前の記事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白の入り江

 

シルビア:んんっもう! なんなの この霧!
なーんにも見えやしない。

カミュ:シルビア! どうした?

シルビア:わからないわ! 急に 霧が出てきたの!
気味が悪い……全速力で抜けるわよ!

ロウ:光じゃ! 霧が晴れるぞ!

セーニャ:ここは いったい……。
 



マルティナ:不思議な所 まるで幻のようだわ……。

ロミア:キナイ キナイなの?

ベロニカ:な…なによ。おどろかせないでよね!
それに お姉さん。
人のカオを見て ため息なんて 失礼よ!

ベロニカ:……あなた! まさか!
に……人魚っ!?

ロミア:あら あなたは 叫ばないのね……。
私を捕まえようとしないし。
めずらしい人……キナイと 一緒ね。
おどろかせて ごめんなさい 私はロミア。
キナイが 来てくれたのかと思って
つい 飛びだしてしまったの。

ベロニカ:ふわ~ビックリ。人魚って 本当にいたのね。
……と それはまぁ 置いといて。
キナイって いったい 誰のこと?

ロミア:キナイは ナギムナー村に住む 人間の漁師。
私は この入り江で 彼を待っているの。
……私たち 結婚の約束をしたんです。

ベロニカ:けっ…結婚!? 人間と人魚が!?
そんな話 聞いたことないわ。

ロミア:そうね。私も最初は そんな約束
かないっこないと思ってた。
私たち人魚には オキテがあるから……。
陸に上がった人魚は
ふたたび 海に戻る時 泡となり消える。
……私たち人魚は 海を離れて生きられない。
でも……それを知った キナイはね
私のために 海底で暮らすと言ってくれたの。
海底王国の女王さまも 許してくださったわ。

マルティナ:なんだか……夢みたいな お話。
素敵ね……ロミア!

ロミア:でも キナイが来ないの。
一緒に 海底王国へ行こうって
この入り江で 待ち合わせをしたのに。
キナイが 約束を破るなんて 一度もなかった。
彼の身に何かあったのかも……。
そう考えると 夜も眠れなくて……。
あの……失礼を承知で お願いがあります!
キナイの様子を 見てきていただけませんか?
私に できることなら なんでもします!

ベロニカ:う~ん。人魚の住む海底王国か……。
ロミア! あなたの頼みを聞いてあげるから
なんとかして あたしたちを
海底王国に連れていってくれない?

ロミア:はい! お安いご用です!
あなた方の船を 人魚に伝わる秘宝で
海にもぐれるようにして 差しあげます!

マルティナ:海底王国に行けば 海底に沈んだオーブの
手がかりが 得られるかもしれないわ。
ロミアの頼みを 聞いてあげましょう?

ロミア:ありがとうございます!
キナイの住んでいる ナギムナー村は
はるか東の ホムスビ山地の海岸にあります。
迷わないよう あなたの地図に
記しを つけておきました。
どうか キナイを 見つけだしてくださいね。
荒波のように男らしく 潮風のように爽やかで
海のように おおらかな漁師が キナイです!
やだ! 私ったら。
キナイには言わないでくださいね。
 


 

ナギムナー村


シルビア:フフフっ! ここが ナギムナー村ね!
ロミアに 聞いた話によると
世界一の真珠が獲れるって 有名だそうよ。

ベロニカ&セーニャ:ステキ!!

シルビア:青い海! 白い砂浜!
きらめく真珠と 屈強な海の男たち!
まさに 地上の楽園ねん!!

シルビア:……って なんだか活気が ないわねぇ?
屈強な海の男たちは
どっこにも 見当たらないし……。

カミュ:何かワケありみたいだな この村は。
……まぁいい。厄介事はゴメンだ。
とりあえず キナイとやらを探そうぜ。
 



子供達:あっ! おばあちゃんだ!
みんなー! 紙芝居が はじまるぞー!

おばあさん:さぁ みんな。静かに よくお聞き。
今から話して 聞かせるのは
この村に伝わる 忌まわしい呪いのお話。
この世で もっとも美しく
もっともおそろしい 生き物の物語じゃ……。

おばあさん:むかし むかし この村に
たいへん ウデのいい漁師がおりました。
漁師は村の誰より 真珠をたくさん獲りました。
村長さんは 漁師を いたく気に入って
自慢のひとり娘と 婚約させました。
娘は 漁師が大好きだったのです。
村長さんは これで ひと安心。
漁師と自慢の娘が 村を豊かにしてくれる。
そう信じておりました。
しかし 突然 平和な日々は消え去りました。
悪魔のような大嵐が 漁師を襲い
真珠と共に 海に放りだされてしまったのです。
漁師は 真っ暗な海に沈んでいきます。
光る真珠が ホタルのように見えました。
漁師が 死を覚悟した……その時です。
漁師の前に 現れたのは
それは それは 美しい人魚でした。
人魚は漁師の耳元で こう言いました。
生きたいならば 魂おくれ。

おばあさん:それから何日が過ぎたでしょう。
村人は 漁師が もう死んだものと
小さな お葬式を出してやりました。
その時 おどろくべきことが起こりました。
死んだと思われていた漁師が
ひょっこり 帰ってきたのです。
許嫁は たいそう よろこんで
漁師を看病してあげました。
しかし……。
漁師は まるで別人のようでした。
ひがな1日 ボーっと海をながめて
俺は人魚と結婚するんだ と言うばかり。
ついには 許嫁を捨てて
海に出るぞ! と暴れるようになる始末。
村長さんは カンカンに怒りました。
村長さんは 漁師をひっ捕らえると
二度と 海に出られないよう
船を燃やしてしまいました。
こうして 人魚に魂を食われた漁師は
暗く さびしい しじまヶ浜に
閉じ込められてしまったのです。

おばあさん:さあ 今日は ここまで。
続きは また今度じゃ。

子供達:に 人魚こえーー! 逃げろーー!

おばあさん:おや 旅人さんですかえ?
こんな老いぼれに 何かご用ですかな?

ベロニカ:おばあちゃん あたしたち
漁師の キナイを探しているの!
この村にいるって 聞いたんだけど……。

おばあさん:おやまぁ めずらしいことじゃ。
あんた方は あの子のお友達かい?
キナイは わたしの息子だよ。
あの子なら 今頃 西の海ですじゃ。
この村を襲った 化け物イカ退治に
村の男衆と 船を出しております。
あんた方 キナイに用があるのなら
化け物イカを倒す 手伝いをしてくだされ。
ヤツが静まれば 村の男衆も戻るじゃろ。
しかし 気をつけるのじゃぞ 旅人さん。
海で もっとも おそれるべきものは
人々を惑わす 人魚ですからの……。
 


 

ナギムナー村


マルティナ:主人公。
キナイを探すのでしょう?
私も 手伝うわ。

マルティナ:あら ベロニカじゃない。
そんな所で 何してるの?

ベロニカ:宴会の席に 子供は いちゃダメだって
酒場に入れてくれないのよ!
どいつも こいつも アタマがかたいんだから!
ふたりとも キナイを探すんでしょ?
あたし ヒマしてるの。一緒に行くわ!
 



キナイ:……ああ。あんたは
クラーゴンを倒してくれた 旅人さんか。
おかげで また漁に出られる。ありがとな。
しかし 宴の主役が 席をはずしたら
村のヤツラが さびしがるぞ。
いったい こんな所で何をしてるんだ?
……え? キナイを探してる?
ああ それなら 俺がキナイだが……?

キナイに ロミアのことを話しますか?

キナイ:……すまないが
まったく 身に覚えがない話だ。
他を当たってくれ。

ベロニカ:ええ!? しらばっくれるんじゃないわよ!
ナギムナー村の キナイっていえば
アンタしか いないじゃん!
まさか 今さら
人魚との結婚が イヤになったとか
言う気じゃないでしょうね!?

キナイ:おい おじょうちゃん。
この村では 人魚 人魚と
気安く 言わんほうがいい。
あんたらが探している キナイってのは
俺の祖父 キナイ・ユキのことだ。
……あんたらは 人魚の呪いを知ってるか?
この村に残る 伝承だ。
村いちばんの漁師といわれた男が
人魚に 魂を食われ 人が変わってしまった。
許嫁を捨て 人魚と結婚しようとした漁師は
村長の怒りに触れ
村のはずれの しじまヶ浜に幽閉された……。

ベロニカ:その話なら アンタのお母さんに 聞いたわ。
でも あんな作り話 今は関係ないでしょ?
ロミアは アンタを待ってるの!

キナイ:その作り話に出てくる 村いちばんの漁師が
俺の祖父 キナイ・ユキのことだと言ったら?

キナイ:あの話はな 50年ほど前に
この村で 実際に起きたことだ。
……教えてやる。あの話の続きを……。
漁師が 村を追われて 10年も経ったころだ。
祖父の許嫁だった女……ダナトラは
別の男と結婚し 子供をさずかった。
人魚の呪いも 祖父のことも
人々の記憶から うすれていった。
……そんな ある日のことだ。
村の漁船が 大嵐に巻き込まれた。
祖父の時と同じ いや……。
それ以上の ひどい嵐だったと聞く。
その大嵐で……
たまたま 船に乗りあわせていた
村長と ダナトラの夫が 死んだんだ。
それから あとを追うように
ダナトラと その子供も 行方不明になった。
村人たちは ウワサした……。
キナイ・ユキを手に入れられなかった
人魚の呪いに 違いないと……。
村人たちは キナイを問いただそうと
手に 手に たいまつを取り
しじまヶ浜の小屋に押しかけた。
その時 彼らが見たのは
信じられない光景だった。
ひとりでいるはずの祖父が
ずぶぬれの 赤ん坊を抱えて
ぼうっと立っていたらしい……。
村人たちは その赤ん坊を 人魚の子だと恐れ
いっそう 祖父を避けて
暮らすようになった……というわけだ。

ベロニカ:じゃ…じゃあ アンタのお母さん
人魚の子なの!?
それなら アンタも人魚の……。

キナイ:バカを言うな! 俺の母は 人間だ!
海辺に 捨てられていた 赤ん坊を
祖父が引きとって 育てたんだ!
人魚の子などと バカらしい!
村のヤツらが 好き勝手に
ウワサしているだけだ!

キナイ:……いい機会だ。
人魚が 祖父を待っていると言うのなら
そいつに 渡してほしい物がある……。
村の反対側にある しじまヶ浜に来てくれ。
教会の裏の扉を通れば すぐに着く。
扉のカギは 開けておくからな。
 



キナイ:……このベールは 俺の祖父が遺した物だ。
母が言うには 祖父が死の床で
握りしめていた物らしい……。
俺は どうしても 捨てられなかった……。
あんたの話が本当なら その人魚に渡して
キナイ・ユキは死んだと伝えてくれ。

主人公は
約束のベールを 手に入れた!


キナイ:さっきは とり乱して すまなかった。
俺たち家族が この村で暮らしていくのは
楽なことじゃない。
……俺の母は 祖父が死んでから
やっと 村の男と結婚できた。
後ろ指さすヤツも いたろうに
今じゃ それをネタに 紙芝居なんて読んで
こづかいかせぎをしてるんだ。強い人だろ?

キナイ:俺は 人魚が憎い。俺の子孫にはもう
人魚の呪いで さげすまれるような
人生を 送ってほしくはない……。
ようやく俺も 船に乗れるようになったんだ。
……悪いが これ以上 過去の呪いを
むし返さないでくれ。
 


 

白の入り江

 

ロミア:おかえりなさい!
ずいぶんと お戻りが遅いから
私 とっても 心配していましたわ!
もしかして あなた方や キナイの身に
何か あったんじゃないかって
不安で 祈りの唄を ずっと 歌っていたの!
……って ごめんなさいね。
長旅で お疲れなのに 私ったら……。
……それで どうだったかしら。
キナイは 元気でしたか?
私を……私を 迎えにきてくれる?

キナイは迎えにきてくれると
ロミアに ウソをつきますか?


ロミア:……でも……変ね。
なぜ キナイと一緒じゃないの?
先に行ってくれと キナイに言われたの?

本当に ロミアに ウソをつきますか?

主人公は
ロミアに 真実を話した。


ロミア:……キナイが 死んだ?
主人公さん 何を言っているの?
イヤよ……そんなことって ないわ。
……あら 主人公さん。
その手に持っている物は なんですか?

主人公は
ロミアに 約束のベールを渡した。


ロミア:……えっ? あの人が……キナイが
このベールを握って 死んでいった……?
ウソよ! だって……だって あの人は
必ず迎えにくると 約束してくれたもの!
ごめんなさい 主人公さん。
私は 彼の死を この目で確かめるまで
とても……信じられない……。
……あなたが 会ったという
キナイに 会わせてください。
私を……ナギムナー村に 連れていって!
主人公さんは 私にかまわず
船を出してください!
私は 後から ついていきます!

 



ロミア:ここなら 人が来ないようですから
私は ここで キナイを待っています。
何度も わがままを言って ごめんなさい。
キナイを 連れてきてください。
どうか どうか……お願いします。
 



キナイ:あのベールを 人魚に渡してくれたか?

キナイ:……そうか ベールを渡してくれたんだな。
本当に ありがとう。
イヤな頼みごとをして 悪かったな……。
お礼に 俺が できることはないか?
簡単な雑用でも 船の修理でも
なんでも やってやるぞ。
……え? しじまヶ浜に来てほしい?
……変わったヤツだな。
あそこには 何もありゃしないぞ?
まあ そんなことで
お前の気が済むなら いいだろう
さっそく 行くとしよう。
 


 

しじまヶ浜


キナイ:こんな所に連れてきて
いったい なんだってんだ?

ロミア:キナイ キナイなの?

キナイ:ああ 俺が キナイだが?

キナイ:そ そんな……人魚。
本物…なのか……?

ロミア:あなた キナイじゃないわ……。

キナイ:あんたが探してるのは 俺の祖父だ。
あの人は もういない……。
ここで……死んだ。

ロミア:…………っ!

ロミア:キナイは……。
こんな さびしい所で……。
ひとりぼっちで……死んでいった。
人魚は 500年の時を生きる。
人間の一生は 私たち人魚にとって
一瞬であることを 忘れていたわ。
……あれから
そんなにも 時が過ぎていたのね……。

ロミア:主人公さん 最後まで
私のわがままに 付き合ってくださって
本当に ありがとう。
お礼の品は 白の入り江に置いてきました
直接 渡せなくて ごめんなさいね。
私 もう いくわ……。

悲しげな 人魚の唄が
しじまヶ浜に ひびき渡った……。



ロミア:…………ずっと 待っていたわ。

ロミアとキナイ
ロミア:手は……同じなのね。
キナイと同じ…………
手をしているのね。
陸に上がった人魚は 泡となり消える。
それが……人魚のオキテ。
最後に キナイと会えてよかった。
もし 私が 人間だったなら
キナイと共に 生きられたのかしら。

ロミア:さようなら……。

キナイ:……あの姿 どこかで見たことがある。
あれは たしか……祖父の小屋に……!
 



マルティナ:これは……手紙?

キナイ:……祖父の手紙だ。
『愛する人へ……
君に助けられた あの嵐の日から
君を迎えにいくことだけを 支えに生きてきた。
それも もう 終わりにしようと思う。
すまない。俺は 約束を守れそうにない。
あれは 俺が村を追われて 数年後のことだ。
ひどい大嵐で たくさんの人が死んだ。
村長と ダナトラの夫も 犠牲になった。
その数日後 しじまヶ浜の崖の上に
赤ん坊を抱いて 立っている女がいたんだ。
その女は……かつての許嫁 ダナトラだった。
ダナトラは 生きる希望を失っていた。
大きな悲しみを 抱えた彼女に
俺の声は 届かなかった。
彼女は 俺の目の前で 海に飛び込んだんだ。
俺は ふたりとも助けようとした。
だが 救えたのは……赤ん坊だけだ。』

キナイ・ユキ:……キナイ
 



ロミア:『身体は 本当に もういいのね?』

キナイ・ユキ:『ああ ロミアのおかげだ!
もうすっかり 元気だよ。』

ロミア:『キナイ。私は いつまでも
ここで あなたを待ってるわ。』

キナイ:……オ…オギャア……。
オギャア……オギャア。

キナイ・ユキ:この子には 俺が 必要だ。

キナイ・ユキ:すまない…ロミア 俺は……。

キナイ・ユキ:俺だけ 幸せになるなんて できない。

キナイ:『人魚の呪いの言い伝えは 俺のように
おろかな人間が 二度と出ることのないよう
いましめとして 村に残した。
君の仲間をおとしめるような
皆の言葉を 許してほしい。』

キナイ:『……君は まだ あの入り江で
俺を待っているのだろうか。
俺はもう 君を迎えにいく 資格がない。
だが これだけは 信じてほしい。
……君を 愛している。』
キナイ ドラクエ11
キナイ:今までの無礼を 許してくれ。
ロミアに会わせてくれて ありがとう。
今なら じいさんの 気持ちがわかる。
恋を……してしまいそうだった。


 

海底王国ムウレア


ロウ:ほっほう。ここは まるで天国じゃのう。
いやぁ~長生きはしてみるもんじゃ。

カミュ:海の中だってのに 息が できるぞ。
これも 人魚の不思議なチカラってヤツか。
おかげで 海底に沈んだっていう オーブの話が
本当かどうか 確かめられそうだな。

マルティナ:主人公。オーブのこともあるけれど
まずは 海底王国の女王さまに会いましょう。
ロミアのことを……伝えなければ。
 




セレン:お待ちしておりました 主人公。
ようこそ 海底王国ムウレアへ。
わたくしは 人魚の女王セレン。

カミュ:主人公だと? 女王さん あんた
なぜ こいつの名前を 知っているんだ?

セレン:ふふ わたくしは
ちょっとした魔法が 使えるのです。
地上のすべてを 知っていますわ……。

セレン:さっ 難しいお話は 後にしましょう。
さっそくですが 主人公
あなたが お探しなのは これでしょう?

セレン:人間の世界のものは 本当に美しい……。
海底には届かない 日の光を閉じ込めたよう。
ロミアのことでは お世話になりました。
これは お礼です。
……さぁ あなた方に お返ししましょう。

主人公はグリーンオーブを 手に入れた!

セレン:わたくしは 見ていました。
ロミアとキナイのことを……。
陸に上がった人魚は 泡となり消える。
このオキテを越え 愛し合おうとしたのは
彼らが はじめてではないのです。
人魚と人魚は 共に生きる道を
何度も探してきました。
けれど それは かなうことのない夢。
わたくしたち人魚から見れば
チカラも身体も弱く 未熟な心を持った
あなた方 人間は とても危うい。
しかし まばたきのような 一生の中で
何かを求め チカラ強く生きる姿は
ひときわ かがやいて見えるのも また事実。
人間が 海底に あこがれるのと同じように
わたくしたち人魚も 地上に暮らす
あなた方に ひかれて やまないのです。
……キナイとロミア。
巡り 回る 命の大樹の意志のもと
ふたりが ふたたび出会うことを祈りましょう。
そして今 わたくしとあなたが出会ったのも
大いなる世界の ご意志でしょう。
我らが勇者 主人公よ。
時の流れに 身をゆだねなさい。
大樹が それを望むのならば
わたくしたちは きっとまた 巡り合う。
すべては 大樹の導きのもとに。

 

 

次の記事