糖尿病の投薬について
まず、初めに、インスリンから(後半は、参考:「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)」)
インスリンが標的臓器としている「肝臓、脂肪組織、骨格筋」のそれぞれの組織のインスリン取り込みとその後の血糖値の低下のメカニズム
インスリンは、体内の血糖値を下げる唯一のホルモンです。食事によって血糖値が上がると、このインスリンが膵臓から分泌され、ブドウ糖を肝臓、脂肪組織、骨格筋といった標的臓器へ取り込ませグリコーゲンとして蓄えることで血糖値を低下させます。
● 肝臓では、空腹時、糖の新生と蓄積されたグリコーゲンを分解し、ブドウ糖として血中に放出するが、インスリンによって、放出を抑えることにより、血糖値が維持される。
● 骨格筋では、
食後時の血糖値の上昇により
「ブドウ糖輸送体であるGLUT4が各組織の細胞膜に現れて、細胞膜にブドウ糖を取り込み」エネルギーとして使われたり、グリコーゲンとして蓄えられ血糖値が下がる。
また、運動はインスリンとは別に「GLUT4が各組織の細胞膜に現れて、細胞膜にブドウ糖を取り込み」血糖値を下げる。
● 脂肪組織では
ブドウ糖は、脂肪内では中性脂肪として蓄積される。
食後血糖値の上昇により
「ブドウ糖輸送体であるGLUT4が各組織の細胞膜に現れて、細胞膜にブドウ糖を取り込み」中性脂肪として蓄えられ血糖値が下がる。
(1) 「2型糖尿病」の適応薬で1型糖尿病では、認められない。
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを作る細胞(β細胞)が壊れてしまい、インスリンをほとんど、または全く作れなくなる病気です。
したがって、「インスリンの分泌を促進する薬剤」である(⑴ DPP-4阻害薬、⑶ スルホニル尿素(SU)薬 ⑷ GLP-1作動薬)は、適応がありませんので、認められない。
● 「⑴ DPP-4阻害薬、⑷ GLP-1作動薬」は、インクレチン関連薬です。
「インクレチン」は、小腸から分泌される「GLP-1」と「GIP」という2種類のホルモンで高血糖(食後)の時にインスリン分泌促進作用がある。
インスリン分泌されると血糖降下作用が働きます。また、食欲抑制作用もあります。(ホルモンにもありますが、GLP-1受容体作動薬は、より強力にとなります。)
つまり、インクレチンは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の2種類の消化管ホルモンの総称です。
食後に血糖値が上昇した際に、膵臓からのインスリン分泌を促進し、血糖値を下げる作用があります。(膵細胞にあるインクレチンの受容体と結合しインスリン分泌を促進します。したがって、GLP-1の補強する薬剤をGLP-1受容体作動薬」と言います。
GIPは、有用性の問題から研究が進んでなく薬剤はないがGLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用する「GIP/GLP-1受容体作動薬」(デュアルアゴニスト)の開発が進み、すでに「チルゼパチド」(商品名:マンジャロ®)が承認・発売されている。)
ただ、DPP-4という全身の細胞膜にある酵素(化学反応を促進させる)は、「インクレチン」を速やかに分解(数分から十数分)し無効化して低血糖にならないよう調整している。
健常者にとっては、有為な調整だが、インスリン分泌能力が低下している2型糖尿病患者にとっては、DPP-4の作用を抑えてインスリン分泌を促進する必要があります。
そのため、DPP-4阻害薬は、このDPP-4の働きを抑えることで、インクレチンの分解を遅らせ、体内のインクレチン濃度を高めます。結果、インスリン分泌を促進します。
これらインクレチンの補強である「GLP-1受容体作動薬」や「GIP/GLP-1受容体作動薬」及び「DPP-4阻害薬」は「インクレチン関連薬」と言われ(インスリン分泌機能が破壊されていない)2型糖尿病の治療に使われる薬剤です。(「GLP-1受容体作動薬」と「DPP-4阻害薬」の併用は、国保の「審査情報提供」では、認められていません。「併用で効果が増強されるというエビデンスもなく、「GLP-1受容体作動薬」の注射剤だけで効果は十分である。」としている。)
●「⑵SGLT2阻害薬(1型糖尿病に適応のある薬剤を除く。)」
「SGLT2阻害薬」は、血中の糖を腎臓で再吸収させる「SGLT2」という腎臓の尿細管にあるタンパク質で糖を尿として排泄せず、再吸収する作用(血糖となる)がありますが、「SGLT2阻害薬」は、この再吸収を阻止し、糖を尿として排泄し、高血糖を防ぎます。(糖を尿で排出する薬理作用なので、1型糖尿病にも適応となる薬剤もあるが、1型糖尿病患者(インスリンは、継続が必要)では、副作用としては、低血糖とケトアシドーシスが懸念されており、一部の薬剤のみ1型糖尿病に適応あり。)
●「⑶ スルホニル尿素(SU)薬」
SU剤(スルホニル尿素系製剤)は、インスリン分泌促進薬ですが、インクレチンは、高血糖の時に分泌されるインスリン分泌促進ホルモンですが、SU剤は、インスリン分泌を長い間(12~24時間以上)強力に増やし、持続的に血糖を下げます。重い低血糖に注意が必要です。内服も1日1回か2回(1日1回又は2回食前又は後)となっています。
いずれにしても、「インスリン分泌促進薬」ですので、「1型糖尿病」に適応はありません。
※(参考) 糖尿病に対するグリニド薬とSU剤(スルホニル尿素系製剤)の併用(支払基金)
https://ameblo.jp/yakinuku/entry-12916346962.html
(2)は、「2型糖尿病」で作用機序が同一の薬剤の併算定は認められない。
● 「④ SGLT2阻害薬 ⑤ DPP-4阻害薬又はGLP-1受容体作動薬」は、上記の(1)に説明あり。
● 「①チアゾリジン薬」
インスリン抵抗性改善:筋肉・脂肪細胞などに作用し、全身のインスリン感受性を高める
(インスリン抵抗性改善剤ですので、インスリンの効きが悪い「インスリン抵抗性」に適応です。)
薬剤例:アクトスOD錠15・30
(薬効分類名:インスリン抵抗性改善剤-2型糖尿病治療剤-:1日1回朝食前又は朝食後に経口投与)
● 「② ビグアナイド薬」
主として肝臓での糖新生を抑え、筋肉や脂肪組織でのインスリンの効き目を高め、小腸から糖を血液中に取り込み抑制(1日2~3回食後)
薬剤例:メトグルコ錠250mg・500㎎:薬効分類名:ビグアナイド系経口血糖降下剤
(〈2型糖尿病〉通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日500mgより開始し、1日2~3回に分割して食直前又は食後に経口投与)
● 「③αグルコシダーゼ阻害薬」(薬効分類名:食後過血糖改善剤)
腸から糖が吸収されるのを遅らせて(食事で摂った糖質が小腸でブドウ糖へと分解されるのを遅らせる。)、食後の血糖を下げます。
● 「⑥グリニド薬(速攻型インスリン分泌促進薬)」
インスリンの分泌を短い間(3〜4時間)増やし、食後の血糖を下げます。低血糖に注意が必要です。(毎食前服用)持続的に血糖を下げます。SU剤(スルホニル尿素系製剤)と同じく、インスリン分泌促進薬ですが、「インクレチン関連薬」は、高血糖時ですが、血糖値に関係なく、持続的に血糖を下げます。
※ 「①チアゾリジン薬」と「② ビグアナイド薬」は、共に、インスリンの効き目を高めるものですが、「ビグアナイド薬」は、「主として肝臓での糖新生」で「チアゾリジン薬」は、筋肉・脂肪細胞などに作用し、全身のインスリン感受性を高めるもので、「チアゾリジン薬」と「ビグアナイド薬」の「配合剤」もあるものです。
(3)は、「原則として、DPP-4阻害剤と抗GLP-1受容体作動薬の併用は認められない。」(国保の審査情報提供)
(2)では、「同一種類(作用機序が同一)の経口血糖降下薬の併用投与は、原則として認められない。」として
「⑤ DPP-4阻害薬又はGLP-1受容体作動薬」では、2剤の経口血糖降下薬の併用は認められないとありますが、これは、経口薬ですが、(3)では
『 GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害剤に比べ、インクレチンの血中濃度が2~3倍程度上昇するといわれており、注射薬のみで効果は十分と考える。』
とあるように、「注射薬」と「錠剤」の併用は認めないとしています。(「GLP-1受容体作動薬」のほとんどは注射薬で1種類だけ錠剤がある。)
(4)は、「糖尿病治療剤とインスリン製剤の併用投与は臨床的に有用であると考えられる。」
「糖尿病治療剤とインスリン製剤の併用投与は臨床的に有用であると考えられる。」として、2型糖尿病に対する「インスリン製剤」と以下の「糖尿病治療剤」との併用は原則認められる。
⑴ ビグアナイド薬 ⑵ チアゾリジン薬 ⑶ スルホニル尿素(SU)薬 ⑷ グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬) ⑸ DPP-4阻害薬 ⑹ α-グルコシダーゼ阻害薬 ⑺ GLP-1受容体作動薬
(5)「原則として、インスリン投与中の2型糖尿病に対するスルホニル尿素(SU)剤は認められる。」
上記(4)でも「インスリン製剤」と「スルホニル尿素(SU)薬」は、認められる。となっているが、「国保の審査情報提供」で、根拠として『スルホルニル尿素剤(SU剤)はインスリンの分泌の促進により血糖値を下げる効果があり、インスリン製剤とは作用が異なる。』
として原則認められる。
(6)「2型糖尿病性腎症に対するイミダプリル塩酸塩錠(タナトリル錠2.5、5mg)の算定は、原則として認められない。」
適応は「1型糖尿病性腎症」であり、「2型糖尿病性腎症」では、認められない。
(7)「腎機能障害又は、腎機能低下でDPP-4阻害薬の通常投与量の算定は、原則として認められる。」
DPP-4阻害薬のジャヌビア錠は、腎排泄型薬剤であるので、腎障害の程度により投与量の調節が必要とのことだが、「腎機能障害又は、腎機能低下」では、通常量でいいとのことだが、レセプトの病名では、「重度の腎機能障害」が、「腎不全」又は「末期の腎不全」で、それ以外は、「腎機能障害」又は、「腎機能低下」で、「中程度」と表示しない限り「中程度」と見なさないようです。(なぜかと言えば、「中程度以上の腎機能障害」は、投与量の調整が必要としているが、「腎機能障害」又は、「腎機能低下」では、通常量が認められることから判断できる。)
(8)「1型糖尿病に対する糖尿病治療剤(チアゾリジン薬)の算定は、原則として認められない。」
チアゾリジン薬は、インスリンの効きの悪い(インスリン抵抗性)の改善剤で「インスリン抵抗性改善剤」と言います。PPARγ(ピーピーエーアールガンマ)というタンパク質の一種に働きかけ脂肪細胞の働きを調節し、インスリンの効きの良くなる細胞に変化させます。
具体的には、インスリンの働きを悪くする原因の一つある遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)を減らし、インスリン抵抗性を改善します。
また、インスリンの働きを悪化させる「組織壊死因子-α (TNF-α)」や「炎症性サイトカイン」と言われる、体が炎症を起こしたときに増える物質の分泌を抑えます。
更に、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、インスリンの感受性を高め、血糖値を下げる働きがある「アディポネクチン」の分泌を促進します。
このため、チアゾリジン薬は、特に肥満や内臓脂肪の蓄積があり、インスリン抵抗性が強いと考えられる2型糖尿病患者さんの治療に用いられます。(したがって、適応は「2型糖尿病」です。)
(9)「1 型糖尿病に対するグルファスト錠(グリニド薬)の投与は、原則として認められない。」
(2)の概要説明にもある通り「速攻型インスリン分泌促進薬」ですので、インスリン分泌細胞の膵β細胞の破壊されて、機能していない「1型糖尿病」には適応がない
≪参考:支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)≫
(1)【 投薬 】 支払基金・国保統一事例 《令和6年7月31日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_55.pdf
【国保】審査情報提供《令和6年6月6日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/250328_7112_ika_touyaku_F-72.pdf
229 1型糖尿病(インスリン抵抗性の記載がある場合を含む。)に対する糖尿病治療剤(DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、SU薬、GLP-1作動薬)の算定について
○ 取扱い
1型糖尿病(インスリン抵抗性の記載がある場合を含む。)に対する次の糖尿病治療剤の算定は、原則として認められない。
⑴ DPP-4阻害薬 ⑵ SGLT2阻害薬(1型糖尿病に適応のある薬剤を除く。) ⑶ スルホニル尿素(SU)薬 ⑷ GLP-1作動薬
○ 取扱いを作成した根拠等
1型糖尿病では、膵β細胞の破壊によるインスリン枯渇状態が基盤にある。 DPP-4阻害薬、スルホニル尿素(SU剤)、GLP-1作動薬は、いずれも機能不全に陥っている膵β細胞に対してインスリン分泌を促すものであり、1型糖尿病では、その効果は期待できない。
またSGLT2阻害薬は、近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑制し、尿中排泄(濃度)を高める。結果として易感染性の高い1型糖尿病では、尿路・生殖器感染症の合併頻度が高くなる。 また副作用としてケトアシドーシスの発生も知られている。
以上のことから、1型糖尿病(インスリン抵抗性の記載がある場合を含む。) に対する上記糖尿病治療剤の算定は、原則として認められないと判断した。
(2)【 投薬 】支払基金・国保統一事例 《令和7年4月30日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_164.pdf
【国保】審査情報提供《令和7年3月6日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/251021_7112_ika_touyaku_F-165.pdf
522 経口血糖降下薬(2型糖尿病)の併用投与について
○ 取扱い
2型糖尿病に対する同一種類の経口血糖降下薬※の併用投与は、原則として認められない。 (※) 経口血糖降下薬の種類は以下のとおり
① チアゾリジン薬 ② ビグアナイド薬 ③ α-グルコシダーゼ阻害薬 ④ SGLT2阻害薬 ⑤ DPP-4阻害薬又はGLP-1受容体作動薬 ⑥ スルホニル尿素(SU)薬又はグリニド薬(速攻型インスリン分泌促進薬)
○ 取扱いを作成した根拠等
経口血糖降下薬は、作用機序や作用臓器により数種に分類される。糖尿病の薬剤療法については、「糖尿病標準診療マニュアル」に、単剤から投与を開始して反応に応じて種類の異なる薬剤を追加する旨記載されており、作用機序の異なる種類の経口血糖降下薬の併用投与は有用と考えられるが、作用機序が同一である経口血糖降下薬の併用投与の臨床的有用性は低いと考えられる。
以上のことから、2型糖尿病に対する上記の同一種類の経口血糖降下薬の併用投与は、原則として認められないと判断した。
(3)【国保】 審査情報提供《令和4年9月26日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/250328_7112_ika_touyaku_F-32.pdf
F-32 DPP-4阻害剤と抗GLP-1受容体作動薬の併用
○ 取扱い
原則として、DPP-4阻害剤と抗GLP-1受容体作動薬の併用は認められない。
○ 取扱いの根拠
いずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有するインクレチン関連薬であり、併用により効果が増強するといったエビデンスもない。
GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害剤に比べ、インクレチンの血中濃度が2~3倍程度上昇するといわれており、注射薬のみで効果は十分と考える。
(編注)
※ インクレチン関連薬は、糖尿病治療薬の一種です。血糖値が高いときだけインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる働きをするホルモンであるインクレチン*の作用(食事を摂取した際に腸から分泌されるホルモンで、膵臓に作用しインスリン分泌を促します。)を利用した薬です。
|
種類 |
作用メカニズム |
投与方法 |
|
DPP-4阻害薬 |
インクレチンを分解する酵素「DPP-4」の働きを抑え、体内のインクレチン濃度を上げることで、インスリン分泌を促進する。 |
飲み薬 |
|
GLP-1受容体作動薬 |
分解されにくい構造のGLP-1(インクレチンの一種)を直接補充し、膵臓のGLP-1受容体に作用してインスリン分泌を促す。 |
注射薬 |
(4)【 投薬 】 支払基金・国保統一事例 《令和7年10月31日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_203.pdf
【国保】審査情報提供《令和7年12月4日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/260226_7112_ika_touyaku_F-215.pdf
701 糖尿病治療剤とインスリン製剤の併用投与について
○ 取扱い
2型糖尿病に対する次の糖尿病治療剤とインスリン製剤の併用投与は、原則として認められる。
⑴ ビグアナイド薬 ⑵ チアゾリジン薬 ⑶ スルホニル尿素(SU)薬 ⑷ グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬) ⑸ DPP-4阻害薬 ⑹ α-グルコシダーゼ阻害薬 ⑺ GLP-1受容体作動薬
○ 取扱いを作成した根拠等
2型糖尿病は、過食や運動不足といった生活習慣の乱れに伴い、インスリンが相対的不足に陥った場合に発症する。
糖尿病の薬物療法については、「糖尿病標準診療マニュアル2025」に、経口血糖降下薬の単剤で開始し反応に応じて次のステップで種類の異なる薬剤を追加する旨、また、インスリンの適応か否かは各ステップでも考慮する旨記載されており、糖尿病治療剤とインスリン製剤の併用投与は臨床的に有用であると考えられる。
以上のことから、2型糖尿病に対する上記糖尿病治療剤とインスリン製剤の併用投与は、原則として認められると判断した。
(5)【国保】 審査情報提供《令和7年8月28日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/251021_7112_ika_touyaku_F-198.pdf
F-198 スルホニル尿素剤(インスリン投与中の患者)
○ 取扱い
原則として、インスリン投与中の2型糖尿病に対するスルホニル尿素(SU)剤は認められる。
○ 取扱いの根拠
スルホルニル尿素剤(SU剤)はインスリンの分泌の促進により血糖値を下げる効果があり、インスリン製剤とは作用が異なる。
2型糖尿病患者においてインスリン分泌の状態に応じインスリン製剤投与中にSU剤を併用することは認められると整理した。
(6)【 投薬 】 支払基金・国保統一事例 《令和6年10月31日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_93.pdf
【国保】審査情報提供《令和6年8月29日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/250328_7112_ika_touyaku_F-105.pdf
335 2型糖尿病性腎症に対するイミダプリル塩酸塩錠の算定について
○ 取扱い
2型糖尿病性腎症に対するイミダプリル塩酸塩錠(タナトリル錠2.5、5mg)の算定は、原則として認められない。
○ 取扱いを作成した根拠等
イミダプリル塩酸塩錠(タナトリル錠2.5、5mg)は、腎臓のACE活性阻害作用などにより糖尿病性腎症の改善作用を有するが、糖尿病性腎症に関する添付文書の効能・効果は「1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症」であり、「2型 糖尿病性腎症」に適応はない。
以上のことから、2型糖尿病性腎症に対するイミダプリル塩酸塩錠(タナトリル錠2.5、5mg)の算定は、原則として認められないと判断した。
(編注)※ 「タナトリル錠2.5・タナトリル錠5」の効能効果:高血圧症、腎実質性高血圧症、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症。ですが、「タナトリル錠10」では、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症は、ない。
(7)【 投薬 】 支払基金・国保統一事例 《令和7年5月30日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_169.pdf
【国保】審査情報提供《令和7年5月29日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/251021_7112_ika_touyaku_F-177.pdf
550 DPP-4阻害薬(腎機能低下等)の算定について
○ 取扱い
次の傷病名に対する、DPP-4阻害薬の通常投与量の算定は、原則として認められる。
⑴ 腎機能低下 ⑵ 腎機能障害
○ 取扱いを作成した根拠等
DPP-4阻害薬のジャヌビア錠は、腎排泄型薬剤であることより、添付文書の重要な基本的注意に「腎機能障害のある患者では本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがあるので、腎機能を定期的に検査することが望ましい」旨、また、特定の背景を有する患者に関する注意には「中等度腎機能障害又は重度腎機能障害のある患者、血液透析又は腹膜透析を要する末期腎不全の患者」には「適切な用量調節を行う」旨記載されている。
また、「糖尿病標準診療マニュアル2025」の糖尿病の治療の流れには、「腎機能を勘案した通常量から開始」する旨記載されており、腎機能障害や腎機能が低下している患者に対して、当該医薬品の通常量の投与は、臨床上妥当と考えられる。
以上のことから、上記傷病名に対する、DPP-4阻害薬の通常投与量の算定は、原則として認められると判断した。
(8)【 投薬 】 支払基金・国保統一事例 《令和6年11月29日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_102.pdf
【国保】審査情報提供《令和6年12月5日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/250328_7112_ika_touyaku_F-116.pdf
378 1型糖尿病に対する糖尿病治療剤(チアゾリジン薬)の算定について
○ 取扱い
1型糖尿病に対する糖尿病治療剤(チアゾリジン薬)の算定は、原則として認められない。
○ 取扱いを作成した根拠等
糖尿病治療剤(チアゾリジン薬)はPPARγと呼ばれる核内受容体型転写因子作用を活性化し、結果として脂肪組織の質を改善し、同時に遊離脂肪酸、組織壊死因子-α(TNF-α)、炎症性サイトカインの分泌を抑制する一方で、アディポネクチンの分泌を促進させ、インスリン抵抗性を改善させる働きがあることより、肥満・内臓脂肪蓄積が疑われインスリン抵抗性が強いと推測される場合に使用される。
1型糖尿病は、膵β細胞の破壊により、インスリン分泌が枯渇した状態であり、1型糖尿病に対して本薬剤の薬理作用からは血糖低下作用は期待できない。
以上のことから、1型糖尿病に対する糖尿病治療剤(チアゾリジン薬)の算定は、原則として認められないと判断した。
(9)【 投薬 】 支払基金・国保統一事例 《令和4年1月31日》
https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/touyaku_1.files/touyaku_17.pdf
【国保】審査情報提供《令和3年9月 7日新規》
https://www.kokuho.or.jp/inspect/jirei/ika/lib/250328_7112_ika_touyaku_F-23.pdf
36 1型糖尿病に対するグルファスト錠の投与について
○ 取扱い
1 型糖尿病に対するグルファスト錠(一般名:ミチグリニドカルシウム水和物)の投与は、原則として認められない。
○ 取扱いを作成した根拠等
グリニド薬の1つであるグルファスト錠(一般名:ミチグリニドカルシウム水和物)の添付文書における「効能・効果」は「2型糖尿病」であり、「禁忌」欄に「重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者」には投 与しないと記載されている。
また、本薬剤は、膵β細胞のスルホニル尿素受容体への結合を介して、インスリンの分泌を速効的に促進するが、1型糖尿病では膵β細胞の破壊が進んで おり、インスリン分泌が枯渇状態にあるため、その投与効果は期待できない。
以上のことから、1型糖尿病に対するグルファスト錠(一般名:ミチグリニ ドカルシウム水和物)の投与は、原則認められないと判断した。