KH インタビュー

 

 

 

一部抜粋しています

出典元 キングダムハーツ アルティマニア 

キングダムハーツ アルティマニア

 

 

──ところで、ディズニーのシンボルキャラクターと言ってもいいミッキーマウスがゲーム中の一場面にしか出てこないのは、何か理由があるんですか?

野村:じつは、契約の関係上、どこかワンカットでしか使うことができなかったんです。で、そのワンカットをどこにするかっていうのをすごく考えたんですよ。

──そういう制約があったわけですか。ならば、もっとも効果的な使いかたをしましたよね。

野村:ディズニーさんからは、街の人混みのうしろのほうで手を振ってるくらいの役なら、という許可をもらったんですけど、どうせやるなら、一発でもっともインパクトのある使いかたをしてやろうと思って。あそこしかないだろうって場面で使えましたね。

──『FF』シリーズのキャラクターは、どんな基準で選ばれてるんですか?

野村:『FF』サイドは、これでもちょっと増えまして。最初はもっと少ない予定だったんです。まあ、お話ができていくなかで、ここでこの役のキャラクターは誰にしようと決めるときに、どうしてもディズニーキャラクターがハマらない場合があるんですね。たとえばディスティニーアイランドの子どもたちって、ディズニー作品でハマるキャラクターが思い当たらなかった。あとは、トラヴァースタウンで出会う、ソラに対して指示をする人物は誰なのかっていうのを考えたら、またハマらなくて。じゃあ新しいキャラクターを作るかという話になるんですけど、そんなに出ずっぱりのキャラクターにはならないし、周りのディズニーキャラクターのインパクトに負けちゃうだろうと思ったんで。それだったら『FF』キャラクターにしようかなと。で、その役に合ったキャラクターは誰かということで選んでいって。トラヴァースタウンでソラを導く剣士は誰、と考えると、まあ適任はスコールだろうと。そんな感じですかね。

──これは余談的な質問なんですけど、スコールがレオンという名前で出てくるのは、スコール・レオンハートのハートレス……つまり、レオンハートからハートの文字を取って、レオンなんですか?

野村:ああー、深い読みですね。そういうことではないんですけど(笑)。ディズニーキャッスルで最初に目にする手紙に『スコールと会え』と書かれてたら、みんなの頭のなかにスコールの絵が浮かんじゃって、出会ったときのインパクトが弱いだろうと。それで、スコールだけ名前を変えたいと、シナリオを担当してる秋山に言われまして。じゃあ、下の名前から取ろうかという感じになったんです。

──そのレオンの背中に赤い羽根があるのは、やはりリノアのイメージなんですか?

野村:そうですね。まあ、レオンはスコールと呼ばれることを否定しているという設定があるわけですけど、あのリノアの羽は、きっと過去に何かがあったんだろうと、匂わせる意味でつけたんです。

──リノアを出す予定はなかったんですか?

野村:リノアはなかったですね(苦笑)。『FFVIII』で、リノアは個人的に想定していたキャラクターと少し違ったので、性格がつかみづらいかな、と。

──あと、クラウドなんですけど、左半分のデザインは『FFⅦ』のヴィンセントがモチーフだったりします?

野村:ええ、左腕はヴィンセントのイメージですね。今回、クラウドは闇側に傾いているヤツっていう設定があったんで、ちょっと悪魔的にしたいなと思ってたんです。で、ちょっとヴィンセントがそういうデザインだったので足そうと。ヴィンセントも出したかったんですけどね。

──クラウドについては設定的な部分もお聞きしたいんですが、彼はホロウバスティオンの出身なんですか?

野村:『キンギダムハーツ』の設定では、一応そうなってます。

──だとすると、シドがほかのメンバーを連れてホロウバスティオンを脱出したとき、クラウドは置いていかれちゃったんですか?

野村:騒ぎのなかではぐれてしまったというだけで、置いてかれたわけではないですね(笑)。シドたちは混乱のなかで脱出したんでしょうから。

──では、クラウドが探してるのは、やはりエアリスなんですか?

野村:どうなんでしょう?エアリスだったとしたら、エンディングでひとつ答えが出たことになる。そこはそうとも取れるようにしてあるというか。クラウドはやっぱり人気のあるキャラクターなんで、自分としては、こうなんだという断定はあまりしたくないかなと。ユーザーのかたがたの思い入れが強いでしょうから、みなさんの考える余地を残しておきたいんですよ。

──メインテーマ曲の『光』についてうかがいたいんですが、宇多田ヒカルさんを起用したのは、野村さんのご意向なんですか?

野村:そうですね。

──あの宇多田ヒカルさんがゲームソフトに曲を提供するなんて、素直に話が進みそうにない気がしちゃうんですけど。

野村:そうですよね。でも、絶対に無理だとは思わなかったですね。やっぱり。やってみないとわからない。まわりには、やめたほうがいい、絶対断られるからと言われて、内部を説得するのに一番時間がかかったというか。自分はもう最初から絶対、宇多田ヒカルさん以外はないと主張してたんですよ。

──交渉してみてどうだったんですか、実際は?

野村:これが意外とスムーズに決まりました。まず1回目の交渉に行ってもらって、感触は悪くなかった。『本人がゲーム好きだから、ひょっとしたら大丈夫かもしれません』みたいな答えがあったんです。あとは、やっぱり、ディズニーが好きだと。もうすぐ日本にもどってくるので、そのときに直接本人に聞いてみますと言われて。で、帰国後もう1回交渉に行ってもらったときに、どういうものかちょっと見せてくださいという話になったと。それで、速攻でプレゼンテーション用のビデオとか送って。そしたらもう、つぎの日ぐらいに、本人から『ノッてます』と、前向きに検討したいというコメントが返ってきた。『マジで?』って言い出した自分が一番ビックリしてました(笑)。

──宇多田さんには、どのような曲にしてください、と伝えたんですか?

野村:エンディングのイメージはわりと早い段階から決まってたんで、主人公とヒロインがお別れをするシーンで流れる、でも、その別れは悲しい別れではなくて、すごく前向きな別れですということをお伝えしたんです。歌詞的にはピッタリで、はじめて聴いたときはふるえて言葉が出ませんでした。一応NGワードで、”携帯電話”とか、そういうゲーム中の世界にない単語は入れないでくださいと言ったんですが、”テレビ”が入ってましたね(笑)。でも、あれは深い意味にも取れて良かったと思います。

 

 

 

関連記事