昨年の8月15日にリリース告知され,その週末にリリースされたレッド・ツェッペリンの1971年北米ツアーの定番中の定番音源.

 1971年北米ツアー前の,8月7日,8日の 2日間ウォーム・アップ的に行われたスイスはモントルーのモントルー・カジノ公演を終えたレッド・ツェッペリンは,8月19日カナダはブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーのパシフィック・コロシアム公演を皮切りに 9月17日ハワイはホノルルのシビック・オーディトリウム公演まで約 1ヵ月間,初来日直前の北米ツアーを行います.
 
 今回は,この北米ツアー中盤に当たる 8月31日フロリダ州はオーランドのスポーツ・スタジアム公演をサウンドボードで収録した 『 Orlando 1971 (No Label)

 実はリリース当時には購入するつもりは無かったのですが,2月8日に柏木公演近くのBF(:Blind Faith)からリリースされた,1971年9月29日大阪フェスティバル・ホールの ”Immigrant Song” の サウンドボード(:SBD)音源を聴いて,偶には SBD音源も良いかもと思い,特に今回はイコライズを施していないとの情報もあった関係で購入.
 当然,古くに出回っている同日の音源は自宅を探せば何種類か出てくるはず.(笑)

 1971年8月の公演なので,ロバート・プラントのハイ・トーン・ヴォイスも健在で,バンドの演奏も悪い訳がありません.
 ただ SBD と言っても,PA卓直結なのか,音は粗いですが....

 メーカー情報では
 『今週当店からのZEPリリースは1971年8月31日のオーランド公演を捉えたサウンドボード録音となります。
 と来れば「ああ、FLORIDA SUNSHINEのSBDね」…その通りです。既に15年に渡ってそれが市場を席巻した感のあるSBD音源。
 そちらのタイトルを持っておられるマニアも多数であるかと思われます。何故、この有名SBDを今更?と思われることでしょうが、今回は近年ネット上に現れたバージョンを元にし、改めて同日のオーディエンス録音とハイブリッドに組み合わせたバージョンのリリースとなるのです。
 もちろん今回も「Celebration Day」以降に生じていた録音の欠損などは全く変わらない。これに関してはPAアウトからのSBD録音に際し、スタッフが一本目のカセットが終わった後での掛け替えを忘れていたことから起きたハプニングであることは明白かと。
 そもそもがリリースを前提とした録音行為ではなく、あくまでPAのチェックや記録用としてカセットに収めていたもの。そういった欠損があるのは当然ですし、77年の「DESTROYER」における「The Song Remains The Same」の冒頭部分と同じように、そこが今後発見されることは永遠にあり得ません。これはPAアウトのSBD音源において宿命とも言える現象でしょう。

 それでもなお、今回のバージョンは限定のプレスCDにてリリースされるべき価値を大いに含んだもの。
 それというのも、今回のSBDパートはネット上でおなじみKRW_COが自身の所有するテープ・コレクションから、さる7月に公開したもの。
 KRW_CO言えば1979年コペンハーゲンのベスト・バージョンをネット上にアップロードしてくれ、しかもそれを当店が「COPENHAGEN 1979」としてリリースしてみせたのも記憶に新しいところ。
 そんな彼でも今回のオーランドSBDは「ジェネレーション不明」とのことですが、どっこい明確なアッパー感が感じられる素晴らしい状態。それというのも「FLORIDA SUNSHINE」がリリースされた時代はまさにイコライズ・ウォーズと呼ぶべき時期。それ加えて71年アメリカ・ツアーからの初登場SBDともなれば、イコライズが施されてしまうのも致し方ありません。さらには音像の次元がまるで違うオーディエンス録音と複合させなければならないのだから、少しでも格差を緩和させる為にはイコライズが必須であったのは当然というもの。

 一方でリリースから15年が経過した現在、そのイコライズに違和感を覚えるのも当然のこと。
 その点、今回のKRW_COバージョンのナチュラルで俄然ウォーミーな味わいは聞き比べてみれば一目瞭然。オーランドSBDの登場によって71年アメリカ・ツアーはトロントとハンプトンの三羽烏状態となりました。
 当店からのリリースが記憶に新しいハンプトンは粗さをたたえた質感だったのに対し、トロントは暗さすら感じさせるほどの、しっとり録音。オーランドSBDはその間を行く音質だと例えられるもの。それが今回のKRW_COバージョンのナチュラルな味わいによって、より一層際立つ結果となりました。
 しかもSBDですので、1971年までのボンゾのスネア・ドラムの特徴であった高音が抜けるように響く音色も実に生々しく捉えてくれる。この音色が72年以降から変わり、よりヘヴィネスを強めた質感に変わったことで、あのボンゾ・ドラムのイメージが定着したのです。
 そういった意味では、ここで聞かれる71年特有のスネアの響きが今回のナチュラルな状態によって、より一層リアルに伝わってくるのも大きな魅力でしょう。

 さらにオーディエンス録音による欠損箇所の補填に関しては、オーランド公演を世に知らしめた懐かしのアイテム「WELCOME TO DISNEYLAND PARTS 1 & 2」を流用。実はこれがナチュラルな状態であったということが最大の要因です。これら二種類の音源どちらもイコライズに頼らない、あくまでナチュラルな状態を活かした編集を施した結果、かつてないほど素直な音質でオーランド公演を楽しめるようになりました。もう一つ付け加えておかなければならないのは、それぞれの音源が抱えていたピッチの狂いもまた、かつてないほど正確にアジャストされているということ。
 SBDの方は録音が再開された「What Is and What Should Never Be」以降にピッチの上昇があったかと思えば、今度は「Organ Solo」においてピッチが下がってしまいます。AUDの方はと言えば、これがもうぐちゃぐちゃ。よって単なる音源のナチュラルな状態だけにとどまらず、二種類の音源がどちらも終始安定したピッチで収録されているという点も今回のリリースの大きなアドバンテージであるのです。

 そうした安定の状態で聞けるオーランド公演は本当に素晴らしい!71年アメリカSBD三羽烏の中において、もっとも暴走気味な演奏が聞かれるという点は当初から定評がありましたが、オープニングから演奏は明らかにワイルド。この一端を担うのはペイジ。基本的にフレーズが滑らかだった71年の中においても、音数の多さが一層際立ちます。いつも「Heartbreaker」の合間で爪弾くのが当たり前なバッハの「Bourree」を「Dazed And Confused」の弓弾き時にまで奏で、さらにはエンディングで「White Summer」まで弾き出すというハッスルぶり。71年ならではと言うべきプラントのスクリーミング・ボイスと共に爆発する「Black Dog」至っては、文字通り勢いが余って演奏の行方が怪しくなってしまうほどですが、それがまた爽快に映るのがまた71年ならでは。
 それだけにオーランドSBDの持病と呼べる「Celebration Day」以降のカット(オーディエンス録音の方もカットが起きてしまう)が悔やまれてならないのですが、AUDパートにおいてもペイジがキンクスの「You Really Got Me」リフを弾き出す様子が聞かれ、さらにSBDに戻った「Whole Lotta Love」の冒頭では「How Many More Times」の後半っぽいリフを弾くといった、いつになくご機嫌で余裕たっぷりなプレイが捉えられています。永遠の名演929をいよいよ一か月後に控え、アメリカでも爆裂するZEPの様子を捉えた定番SBDの新たなアッパー版がここに登場。これはとにかく聞いてみてほしい!』

Orlando 1971 (No Label)
 
 Live At Sports Stadium,Orlando,FL,USA 31st August 1971

  Disc 1
   1. Intro.
   2. Immigrant Song
       - Bourree
   3. Heartbreaker
   4. Since I've Been Loving You
   5. Dazed and Confused
       - Mars, The Bringer Of The War
   6. Black Dog
   TOTAL TIME (52:30)

  Disc 2
   1. MC
   2. Stairway to Heaven
   3. Celebration Day
   4. That's the Way
   5. Going to California
   6. What Is and What Should Never Be
   7. Moby Dick
   8. Whole Lotta Love
       - Let That Boy Boogie
       - My Baby Left Me
       - Mess of Blues
   9. Organ Solo
  10. Thank You
  11. Stage Announcements
  TOTAL TIME (79:25)

 Immigrant Song 
 
 Since I've Been Loving You 
 
 Thank You 
 

[参考]
1971 Tour Dates
 March
  05 Ulster Hall,Belfast,UK
  06 National Boxing Stadium,Dublin,UK
  09 Leeds University,Leeds,UK
  10 Kent University Rutherford College,Canterbury,UK
  11 Southampton University (The Old Refectory Student Union Building),Southampton,UK
  13 Bath Pavillion,Bath,UK
  14 Trentham Gardens,Stoke-on-Trent,UK
  18 Mayfair Ballroom,Newcastle,UK
  19 Manchester University,Manchester,UK
  20 The Belfry,Sutton Coldfield,UK
  21 Boat Club,Nottingham,UK
  23 Marquee,London,UK

 April
  01 Paris Cinema Theatre,London,UK

 May
  03 K.B. Hallen,Copenhagen,DENMARK
  04 Fyns Forum,Odense,DENMARK
  10 Liverpool University,Liverpool,UK

 July
  05 Vigorelli Velodrome,Milan,ITALY

 August
  07 Montreux Casino,Montreux,SWITZERLAND
  08 Montreux Casino,Montreux,SWITZERLAND
  19 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,CANADA
  21 The Forum,Inglewood,CA,USA
  22 The Forum,Inglewood,CA,USA
  23 Tarrant County Convention Center,Fort Worth,TX,USA
  24 Memorial Auditorium (Dallas),Dallas,TX,USA
  26 Sam Houston Coliseum,Houston,TX,USA
  27 Convention Arena (Municipal Aud),San Antonio,TX,USA
  29 Municipal Auditorium (LA),New Orleans,LA,USA
  31 Sports Stadium,Orlando,FL,USA

 September
  01 Hollywood Sportatorium,Hollywood,CA,USA
  03 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
  04 Maple Leaf Gardens,Toronto,ON,Canada
  05 Chicago International Amphitheatre,Chicago,IL,USA
  07 Boston Garden,Boston,MA,USA
  09 Hampton Roads Coliseum,Hampton,VA,USA
  10 Onondaga War Memorial,Syracuse,NY,USA
  11 War Memorial Auditorium,Rochester,NY,USA
  12 Community Theatre,Berkeley,CA,USA
  14 Community Theatre,Berkeley,CA,USA
  16 Civic Auditorium (Honolulu),Honolulu,HI,USA
  17 Civic Auditorium (Honolulu),Honolulu,HI,USA
        ::::

[関連記事]
Hampton 1971 (No Label)
 
Montreux 1971 Day 1 (Gift CDR)
 
L.A. Forum 1971 (No Label)
 
Going To California (No Label)
 
Rochester 1971 (Gift CDR)