「特定疾患療養管理料」・「特定疾患処方管理加算」の対象疾患から
「脂質異常症」、「高血圧症」、「糖尿病」が除外された。(令和6年6月改定)

尚、今回「特定疾患」から外れたうちの「脂質異常症」の「家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患」は、「特定疾患」のまま算定できます。(つまり今後も、「家族性」が付く「脂質異常症」は「特定疾患」だと思われます。)

●「特定疾患療養管理料」に代わる点数として(新設)の「生活習慣病管理料(Ⅱ)」が示された。(表1)
 ⇒ 算定イメージは(表2)の通りで、月1回来院の場合、100床未満の病院の場合62点分の増収が見込まれる。(特定疾患療養管理料が225点の診療所では-16点)

※「厚労省」のキャリアーの発想は、大学病院等は入院を診療所は外来患者を という事で、その誘導の仕方が、外来の診療上の「療養管理料」を高くします。(そうすれば、診療所は、外来に力を入れるが、大きな病院には、外来の管理料は算定できなくし、入院料を高くします。結果、大きな病院は、入院に力を入れる。いい政策だと思ったのでしょう。患者さんは、外来で、救急でもないのに負担が高いところへ行きません。)

 患者は、最新技術でなくてもよい診療所で、高い負担金を払うことになります。

 結果、患者さんは、最新の技術で見てもらえると考えられる大学病院等の外来を希望します。

 妊婦加算の時もそうですが、「妊婦を優遇するため?」妊婦の診療に加算点を付けました。「妊婦のために考えたもの」ですが、妊婦の負担金が増えるだけという事に気が付きません。すぐ、廃止になりましたが、改定時には、新設された点数でした。

 「生活習慣病管理料(Ⅰ)」も大学病院等では算定できない点数で、流石に「診療所」等でも「患者に勧められない:理解されない」点数なので算定する医療機関は、少ない。多分算定されているのは生保(生活保護)の患者さんでしょう。「患者負担」がありませんから、苦情も出ません。

 しかし、「厚労省」のキャリアーが考えた「算定項目」です。「点数を下げ」て「高血圧症」、「脂質異常症」、「糖尿病」を「特定疾患療養管理料」の対象から外して、「生活習慣病管理料(Ⅱ)」として(懲りずに)出しました。:どうなることやら。


 従前からある「生活習慣病管理料(Ⅰ)」は、「高点数」であることと、「療養計画書」の作成・説明・同意・署名が必要であり、患者さんの理解を得られず算定医療機関は少なかった。(患者にとっては、特に「負担金額」が問題。病院では、「療養計画書」の交付が問題である。)
⇒ 「医療機関」では、R6.3.5の「告示」・「通知」で「生活習慣病管理料(Ⅱ)」については「療養計画書」の「概ね4月に1回以上は交付」が必要であることが削除される期待があったが、(Ⅰ)も(Ⅱ)も同じであることがR6.3.5の通知等ではっきりした。異なる点は、「点数」と(Ⅰ)では「検査・注射・病理診断の費用」が包括であるが、(Ⅱ)では「包括されず」算定できる点でしかない。

(表1)生活習慣病管理料の(1)と(2)                        
生活習慣病管理料(Ⅰ)(改定後の点数)
脂質異常症:610点
高血圧症 :660点
糖尿病  :760点
・外来管理加算、特定疾患処方管理加算
⇒ 算定できない
・検査・注射・病理診断の費用
⇒ 包括される
・療養計画書の作成
⇒ 概ね4か月に1度必要

生活習慣病管理料(Ⅱ)333点 (新設)
・外来管理加算、特定疾患処方管理加算
⇒ 算定できない
・検査・注射・病理診断の費用
⇒ 包括されない
・療養計画書の作成
⇒ 概ね4か月に1度必要

(表2)改定前と改定後の点数。
【現行の算定イメージ】
・再診料 73点
・外来管理加算52点
・特定疾患療養管理料(100床未満) 147点
・処方箋料 68点
・特定疾患処方管理加算2        66点

合計 406点

【改定後の算定イメージ】
・再診料 ⇒75(+2点)
・外来管理加算52点 ⇒ 削除
・特定疾患療養管理料(100床未満) 147点
           ⇒ 生活習慣病管理料(Ⅱ)333点
・処方箋料 68点 ⇒ 60点(-8点)
・特定疾患処方管理加算2  66点 ⇒ 削除

合計 468点  (+62)