久々に,レッド・ツェッペリンの1971年北米ツアーのライブがリリースされました.
 
 初来日の 1ヶ月前に当たる,8月21日,22日カリフォルニア州はイングルウッドのザ・フォーラム(通称:LAフォーラム)公演を収録した 『L.A. Forum 1971 (No Label)』 です.

 1993年に Taranturaレーベルから 『Walk Don't Run [L.A. 2 Days] (T4CD-1)』,2008年にも同タイトル 『Walk Don't Run (TCD-81-1/2, TCD-82-1/2)』 で,また1997年に The Diagrams Of Led-Zeppelinレーベルから 『Double Clutch (TDOLZ VOL.038 & 039)』,2009年に Empress Valley Supreme Discレーベルから 『Firecrackers Explosion 1971 (EVSD-305/306/360/361)』 等,各種リリースされています.

 それにしてもレッド・ツェッペリン人気は凄いですねぇ.
 Webに告知があった翌日には予約完売!
 「6/15 ★レッド・ツェッペリン「L.A. FORUM 1971」は予約完売致しました。
 同日に同じくレッド・ツェッペリンの1973年北米ツアーのファースト・レグから,5月14日ルイジアナ州はニューオーリンズ公演を収録した 『New Orleans 1973 (No Label)』も同様に予約完売にはなっています.

 1971年の 8月~9月の演奏は,悪い訳が無く,且つ伝説の L.Aフォーラム公演と言う事で,特に初日は素晴らしい演奏が展開されます.
 この日は,特筆するほど,ロバート・プラントが絶好調ですし,L.Aフォーラムで,初めて演奏された "Stairway To Heaven" には,観客がスタンディング・オベーションで応え,後にジミー・ペイジがそれに感動したと語った日でもあります.

 音質はと言うと,音像は若干遠く,特に初日に当たる 8月21日は,ドラムの音が,割とメインに収録されている関係上,バランス的に悪いのですが,上述したように演奏が素晴らしいので,ファンならば必聴の 1枚ではないでしょうか.

 8月22日の方は,オープニングで "Walk Don't Run" を演奏している事でも有名ですが,丁度,近くでザ・ベンチャーズ (:The Ventures) がライブを行っていた関係で,演奏されたものです.

 メーカー情報では
 『ロバート・プラントを中心として若い勢いでZEPが突っ走った時代の頂点と呼べるのが1971年。
 中でも9月に行われた初来日公演は、それが我が国でのライブということを差し引いても掛け値なしに名演と呼べる時期です。その伏線となったのが8月のアメリカ・ツアー。というか71年のZEPは一年を通して本当に素晴らしい演奏を繰り広げており、しかも後にリリースされてから大スタンダードと化すアルバム「VI」からのナンバーが演奏面と歌唱面の両方からアルバムのアレンジを忠実に演奏していたという時期でありました。端的に言ってしまうと、プラントのスクリームが全開だった最後の年という訳です。その辺りの事情はマニアの方であれば常識であるかと思われます。
 それに、8月のアメリカに到達する前から、既にレコーディングが完了していた「VI」のナンバーをガンガン演奏してみせたというアグレッシブさがまた大きな魅力。今となってはSold Outとなって久しいですが、当店リリースの「Stick Out!」で聴かれたコペンハーゲン公演などがその最たる例でした。さらにアメリカ・ツアー開始前のウォームアップという位置づけで行われたモントルー・カジノでのライブにおいても、プラントが絶好調だったことは、これまたマニアの方によく知られているところ。

 話をアメリカ・ツアーに戻しましょう。大成功を収めた、何よりもブルーベリー・ヒルという画期的な副産物を生み出した前年8月から9月にかけてのアメリカ公演から一年、さらに人気を膨らませたZEPが再び同国を訪れます。結果として散発的なヨーロッパ公演と初来日の合間に挟まれる形となった訳ですが、何しろアメリカが待ちわびていた再訪米ということから、大きな熱狂にZEPは迎えられる形となっています。しかも初日をヴァンクーバー出迎えた後、アメリカ本土で最初の公演地(ワシントンで行われた説あり)となったのが何とLAフォーラム。前年のブルーベリー・ヒル伝説から始まったZEP栄光のライブ会場、今回は人気爆発を反映して初の二日連続公演。その両日をカップリングして限定のプレスCDにてリリースされるのが今回のタイトル。

 両日のオーディエンス録音共にこれまで何度もリリースされてきた、71年アメリカにおける定番音源の一つであります。同一テーパーによって録音されたこれらの音源ですが、これまでジェネ落ちコピーを元にしたせいでヒスノイズ隠ぺいを狙ったイコライズ処理、さらにはピッチの狂いといった問題を常に抱え続けていた音源でもあるのです。特にヒスノイズのレベルが強めだったことが、過去のリリースにおいてイコライズを加えられる原因となっていました。
 しかし今回はどちらもセカンド・ジェネレーションというロウなコピーを元にしており、相変わらずのヒスノイズは存在するものの、随分と聴きやすくなった印象を受けられることでしょう。しかもイコライズを施していませんので、ナチュラル感たっぷりな状態が大きな魅力と言えるかもしれません。むしろ今回のリリースに際して手を加えたのは音量レベルの調整、そして何よりもピッチのアジャストだったのです。

 まず初日に関しては、当日の会場の録音ポジションと出音バランスが関係していたのだと推測されますが、音像がフラットな状態で、一番目立つのがボンゾのドラムスという意外なバランス。中でもバスドラが明瞭に響くという変わった録音状態でした。1970年代が始まり、ビートルズやストーンズによって作られた60年代ロックのサウンドを次のレベルに引き上げたZEPの要となる、彼のキックが聴こえる点は貴重でしょう。しかし全体を通してペイジのギターの音が奥まった音像であり、その点においてマニア向けな感は否めません。ましてや「Dazed And Confused」ではそのバランスが災いし、音楽というよりもボンゾの音がドコドコ、プラントが唸るだけの20分という風に映ってしまう状態がマイナス・ポイントかもしれません。
 またテープ・チェンジのタイミングに当たってしまったことから録音されなかった「Celebration Day」に関してですが、過去のアイテムでは音質がかなり落ちる別ソースで補填されていたものですが、今回は単一ソースのナチュラルな状態の収録がコンセプトですので、敢えて未収録のままとなっています。
 しかし演奏の音像がフラットな分、大好きなLAフォーラムに舞い戻って張り切るプラントの姿が克明に捉えられているのが幸いでしょう。「Black Dog」はこの時点においてもプラントが歌詞を覚えておらず、適当な替え歌を交えながら(あの「sweet jerry roll」のラインすら登場しません)、物凄いハイテンションで歌い切っています。この壮絶な飛ばしっぷりこそが71年の絶頂。
 それどころか「Whole Lotta Love」メドレー以降のプラントはこれ以上ないほどの高みに登り詰めており、観客が盛り上がりすぎて爆竹が鳴らされてもなお、猛然と突き進む圧倒的なプラントの様子が捉えられているのです。カバー「Weekend」に加え、アルバム・バージョンと同じ旋律を軽々と歌い切る「Rock And Roll」のエンディングにおける振り絞るような絶叫など、72年以降の同曲とはまるで別次元すぎで、これにはただ圧倒されるばかり!

 一方で二日目といえば、ライブを始めようとしたところで待ったがかかってしまった場をつなぐために演奏された驚きの「Walk Don’t Run」というハプニングで非常に有名な日ではありますが、ライブ全体で統制の取れた演奏ぶり、そして何より、ペイジのギターを始めとして前日よりも安定した録音バランスによって、より聴きやすい印象を受けるものです。前日の終盤でプラントが飛ばしまくったインパクトが大きすぎることから、前日に軍配を上げるマニアも多いのですが、私個人としては二日目の方が音源面と演奏面の両方でより優れているものだと感じます。先のハプニングを差し引いても、名演と呼ぶにふさわしいショウでしょう。
 それにしても、前日に負けず劣らずのハイパー・パフォーマンスにはここでも圧倒されてしまいます。相変わらず歌詞がめちゃくちゃなまま歌い切る「Black Dog」、さらに73年や75年のような構築されたインプロヴィゼーションの駆け引きこそないものの、フットワークの軽いペイジのプレイが冴え渡る「Dazed And Confused」は前日よりも圧倒的に素晴らしい演奏ですし、前日に続いてアメリカ本土で最初期のライブ披露となった「Stairway To Heaven」の初々しくも真摯な演奏が初めて聴かされたフォーラムの観客をノックアウトしてみせた様子もはっきりと捉えています。実際にペイジは後に、この時の拍手喝采ぶりの反応に感銘を受けたと振り返っていたものです。
 こうして今回、二日連続のカップリング・リリースによって、当時のZEPが同じ会場でも一日違うだけでまるで表情の違う演奏を披露していたことが克明に伝わるリリースという点も、マニアには見逃せません。両日とも、あまりに熱狂するフォーラムの観客に感謝しつつ、それでいて鎮めるかのように演奏された「Thank You」がまた実に感動的!そしてこれまでになくナチュラルな状態かつ正確なピッチでプレスCDに収録されことで、改めてこれら二日間の圧倒的な演奏をじっくりと楽しんでもらえる画期的なアイテムとなることでしょう。当店が過去にリリースしてきたZEPのLAフォーラム音源タイトルから、さらなる名盤が今ここに!』


L.A. Forum 1971 (No Label)
 
 Live At The Forum,Inglewood,CA,USA 21st & 22nd August 1971

 [1971/08/21]
 Disc 1
  1. Introduction
  2. Immigrant Song
  3. Heartbreaker
  4. Since I've Been Loving You
  5. Black Dog
  6. Dazed And Confused
  7. Stairway To Heaven
  8. That's The Way
  9. Going To California
  10. What Is And What Should Never Be
  TOTAL TIME (72:54)

 Disc 2
  1. Whole Lotta Love
  2. Weekend
  3. Rock And Roll
  4. Communication Breakdown
  5. Organ Solo 6. Thank You
  TOTAL TIME (56:14)


 [1971/08/22]
 Disc 3
  1. Introduction
  2. Walk Don't Run
  3. Immigrant Song
  4. Heartbreaker
  5. Since I've Been Loving You
  6. Black Dog
  7. Dazed And Confused
  8. Stairway To Heaven
  9. Celebration Day
  TOTAL TIME (64:09)

 Disc 4
  1. That's The Way
  2. What Is And What Should Never Be
  3. Moby Dick
  4. Whole Lotta Love
  5. Communication Breakdown
  6. Organ Solo
  7. Thank You
  TOTAL TIME (79:36)

 Since I've Been Loving You [Disc 1,Track 4]
  
 Weekend [Disc 2,Track 2]
 
 Rock And Roll [Disc 2,Track 3]
  

 Walk Don't Run [Disc 3,Track 2]
  
 Stairway To Heaven [Disc 3,Track 8]
  
 Communication Breakdown [Disc 4,Track 5]
  

[参考]
 Walk Don't Run [L.A. 2 Days](T4CD-1)
 
 Walk Don't Run (TCD-81-1/2, TCD-82-1/2)
 
 Firecrackers Explosion 1971 (EVSD-305/306/360/361)
 
 Double Clutch (TDOLZ VOL.038 & 039)