KH2インタビュー

 

 

 

 

 

一部抜粋しています

 出典元 キングダム ハーツII アルティマニア 

キングダム ハーツII アルティマニア (デジタル版SE-MOOK)

 

――今回の物語で、野村さんが一番伝えたかったテーマは何でしょうか?

野村:今回にかぎらず、『キングダムハーツ』では”人の心”とか”心のつながり”というものを、ずっとテーマにしています。目には見えない”心”が持ってる力とか、自分にとって一番大事なものは何であるかとか、そういったものを描こうと考えてますね。

――もし『KHⅡ』が発売されなかったら、前作に残されていた謎はどうなっていたんでしょうか。

野村:それは、たぶん語られないままだったんじゃないですかね(笑)。そのへんは、僕は結構シビアな意見を持ってるんですけど、売れなかったタイトルの続編は作るべきではないと思うんですよ。続編を望む声が多ければ、それに応えるべきですけど、そうでもないなら、いさぎよくあきらめないといけない。幸いにも今回は、『つづきが見たい』というファンのかたがたの声が多かったので、つづきを語ることができましたが、もし『KH』が続編を望まれない作品になっていたら、残っていた謎も語らないままでいいんじゃないか、と思っていましたね。それに、たとえば『KHII』がいまだに発売されてなかったとしても、ファンのかたがたには前作に残しておいた伏線を『ああじゃないか?こうじゃないか?』と考えて楽しんでもらえる。その作品が古いものになっても、そうやって楽しめる時間がずっとつづくのであれば、前作のような幕の引きかたもアリなのかなと。

――たしかに、誰かと語り合ったり想像したりできる要素は必要ですよね。

野村:僕らが子供のころ、マンガやアニメやゲームに対して、よく『想像するところがない』みたいなことが言われてたんですけど、それはすごくおかしいなと感じていたんです。ゲームであっても、マンガであっても、自分で想像できるところはあるはずだと。そういう気持ちがあったので、ゲームでも想像できるところがあるということを示せるようなものを作りたいんです。だから、『答えはこうですよ』と全部明らかにするのは、あまり好きじゃない。自分が子どものころにやっていたように、いろいろと想像をふくらませることができる作品を作ろうと思っていますね。

――ジミニーメモのアルバムの写真に書いてある文章は、野村さんの手書きですよね。

野村:そうです。あれは、企画とメニューの担当がなんだか言いづらそうに僕のブースにやってきて、『アルバムの文章を手書きにしたいんです』と切り出してきたんですよ。『いいと思うよ』って言ったら、『いや、野村さんに書いてほしいんですけど』と。そのときに持ってきた枚数があまり多くなかったので、『いいよ、じゃあ書くよ』って引き受けたんですけど、書き終わったものを渡したら、いつ終わりになるんだっていうくらいに、つぎからつぎへと持ってこられたので、『しまった』と思った(笑)。

――『FF』シリーズのキャラクターは、そういう基準で選んでいったんですか?

野村:要望が多いキャラクターを出す、という感じでした。ファンのかたがたの意見とスタッフの意見の両方から考えるんですけど、やっぱり要望の多いキャラクターは重なってきますよ。

――『FFVII』からはティファが登場しましたね。

野村:じつはティファは、『FM』を作るときに、スタッフのほうからだしてほしいと言われていたんです。『肉弾戦という意味で、ティファとのバトルはおもしろくなりそうだ』と言われて、本当はセフィロスとティファを追加したかったんですけど、スケジュール上ひとりしか入らないということで、『FM』ではセフィロスを選択した。そういうこともあったので、今回はティファを出そうという話になりましたね。『KHII』のボイス収録は、ちょうど『FFVIIアドベントチルドレン』と同じころにやっていたので、今日の収録は『FFVIIAC』、明日は『KHII』……みたいになってました(笑)。同じ流れのなかでボイスを録れたので、良かったなと思います。

――ティファと言えば、セフィロスを倒したあとに、クラウドをまじえたイベントが用意されていますね。

野村:あそこは野島さんのシナリオだと、クラウドとティファの関係がもっと具体的に語られていたんですけど、自分のほうで削除させてもらったんです。遊んだ人に考えてもらったほうがおもしろいだろうな、と思って。たとえば、『クラウドにとっての闇がセフィロスならば、光はティファである』という意味で、ティファを人間ではない存在ととらえてもいいんじゃないかと。ティファがソラたち以外の人と会話しないのは、人間として存在していないからなのかもしれない。もちろん、シドやエアリスたちと同じようにホロウバスティオンの住人だととらえることもできるような表現になってますから、そのあたりは自由に考えてもらっていいと思います。

 

 

 

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