「アルバイト家庭教師について」で記載したとおり、多くの家庭教師センターでは、会社と先生との間に「雇用契約」ではなく、「業務請負契約」を交わしています。(「雇用」ではないので「アルバイト」という表記はおかしいのですが、分かりやすく「アルバイト家庭教師」と記載させて頂きます。)
契約的には、生徒保護者が生徒に学習指導する業務を家庭教師センターに委託し、その委託された業務を、家庭教師センターが先生に委託(外注)するという形態になっている場合が多いようです。(少数ですが、「雇用契約」を結んでいるセンターもあります)
「雇用契約」に基づく収入は「給与所得」となり、一定額以上の月額となった場合は、雇用主である事業所が所得税の源泉徴収を行います。源泉徴収により毎月、源泉所得税を給与から差し引いて国に納め、年末に「年末調整」で税額を確定し調整します。「年末調整」は、一社でしか働いていないことを前提としたシステムですので、複数の事業所から給与所得を得ている場合などは、働いている本人が翌年に「確定申告」をして税額の調整を行います。
一方、「家庭教師」のような「業務請負契約」に基づく収入は、「事業所得」もしくは「雑収入」という扱いになります。「事業所得」というと「お店を経営している場合など」の収入のイメージがありますが、家庭教師のバイトもこれらと同じ「個人事業主」と同じ扱いになります。
アルバイト家庭教師で得られる収入は、「給与」ではなく「報酬」となります。前述のとおり、「給与所得」の場合は毎月雇用主が国に代わり源泉徴収を行いますが、「報酬」「事業所得」(家庭教師センターから見れば外注費)の場合は、家庭教師センターは源泉徴収を行わないケースがあります。
毎月の家庭教師代から源泉所得税が引かれない為、「税金がかからない」と勘違いしている家庭教師の先生も多いようですが、年間の報酬総額が一定以上になった場合は、税金が発生します。
家庭教師のバイトをしていて、「源泉徴収」も「年末調整」もない場合は、自ら確定申告を行って税金を納める事になります。納税していないことが発覚すると、翌年以降に追徴金を含めた納税を強いられる可能性があります。(時効は7年)
ちなみに、給与所得者の確定申告時の書類は「給与支払報告書」などとなりますが、業務委託による家庭教師の場合は「支払調書」(正式名称は報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書)や独自形式の物(「委託支払証明書」など)となります。確定申告や大学への奨学金申請、親の扶養控除の証明などで報酬額の証明が必要な場合は、家庭教師センターに「支払調書」などの発行を依頼しましょう。
社会人が副業で家庭教師をしている場合は、「雑所得」となり、年間20万円を超えると所得税がかかってきます。
家庭教師のバイトをしている学生さんの中には、給与所得控除55万円+基礎控除48万円=年間103万円を超えなければ税金がかからないと思っている人が多いようですが、「家庭教師のバイト代」は「給与」ではない場合が多いので、その場合は「給与所得控除」の適用対象外となります。これだけですと、課税対象のポーターラインは、年間103万円ではなく年間48万円となります。(※2020年に基礎控除が10万円アップし、給与所得控除が10万円ダウンしました)
もっとも、家庭教師センターとの契約内容によっては、「事業所得等の所得計算の特例(租税特別措置法第27条)」で定める「特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行う者」にあたり、給与所得など他の収入がない場合は55万円が経費として認められ、基礎控除48万円と合わせて年間103万円までであれば所得税がかからない場合もあります。
尚、上記の本人の税金の問題に加えて、年間48万円を超えると親の扶養を外れてしまい、親の税金が高くなるという問題も発生する点にもご注意下さい。
[大学生本人の年齢]
19歳未満 → 親の扶養控除:38万円
19歳以上23歳未満 → 親の扶養控除:63万円
23歳以上 → 親の扶養控除:38万円
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