び医師のもとで使用すること」又は「infusion reactio n又はアナフィラキシーショック等が発現する可能性があるため患者の状態を十分に観察すること」等の趣旨が明記されている抗悪性腫瘍剤又はモノクロ―ナル抗体製剤などヒトの細胞を規定する分子を特異的に阻害する分子標的薬を、G000以外により投与した場合に算定する。
(4) 外来化学療法加算Bは、外来化学療法加算A以外の抗悪性腫瘍剤(ホルモン効果を持つ薬剤を含む。)を投与した場合に算定する。』
● 平成26年医科点数表:
『(3) 外来化学療法加算Aは、薬効分類上の腫瘍用薬を、区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射以外により投与した場合に算定する。なお、この場合において、引き続き薬効分類上の腫瘍用薬を用いて、入院中の患者以外の患者に対して在宅自己注射指導管理に係る自己注射に関する指導管理を行った場合であっても、同一月に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料は算定できない。
(4) 外来化学療法加算Bは、次に掲げるいずれかの投与を行った場合に限り算定する。なお、この場合において、引き続き次に掲げる製剤を用いて、入院中の患者以外の患者に対して在宅自己注射指導管理に係る自己注射に関する指導管理を行った場合であっても、同一月に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料は算定できない。
ア 関節リウマチ、クローン病、ベーチェット病、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、関節 症性乾癬、膿疱性乾癬又は乾癬性紅皮症の患者に対してインフリキシマブ製剤を投与した場合
イ 関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎又はキャッスルマン病の患者に対してトシリズマブ製剤を投与した場合
ウ 関節リウマチの患者に対してアバタセプト製剤を投与した場合』
・平成28年(エ 多発性硬化症の患者に対してナタリズマブ製剤を投与した場合:追加)
・令和2年(オ 全身性エリテマトーデスの患者に対してベリムマブ製剤を投与した場合:追加)
《厚労省の担当者が知らないせいで改定された例と間違ったまま通知されている例》
● 『摂食機能療法の対象者の定義変更』(平成28年・30年の改定)
「医科点数表」上の「脳血管疾患等」の解釈を厚生労働省の担当者が、「知らなかった。」事が原因の一連の改定です。
『摂食機能療法の対象者が制限されました。』
https://ameblo.jp/yakinuku/entry-12537479984.html?frm=theme
● 『厚生労働省の数年にわたる間違い』
地域包括ケア病棟入院料の急性期患者支援病床初期加算
(明細書記載要領の記載例の誤り)
https://ameblo.jp/yakinuku/entry-12846212761.html
(過去の)
介護老人保健施設での抗悪性腫瘍剤の扱い
https://ameblo.jp/yakinuku/entry-12603545038.html?frm=theme